日々の恐怖 9月19日 置物(2)
こちらの部屋の明かりが、真っ暗な隣の部屋の木製のテーブルを照らしていた。
そのテーブルに置かれたヤカンみたいな置物を見た瞬間、なんかよくわからんが、
” ゾクッ!”
とした。
置物の周りは、布と竹串みたいので作られた囲いがあった。
Kさんは、当たり前のようにその囲いから置物を拾い上げて、私に手渡して見せてくれた。
私は、それを両手で受け取って繁々と眺めた。
大きさはやかんなんだけど、やかんから取っ手と注ぎ口を無くして、素材は鉄器、蓋付きの壺みたいな容器だった。
すごいというほどではないけれど、まぁまぁ古そうな感じがした。
「 なに、これ・・・?」
って聞いてみたら、
「 俺もよくわからないけど・・・・。」
と言う前置きで、Kさんの知人が中国へ転勤したときに、借りた家にそれが置いてあったと教えてくれた。
Kさんの知人は、転勤してから家族が身体に不調が続いたり精神的に不安定になったりと、誰かが死ぬなんてことはなかったけど、何故か家族全員がこの置物を酷く嫌がるってことで、はじめは捨ててしまおうとしたみたいなんだけど、試しに蓋を開けてみるとメノウみたいな塊が見えて、それを見た瞬間にその知人は、ひっくり返って気を失ったそうだ。
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