秘密安心往生要集・・16/42
(十四、不惜身命の用心)。
不惜身命の用心。生死病死は世間の常なり。少者すら死す。況や老人をや。健やかなる人すら頓死と云ふことあり。況や平生病身なるをや。況や大病身を苦しめ日を重ね月を踰るをや。凡そ病を受る時は必ず死すと思ひ、医師に問ひ、占者に筮しめて決定必死の病ならば強ちに薬を用ゆべからず。少しも命を惜しむべからず。倍す善根功徳を修して往生兜率を欣ふべし。兼ねてより同行の人持戒信心の僧、四・五人を契約して我が臨終には必ず来て策し勧め玉へ。病気平癒して長命ならんと言ふべからず。世間無益の語をなさず。偏に臨終正念往生兜率の事なみを訓へ玉へと約し、神にも祈り、佛にも祈るべし。身命すら惜しまず、況や財宝を恪惜せんや。早く仏像を造り金銀を散じて貧人に施し、僧を請じて読経せしむる等也。死後の追福廻向を嘱(あつらへ)て、七分が一を得んよりは存命の間に七分全得の逆襲を勤るにはしかじ、と云り。
(十四、不惜身命の用心)。
不惜身命の用心。生死病死は世間の常なり。少者すら死す。況や老人をや。健やかなる人すら頓死と云ふことあり。況や平生病身なるをや。況や大病身を苦しめ日を重ね月を踰るをや。凡そ病を受る時は必ず死すと思ひ、医師に問ひ、占者に筮しめて決定必死の病ならば強ちに薬を用ゆべからず。少しも命を惜しむべからず。倍す善根功徳を修して往生兜率を欣ふべし。兼ねてより同行の人持戒信心の僧、四・五人を契約して我が臨終には必ず来て策し勧め玉へ。病気平癒して長命ならんと言ふべからず。世間無益の語をなさず。偏に臨終正念往生兜率の事なみを訓へ玉へと約し、神にも祈り、佛にも祈るべし。身命すら惜しまず、況や財宝を恪惜せんや。早く仏像を造り金銀を散じて貧人に施し、僧を請じて読経せしむる等也。死後の追福廻向を嘱(あつらへ)て、七分が一を得んよりは存命の間に七分全得の逆襲を勤るにはしかじ、と云り。