塚越寛(伊那食品工業会長。長野県出身。肺結核により高校を中退。21歳のとき、働いていた材木会社社長から系列会社、伊那食品工業の社長代行に就任することを求められ同社に入社。倒産寸前だった伊那食品工業を大きく成長させた。黄綬褒章、科学技術庁長官賞(科学技術振興功績者表彰)、農林水産大臣賞、優秀経営者顕彰制度最高賞最優秀経営者賞(日刊工業新聞社)など受賞)という人の一文が「法光」8月号にのっていました。いい話ですので一部紹介します。
「・・まずは掃除です。・・自分たちでやらねば意味がない。・・掃除そのものが気付きの訓練です。どこに蜘蛛の巣があってどこに汚いものがあるか、雨のはねで汚れているところはないか、自分でそれを発見して掃除をしていく。そうして培われた気配りが仕事や人生にとって大切なことになるのです。・・今ではすっかり定着して社員が自発的にしております。はやいものは一時間も早く出社してきて掃除する・・以前京都のある老舗和菓子屋さんに取引のアプローチをしましたがうまくいっていませんでした。・・先方の社長が当社をたまたま訪れきれいに掃除された構内を見て驚かれ、帰られてからすぐに取引が進んだのです。・・会社は利益を上げるのが目的だと考えている人がずいぶんいますが全く間違いです。・・・会社は利他をしなければうまくいきません。他人のため、地域のため、世の中のために尽くしていくこと、たとえば構内全体を開放的にしてきます。良い水が出ますから水汲み場では行列の成して皆さんが水を汲みに来ます。構内のレストランもあまり採算を考えません。みなさんに喜んでもらえればそれでいい。そんなサービス部門が全体のプラスになっていると感じております。そうやって社員の幸せを通じて社会に貢献していくことが企業のあるべき姿と考えております。」
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