1、(結論)太平を謳歌し国民精神が弛緩した後は戦争・大災害が起こっています。
2、カルタゴは絶対的平和主義を掲げ、貿易で経済大国になり精神的弛緩の極致の後にポエニ戦争でローマにより民族が根絶やしにされています。
日本だけをとってみても、化政文化の爛熟後が幕末の大混乱期ですし、大正デカダンスの後に関東大震災がおこり、昭和モダンの後、日中戦争太平洋戦争へ突入しました。最近では平成バブルの後には東日本大震災がおこりました。
3、関東大震災では「精神的退廃」が地震を招来したと多くの知識人が反省しました。
内村鑑三は,日記の中で「時々斯かる審判的大荒廃が降るにあらざれば,人類の堕落は底止する所を知らないであろう」といい、
山室軍兵は「真に国民反省の機」で「此度の震災は、物慾に耽溺していた我国民に大なる反省を与える機会であった。堕落の底に沈淪せる国民に対して大鉄槌を下したということは,大なる刺戟と反省とを与えるに十分であった」とし、
椎尾弁匡「人類の過失也」は「……今回の震災は天災には相違ないが,これを天災というも,人禍として反省する必要があると思うのである。又これを単に奢侈、贅沢、軽佻浮薄の天罰なりというは、あたらざる感じがないでもないが,人禍かくの如しとせばこれを天罰と見る事も亦不当ではない」と書き、
北原白秋「天譴和歌」では「世を挙り心傲ると歳久し天地の譴怒いただきにけり」と詠みました。
4、こういう警告にも当時の澆季に流れる国民は耳を傾けることができず、その後の敗戦・原爆被害にまで至りました。最近では東日本大震災の後はこういう警世の声はゼロでした。今は当時に比較すべくもないさらなる精神的退廃の極致を彷徨っています。
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