1940年(昭和16年)に作られた(それとも公開された?)この「独裁者」と言う映画、時代背景とともに内容も古臭さを感じさせない風刺映画であり喜劇映画。
例えば「オズの魔法使」と「風とともに去りぬ」も1939年頃の映画でこりゃ文化程度の彼我の差は比較すべくもない。思想的にも技術的にもこの当時の日本では絶対に出来ない映画が彼の国では目白押し、これじゃああの戦争に勝てる訳が無い。
それはさておき、この「独裁者」という映画もやはり傑作、以前はTV放映(吹替え版)で観たことがあったが、字幕で多分ノーカットで観たのは初めて、観たことあるつもりだったのがアテが外れて、こんなことなら名画座に掛った時に観ておくんだったと。
〔内容〕
18年の第一次大戦末期、トメニア(ドイツ)のユダヤ人一兵卒チャーリーは飛行機事故で記憶を失い入院する。ここまでの痛快なドタバタの中に戦争諷刺を盛り込むタッチは、チャップリン映画に親しんだ方なら想像がつくと思う。さて、それから数年後のトメニアは独裁者アデノイド・ヒンケルの天下で、ユダヤ人掃討の真っ最中。そんな時、退院したチャーリーは生まれ育ったユダヤ人街で元の床屋の職に戻る。
この映画のムッソリーニらしき人物と独裁者ヒンケルの虚勢の張り合いやら地球儀みたいな風船と戯れるヒンケルとか喜劇がなせる風刺が満載、こんなとこも好き。
天才は永遠。
さて、市川崑監督の横溝正史シリーズをこれまたTV放映で観たが、「犬神家の一族」以外はどれもたいしたことは無い。
「女王バチ」「病院坂の首くくりの家」:話が複雑でついていけないし、そろそろ石坂浩二の役者ぶりや角川映画の安っぽさも鼻につき始めた、同じ監督とは思えないのが残念。