李韓国大統領の竹島上陸─対応を誤れば、次は中国の尖閣諸島上陸も
韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領が8月10日午後、日本固有の領土である島根県・竹島に上陸しました。
竹島については、2008年に当時の韓昇洙(ハン・スンス)首相が上陸したことがありますが、韓国の大統領が上陸するのは初めての事態です。
李大統領の上陸にあたっては、韓国軍は、日本海上保安庁や自衛隊の接近を警戒し、KF16戦闘機編隊が空中警護を行い、駆逐艦や護衛艦、哨戒艦が海上警備を行うなど、ものものしい厳戒体制が取られました。(8/11東亜日報)
竹島は国際法に照らしても、歴史的事実に照らしても、明らかに我が国固有の領土であり、韓国による許しがたい「不法占拠」が続けられて来ました。
1905年、明治政府が竹島を島根県に編入し国際法的にも日本の領土になりました。(外務省「竹島の領有権に関する我が国の一貫した立場」⇒http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/takeshima/index.html)
しかし、日本の敗戦後、米占領軍が竹島を日本の行政権から外したことを口実に1952年、李承晩(イ・スンマン)韓国初代大統領が、公海上に「李承晩ライン」(海洋主権宣言)を一方的に設定し、竹島に守備隊を駐屯させました。
韓国は97年に竹島の接岸施設工事、2005年には竹島への一般観光客の入島を解禁する等、年々、実効支配強化を進めています。
日本政府は54年と62年に2度に渡って国際司法裁判所への提訴を提案しましたが、韓国側は受け入れませんでした。国際司法裁判に持ち込めば、竹島が日本の領土と認められることは明らかだからです。
玄葉外相は11日、李明博大統領の竹島上陸への対抗措置として、竹島の領有権問題について、国際司法裁判所への提訴を検討する考えを表明しましたが、韓国外交通商省当局者は「一考の価値もない」と述べ、裁判開始に必要となる提訴への同意を拒否する考えを鮮明にしました。
韓国は自国の主張に自信があるのであれば、速やかに国際司法裁判に委ねるべきですが、そうしないのは、韓国側が敗訴することが分かっているからです。
韓国は国策として「反日」で国家をまとめてきた経緯があり、その一環として竹島を「独島(ドクト)」と名づけ、国家規模で歴史を捏造し、「独島は韓国領」という教育を続けて来ました。
自立した国家であれば、他国を責めることなく独立自尊の国家運営をなすべきです。それが出来ないのが韓国の弱さでもあります。
一方、日本は日本で、育鵬社等の保守系教科書が登場するまでは、公教育では竹島が自国の領土であることは教えて来ませんでした。
また、日本政府は国際社会で「竹島は日本領土である」という主張を怠って来ました。
「親日」と言われて来た李大統領の竹島上陸の背景には、前国会議員の実兄が逮捕されたことによる支持率低下を挽回すべく、8月15日の解放記念日や五輪男子サッカーの日韓戦を直前に控え、「竹島上陸」カードを使ったのではないかと報じられています。
こうした背景を鑑みてか、森本防衛相は「韓国の内政上の要請によるものだ。他国の内政にとやかくコメントすることは控えるべきだ」と述べました。
しかし、日本の領土を守り抜く責任を負った防衛大臣が、竹島問題は韓国の「内政問題」であり、日本は干渉すべきではないとしたことは極めて重大な問題発言であり、防衛大臣としての資質が欠落していると言わざるを得ません。
野田首相は、今回の竹島上陸に対し、「極めて遺憾」として武藤駐韓大使を帰国させることを明らかにしましたが、相手国への抗議の意思を示す「召還」ではなく、抗議の姿勢をトーンダウンさせた「一時帰国」の形を取りました。
これまでも民主党政権は、鳩山元首相は韓国に対して竹島への「不法占拠」という表現を封印し、菅前首相は日韓併合100年にあたって韓国に対して「首相談話」として謝罪。野田首相は、返還義務のない「朝鮮王朝儀軌」を引き渡しました。
韓国は、民主党政権の3年間で、日本は「ごり押しすれば簡単に退く国家」と確信したのでしょう。
特に、今回の対処を誤れば、事は対韓国の問題だけでは済みません。
今回の日本側の対応を、北方領土に足を踏み入れたロシアのメドべージェフ首相や尖閣諸島実効支配を虎視眈々と狙っている中国が注目しています。
日本政府の最終兵器が「遺憾の意を表す」程度に過ぎなければ、着々と竹島の実効支配強化を進める韓国に倣って、ロシアは北方領土領有の既成事実化し、中国が尖閣諸島の実効支配を進めることは間違いありません。
尖閣諸島は、8月中に東京都が尖閣諸島の調査の許可を国に求めています。しかし藤村官房長官国は「何人も尖閣諸島への上陸を認めない」との方針を打ち出し、中国に弱腰姿勢を見せています。
幸いにも8月初旬に3つの台風が尖閣諸島を通過しました。「神風」が中国船の出港を阻み、辛うじて守っているような状態にありますが、問題は日本国家に自国を守る意志があるかどうかが問われています。
今回の韓国大統領の竹島上陸に対する対応を誤れば、次に来るのは中国の尖閣諸島上陸であり、「日本占領」のシナリオです。
日本政府は、今回の対応の失敗が国難を呼び込むことを肝に銘じ、日本固有の領土である「竹島」を守り抜くべく、毅然たる態度で、竹島の主権確立を目指すべきです。 (文責・佐々木勝浩)
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