大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆奇妙な恐怖小説群
☆ghanayama童話
☆写真絵画鑑賞
☆日々の出来事
☆不条理日記

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆分野を選択して、カテゴリーに入って下さい。

A,日々の出来事

☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

B,日々の恐怖

☆( 日々の恐怖 )

C,奇妙小説

☆(  しづめばこ P574 )                          

日々の恐怖 10月31日 作陶と奇妙な訪問者

2014-10-31 18:14:17 | B,日々の恐怖



    日々の恐怖 10月31日 作陶と奇妙な訪問者



 道楽でお茶をやっていて、知り合いの窯に自分好みの茶碗を作陶してもらっている。
窯があるのは関東某県の山中で、先週たまたま有休が取れたのをいいことに、依頼がてらお土産を持って泊りがけで遊びに行った。
山中といっても麓は普通に住宅街だし、別に人里はなれた鬱蒼とした山とかではない。
 茶碗の話を色々していたらあっという間に日も暮れて、窯の火が落ちるまで、作業小屋みたいなところでお茶を飲みながら陶工さんと話していた。
そしたら、19時ごろに作業小屋のドアを誰か叩くから、見てみたら男の人が1人立っている。
 格好は軽装というか、山登りって感じではなく、動きやすい格好で旅行している人みたいな感じだった。
鞄とかは一切持ってなくて、なぜかコンビニの袋だけ手に提げていた。
歳は30くらいかな。

「 どうかしましたか?」

って聞くと、

「 道に迷ったんですが、○○はどっちでしょうか?」

と言われた。
 まあ確かに山を越えれば行けなくはないが、ハードめなトレッキングで山を越えるとかでもない限り、どう考えたって車か電車で行った方が近い場所だ。
その通り答えたら、

「 あー、じゃあ街に戻った方がいいんですね。」

と言って、

「 疲れたんで、休んでいいですか?」

とか言うので、一応小屋に入れた。
 まあ関係ない人もいるので、焼き物の話じゃなくて適当に世間話とかして、その人も適当に相槌打ってたんだが、いきなり、

「 おにぎり食べませんか?」

とか言い出して、コンビニ袋からコンビにおにぎりを7~8個も出してきた。
 この時点で陶工さんと俺には、もはやこの人が何なのかさっぱり分からない。
こっちは山降りて陶工さんの家でご飯頂く予定なので、別におにぎりを食べたくもない。
 2人とも、

「 結構です。」

って答えたら、彼も食べる風でもなくそのまま。
 もしかしたら作陶を頼みに来たか、焼き物に興味があるけど常連ぽいヤツがいて邪魔だったのかなと思って、

「 焼き物にご興味があるんですか?」

と聞いてみても無反応。
無視とかいいえとかでもなく、全く聞こえてないような無反応ぶり。
 どうも変な感じだよなあ、と思ってると、陶工さんが、

「 表の雨戸閉めておかないとね。
俺さん、すみませんが手を貸してください。」

と言ったので、2人で外へ。

「 なんか変ですよねえ?」
「 物取りって感じでもないけど、おにぎりもなんだか変だし・・・。」

と相談。
 かといっていきなり置いて帰るわけにも行かないし、変な感じがするから警察呼ぼうというわけにもいかない。
一応頃合を見計らって帰るように促そうということになった。
 小屋に戻ってまた少し世間話をしていると、再び彼が口を開き、

「 今夜泊めてもらえませんかね?」

と言い出す。
 陶工さんが、

「 家は街の方だから、じゃあ一緒に降りましょう。」

と答えたら、

「 へっ。」

ってなんか冷笑するような顔になって、

「 麓なんですか。」

とポツリ。
そして、

「 長々とすいません。」

と言うと、さっさと小屋を出て行った。
 残された2人はポカーンだった。
陶工さんが見るに地元の人ではなさそうだし、何でわざわざ日が暮れて山に来て道を尋ねて、泊まろうとしたのかよく分からない。
 物取りだとしても小屋には窯だけなので作品はないし、そもそも陶工さんも道楽でやってるだけでプロの人とか名のある人ではない。
すごい穿った見方をすれば、陶工さんを殺しに来たが余計なヤツが1人いて失敗したとか。
精神的におかしいとか、知能的にどうとか、そういう感じでもない気はする。
 やり取りは普通だったし、物の受け答えもはっきりしていた。
強いて言うと、その人の所々の言動がなんだか変で、その人が来た途端すごく違和感のようなモヤモヤした感じがしていた。
ただの変な人だろ、と言われればそこまでだが気にはなる。











童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

☆童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。

-------大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ-------