日々の恐怖 1月4日 子供の顔(2)
写真の子供の顔が火で炙られていた。
黒ずんだ子供の顔。
焦った俺がノートを落とすと、ノートの隙間から何枚もの写真が出てきた。
どれも子供の顔だけが火で炙られていた。
はっと気配を感じて廊下側を見ると、廊下のガラスの向こう、すりガラスで姿は見えなかったが、教室の扉に向かって動いている影があった。
俺は担任と直感し、慌てて写真の束をノートに挟み込み、机に放り込んで引き出しを閉めた。
そして、咄嗟に開いていた窓から外に飛び降りた。
教室は一階とは言え、飛び降りた拍子で足首が痛かった。
その痛みにも関わらず、俺は担任の方が気になった。
それで俺は、教室の机からは死角になる窓から、隠れて教室の中をそっと見た。
教室に誰もいないことを確認した感じの担任は、机の引き出しを開け写真を取り出した。
担任は、その写真をじっと見た。
そして、その顔は笑っているように、俺には見えた。
そこまで見ると、俺は猛ダッシュで運動場に行き、友達と合流して夢中に遊んだ。
” 他の誰かがあのクソ担任に腹をたててイタズラをしたんだろう。”
と、思い込みたかった俺の考えは間違っていた。
今考えても、担任がそんなことをする理由がわからない。
夫婦の仲が極端に悪いとかで、写真の中の夫の顔を炙るならまだ分かる。
それが、なぜ子供の顔なのか?
あんなに自慢していた子供なのに。
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