金子大栄「教行信証」「今日私たちの耳にする言葉は、佛教も時代の要求に応じなければならないということです。いつまでも昔通りの事を言っていても仕方がない、時代の要求におうじなければならないということを、私たちは耳の痛いほど聞かされています。・・しかし私はいつも逆を言うのです。そうじゃないんだ、時代こそ佛教の要求に応じなければならんのではないかと。・・時代が佛教の要求に応じなければ救われないというところに、意味があるのではないか。なぜ時代の要求に応ぜよということのみをいうて、時代を佛教の要求に応ぜしめるということを考えないのか。
・・如来の本願と云うのは如来の要求である。人間の要求に応じるのが如来の本願ではなくて、人間は如来の要求に応じない限りはどうしても救われないようにできているのだ。だから『帰命といふは本願召喚の勅命なり(教行信証、行巻)』といってあります。・・勅命という言葉は厳しい言葉であります。だから念仏せよということはきびしき佛の要求である。(注、この念仏とは個人的念仏ではありません。あえていえば一切の有情のためです)・・」
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