天長元年3月2日は大師が「平城の東大寺において三宝を供養する願文」を草された日です。「平城の東大寺において三宝を供養する願文
弟子苾芻空海等三宝に帰命し奉る。法身いずくにかある、遠からずしてすなわち身なり。智体いかん、わが心にして甚だ近し。本より来た無去にして鎮えに満月の宮に住し(もとより無始にして胎蔵界理法身の宮殿に住し)、いま不生にして赫日の台に常恒なり(金剛界智法身の台に常恒である)。摂下の迹やまず(理法身/智法身の衆生済度はやまず)、自用の歓びいかんが窮らん。空海等、念雲兔を蔽し(迷いの雲で兔のいる月を隠し)、業霧鳥を籠む。久しく方に還源に迷って長く境に帰舎に酔へり(本宅に帰るを忘れて迷いの世界に酔うている)。幸いに外警の縁(外からの仏の導き)、内薫の力によって狂想を覚り、聖智を尚う。
伏して願わくは大慈を捨てずしてこれ馨(こうばし)きことを納受し玉へ。大小(多少)功を添え、尊卑力を効すもの同じく積霧をかかげて朗らかに曼荼を見ん。謹んで疏す。
天長元年三月二日空海疏す」
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