日々の恐怖 6月13日 叔母(1)
叔母の話です。
叔母は若くして結婚したんだけど、相手が借金こさえて女と逃げたため、配偶者ということで連帯保証人でもない叔母に借金取りがきたりした。
当時は借金取りが家まで押しかけてきて、ピンポンしまくったり扉をガンガン蹴飛ばしたりして、以前の家に住んでいられなくなったので、うちに一時居候していた時期があった。
最終的に借金は、父親が間に入って旦那と連絡をとりあって色々話しあいをして決着をつけたんですが、その間、叔母と当時小学生の私達家族が一緒に暮らしていた。
ある日、叔母が突然、
「 今日、お客さんが来るからお茶菓子買いに行こうか。」
と言い出した。
私は、
“ 誰か来るんだな・・。”
程度に思っていて買い物に一緒にいって家に帰ってきて、母に、
「 今日、誰が来るの?」
と聞いたら、
「 え?誰も来ないよ?」
と返事があった。
“ 叔母の勘違いか?”
と思っていたところ、突然電話が鳴り、親戚が、
「 今、仕事で近所にきているんだが、時間があるのでちょっとお邪魔しても良いか?」
と連絡があった。
もともとこちらに来る予定はあったが、時間が無いのでそちらに行く予定はなかったのだが、先方の都合で突然ぽっかり時間が空いたので、ちょっと寄ると言うことだった。
もちろん、事前の連絡はしていない、と言うことだった。
その後もそういうことが何度かあった。
特に、未来を予知する能力があるわけでもなく、単純に突然来る来客をあてる能力だけがあるという、役に立つんだか立たないんだかよくわからない人だった。
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