「私がこの本の中で力を入れて説きたいと思う一つの点は、日本人の死後の観念、すなわち霊は永久にこの国土のうちに留まって、そう遠方へは行ってしまわないという信仰が、おそらくは世の始めから、少なくとも今日まで、かなり根強くまだ持ち続けられているということである。
・・・人は死ねば子や孫たちの供養や祀りをうけてやがて祖霊へと昇華し、故郷の村里をのぞむ山の高みに宿って子や孫たちの家の繁栄を見守り、盆や正月など時をかぎつてはその家に招かれて食事をともにし交流しあう存在となる。生と死の二つの世界の往来は比較的自由であり、季節を定めて去来する正月の神や田の神なども実はみんな子や孫の幸福を願う祖霊である。
」
・・・人は死ねば子や孫たちの供養や祀りをうけてやがて祖霊へと昇華し、故郷の村里をのぞむ山の高みに宿って子や孫たちの家の繁栄を見守り、盆や正月など時をかぎつてはその家に招かれて食事をともにし交流しあう存在となる。生と死の二つの世界の往来は比較的自由であり、季節を定めて去来する正月の神や田の神なども実はみんな子や孫の幸福を願う祖霊である。
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