これがなかなか良く出来ていて面白い。
ストリーは陳腐、時代はおそらく戦国時代で下剋上でお家を乗っ取った不信神というか罰当たりな悪家老が最後に魔人の怒りに触れて滅亡、と言うパターン。このパターンは続編「~怒る」「~の逆襲」でも大体同じ。
「水戸黄門」「寅さん」「座頭市」でもおなじみの安心の勧善懲悪定型パターン。
この映画の良く出来た特撮は近頃のCG満載の安手の物とは一線を画す出来栄え、また特撮シーンを最後の最後まで引っ張るから最後のクライマックスめがけて手間と予算を惜しみなく突っ込める、そんな感じ。
東宝の一連の特撮物は最初から最後までサービス精神旺盛に特撮シーンを見せまくるから予算と気力が続かずに少々チャチ。
実時間で観た「大魔神」はたしか「ガメラ」との二本立て興行で、魔人登場までの本編が随分とつまらなくて長く感じたものだった。(これがそれほどヒットしなかった理由かもしれない)そして大映の特撮物で「ガメラ」はどうしようもなく駄目だったが、こちらは別物だった。(今見ると!)
そもそも二本足で歩行する亀よりは’埴輪みたいな巨人’の方がより自然な造形となる、ゴジラもこの点では無理が無い。
残念ながらこのシリーズは3作で打ち切りだったから、採算面で問題があっただろうと思う。
一応三作すべて見ると、準繰りに質的劣化が生じている様な感じがする。
「~怒る」なんかは湖を真っ二つに割って魔人が進むとこなんかはデミルの「十戒」を彷彿させるんだけれども、残念ながら技術が追い付かず構想倒れ。(意欲は感じるだけども)
三作目の「~の大逆襲」は明らかに脚本が甘い、マンネリ化と戦いながらとターゲット観客をあいまいに作ってしまった感がする。
でもリメークしたら面白い素材かも知れない。
「大魔神」シリーズ 全3作 予告篇集 1966年