華厳の中心思想は法界を動態的に覷補することです。此れを表現する方式に二つあります。一つは一を一切に対して見るもの、今一つは一切を一に対させるのです。前者の形式は次の如くです。
㈠ 一、一切に摂し、一、一切に入る。
㈡ 一切、一に摂し、一切、一に入る。
㈢ 一、一に摂し、一、一に入る。
㈣ 一切、一切に摂し、一切、一切に入る。
後者は、又次の如くです。
㈠ 一を摂して一に入る。
㈡ 一切を摂して、一に入る。
㈢ 一を摂して一切に入る。
㈣ 一切を摂して、一切に入る。
これを皆一つにまとめて見て、華厳の事事無碍法界と名つ゛けるのであります。・・ただ遺憾なことはこれらの霊性的直観的体系を意識的に把握してこれを複雑な今日の事法界(政治・経済・社会生活などの差別面)に活現させる運動の闕如していることであります。
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