福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

今日は津田左右吉生誕の日です

2024-10-03 | 法話

今日は明治維新を日本歴史の暗黒部分であると喝破した津田左右吉生誕の日です。津田 左右吉は明治6年(1873年)10月3日に岐阜県、美濃加茂市に生まれています。津田の主張はここに端的に表れています。「幕府を倒した薩人もチョウシュウ人も、また彼等の先駆となり彼等と共に活動した志士輩浪人輩も、決して国家の功臣ではなかった。彼等は、しばしば述べた如く、日本の国家の進運を阻害し国民の生活を甚だしく傷つけたものだからであるのみならず、国民の象徴であられる皇室に大なる累を及ぼすような政治形態を構成したからである。(津田左右吉「トクガワ将軍の「版籍奉還」)」
「日本の皇室 津田左右吉」でも天皇の本来のお姿を正しく描写しています。
「・・天皇が権力を以て国民に臨まれたことは昔からなかった。・・実際に政治の局に当たられたことは一二の例外を除いては全くないといってよく、その時々の重臣または権家が政権を握りまた行っていたのでそれは武家に始まったことではなく遠い昔からのことであった。従って政治上の責任はおのずから権家に帰することになってその人その家はしばしば変わってきたけれども皇室はその上に超然として永久に変わらない統治者の地位にいられた(皇室は、武士などのむきだしの権力を超越した存在であった。権力などというものは程度の低いものであるというのが日本古来の国民感情であったのです。)。・・だから国民は皇室と権力関係における対立の地位にあったのでなく、・・それを争おうとしたこともない。・・だから徳川氏が持っている権力を徳川から奪って皇室が持たれるようにしようとした江戸末期の復古主義や勤皇論は遠い昔からの皇室の地位と本質とを知らなかったからであり、そしてそういう考えの生じたのは外交問題にからんで生じた徳川氏の政治に対する不満反感と、我が国にあてはまらないシナ風の名分論にかぶれていたのと、この二つの事情のために皇室に対する歴史的事実を正しく理解することのできなかったところに主なる理由がある。・・しからば政治の局に当たられなかった皇室の本質はどこにあったか。それは何よりも日本の国家が統一せられた独立の国家でありその国家が永久の存在であるところの具体的な象徴である点にあった。・・今一つ重要なことは皇室の文化上の地位とその働きである。上代において皇室が文化の中心でもあり指導者であられたことはいうまでもないがこれは日本の地理的位置と農業本意である日本人の生活状態とから・・シナの文物を受け入れるためには朝廷の力によらなければならかったところに主因があり、武力を用いられることのない皇室がおのずから平和の事業に意を注がれたのもそれを助ける一因となったであろう。後世になって文化の中心が武士に移り更に民衆に移ったのちには上代文化の遺風を伝えていられる点において皇室は特殊の尊崇を受けられた。歴代の天皇がほとんど例外なく学問と文芸とを好まれたこと、またそれに長じていられた方の多いことはいうまでもないのでそれが皇室の伝統となっていた。これもまた世界のどの君主にも類のないことである。・・・明治の憲法はじつは古来の天皇の地位とその性質とによったものではなく、君主と人民の権とを対立させたヨーロッパの思想にもとずき君主の権力を優越の地に置いた・・新憲法も同じ思想によってそれとは反対に人民の権力を優先させ君主の権力を抑えたものであって主権が国民にあるということにより明らかにされる。しかしこれもまた昔からの日本人の思想ではない。日本人はものともと君権とか民権とかという概念を持っていなかった。・・けれども新憲法が天皇を日本国の象徴であり日本国民の統合の象徴であるとしたのは日本の昔からの天皇の地位とその性質とによくがっちするものである。ただ「国政に関する権能を有しない」という文字だけは無用のものである。また内閣の助言と承認ということばがあるがこれは妥当ではないから削るべきである。・・・もともと国の象徴であられ国民的統一の象徴であられる天皇は社会組織や経済機構がどういうものであってもまたそれらがどう変化しても、それに関係ない地位にいられるので、律令の制度の時代でも封建制度の時代でもその地位は同じであった。歴史的事実からもそれは明らかに知られる。(さらに本質的なことは、天皇は肇国以来「祭事」を最優先とされています。『禁秘抄』に「禁中作法先神事」とあります。また明治維新までは即位式には天皇は大日如来の印を結んでおられました。すなわち日本の神仏一体の崇高な精神的基盤を体現されていたのです。福聚講のブログ「天皇陛下の即位灌頂」にあります。)

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