日々の恐怖 9月22日 置物(3)
知人は、何なのかさっぱりわからないが、不気味で不思議なものだから、捨てて何かあると嫌だからと、引き取りをKさんが相談された。
何故だか、
” まあ、いいか・・・・。”
と思ったKさんが承諾すると、一週間かからずKさんの手元に、これが届いたと言うことだった。
Kさんは、
「 特に今まで何も被害はないけど・・・・。」
と言って、実際届いてからも彼自身には特に被害らしきものは未だに無いようだった。
ただ、Kさんが東京に住んでた頃のマンションの隣の部屋が、届いてから一ヶ月以内で首吊り、下から一日中騒音が始まった。
Kさんは偶然だと思ったようだが、話を聞くうち、届いてから三ヶ月以内に起こったことが異常じゃないかと感じた。
別に引っ越しシーズンではないのに、四部屋が引っ越しした。
別の一部屋は火事、部屋内だけで済んだようだ。
救急車騒ぎが別に三件、Kさんは興味がなかったから内容までは知らないようだが、五階建ての15部屋位のマンションで起こった。
Kさんもさすがに、このマンションは何かあるのかも、と考えたようだ。
それで、かねてからの憧れの田舎暮らしのために、この地元に引っ越してきたと言うことだった。
ただし、置物については、自分が大丈夫だから、原因では無いと考えているようだ。
Kさんが引っ越してから、まず置物の中身のメノウみたいな塊をドライバーで砕いてみたそうだ。
何層かになってたみたいだが、比較的砕きやすい材質と、お湯で流すと錆のような色をして溶ける事を発見したそうで、近くの川に紐で結わえて二週間程放置してたら、中が綺麗になくなっていた。
真実は謎だが、Kさんは言った。
「 多分、メノウみたいな塊は血だったんじゃないかなァ~。
やかんほどの大きさの置物に、長いことかけて一人分じゃないかもしれない血を何層にも固めて貯めて、なんかを呪ってたのかもね、ハハハ!」
ここまでKさんの話を聞いている間、私はずっとその置物を手に持ったままだったので生きた心地がしなかった。
しかも地元の川に、もしかしたらおぞましい呪いが掛かった血を洗い流すとは・・・・。
私はそそくさと置物をテーブルに戻した。
私に被害は、一応、今のところ、まだ無い、あったら困る。
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