福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

慈雲展を拝して

2018-02-13 | 頂いた現実の霊験
3月18日まで大阪の近つ博物館で「慈雲展」を開催しています。私も高貴寺様から頂いた招待券で一昨日拝観してきました。慈雲尊者に関しては、数十年前木南卓一先生に丸の内で「十善法語」のお教えをいただいたり、10年前には東寺や真福院で松本俊彰僧正に慈雲尊者の中天相承悉曇を伝授頂いたりして言い尽くせぬ有難い御縁を頂いています。
一昨日は初めての喜志駅で下車し、冷たい北風の吹きすさぶ中30分以上待ってやっとバスに乗れました。阪南ネオポリスという終点で降り、人気のない広い古墳の森公園を歩いてやっと近つ博物館に辿りつきます。連休中というのに人影は疎らです。慈雲展会場は地下でしたがそこへたどり着く前にはあたりで出土した古墳の展示がありました。中になんと叡福寺の聖徳太子廟の展示もあったのです。職員の説明によると叡福寺は歩いても行ける距離ということでした。私の師の寺でしたから何度も車で行って御廟を拝んだことはあるのですがこんなに近いとはびっくりです。そして御廟の石棺の復元までしていたのです。太子と妃のお棺は巨大な漆塗りの木棺でした。御母堂のお棺はなぜか棺はありませんでした。御大師様も拝された御廟です。最近では大好きな富岡鉄斎も中を拝したといって石室内略図を書いていました。不思議な感動でした。

いよいよ慈雲展です。入口に慈雲尊者の旅壇具がありました。昔の人は旅に出るときもこういう旅壇具をもってでて毎日旅先でも修法を欠かさなかったのです。四国26番金剛頂寺では坂井僧正様に国宝の御大師様の旅壇具を拝ませていただいたことがありますが、サイズはそれにそっくりです。有名な高貴寺に伝わる金泥種字両界曼荼羅も本物はすごい迫力です。悉曇を伝授頂いたものにとって肉太の種字には改めて感動を覚えさせられます。また、尊者御愛用の鉄鉢もありました。全く傷んでいません。師事するA僧正様も鉄鉢には法力があると常々おしゃっていますが、まったく不思議な存在感を感じました。
如法袈裟もありました(この袈裟を模したものを私も不思議なご縁でいま拝受しておりますが)、尊者は悉曇だけでなく袈裟も徹底的な研究をされており「方服図儀」「聖徳太子袈裟衣験証記」等を著しておられます。そもそも師の「飲光」という自称は釈迦の衣を56億7千万年後に弥勒菩薩に伝えることを使命とする迦葉尊者の「迦葉」の漢訳であるということです。一切經音義に「大飮光即大迦葉波之美稱也 」とありました。慈雲尊者はお釈迦様の正法(すなわち袈裟で象徴される)を後世に伝えると言う点で自らを迦葉尊者になぞらえておられたのでしょう。この如法衣も傷んではいましたが神々しいものでした。あらためて自宅の如法衣の恐れ多さを感じます。
 午後には大阪市立美術館学芸員児島氏の「慈雲尊者と如法のかたち」という講演があり、そこでも不思議な事がわかりました。高貴寺の慈雲尊者が持しておられた国宝金銅五鈷鈴と同形同時代の金銅五鈷鈴がいつもお参りする東京護国寺にあるというのです。護国寺史にはたしかに明治10年の什物書上表には「仏器、六器、五種鈴」等の表記はありますがそれ以上特段の記述は見られません。当時は気が付かなかったのでしょうか。
 帰りは不思議とバス電車が次々と接続していて辺鄙なところにもかかわらずあっという間に新大阪まで着きました。尊者からしっかりせよと気合を入れられたのでしょう。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 福聚講、今日の言葉 | トップ | 天皇霊 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

頂いた現実の霊験」カテゴリの最新記事