福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

花に嵐

2014-03-30 | 法話
「月に叢雲、花に風」という諺がピッタリの昨日今日となりました。
春の嵐に散る桜を見ていると、孟浩然の有名な詩、「春暁」
「春眠暁を覚えず
処処啼鳥を聞く
夜来風雨の声
花落ちること知る多少」を思いだします。


また、宮沢賢治の「かがやきの 雨にしばらく散る桜 いつ゛ちのくにのけしきとやみん」という歌もあります。これは賢治の大切にした法華経如来寿量品の「……衆生の遊楽する処なり、諸天天皷を撃ちて常に諸の伎楽をなし、曼陀羅華を雨ふらして仏及び大衆に散ず。」をもとにしているといわれます。曼陀羅華は仏様のお出ましになる時に天から降ってくる花です。丁度満開の桜が風で舞い落ちてくる景色を見て賢治は佛国土の景色を想像したのでしょう。

干武陵の「歓酒」という漢詩もあります。東日本大震災やマレーシア航空機事故を思うだけでもこの詩が深刻な意味合いを帯びてきます。

勧君金屈巵 満酌不須辞 花発多風雨 人生足別離

(君に勧める 金屈巵(きんくっし) 、 満酌(まんしゃく) 辞するを須(もち)いず 、 花発(ひら)いて風雨多く 人生 別離足(おお)し )

これを井伏鱒二が訳した詩も有名です。
「この杯を受けてくれ
 どうぞなみなみ注がしてくれ
 花に嵐の譬えもあるぞ
 さよならだけが人生だ」

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