一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

冒頭手続き (模擬裁判体験記6)

2007-11-26 | 裁判員制度
起訴状には被告人の特定と公訴事実(何をしたか)、罪名及び罰条(刑法第何条に規定する何罪に問われるのか)ということが書いてあります。
今回は簡単にするためなのかA4用紙1枚に納まっています。

内容はこんな感じ

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<被告人>
本籍(略)
住所(略)
職業 廃品回収業
氏名 木村 功(生年月日*****)

<公訴事実>
第1
被告人はx年y月z日v時w分頃、***所在**線高架下路上で志村喬に対し、殺意を持ってその胸部を包丁(刃渡り**cm)で2回突き刺したが、救助に駆けつけた加東大介に包丁を取り上げられたため、志村に加療3週間を要する傷害を負わせたにとどまり、目的を達することができなかった。
第2
被告人は正当な理由なく上記包丁を携帯した

<罪名及び罰条>
第1 殺人未遂  刑法第203条、第199条
第2 銃砲刀剣類所持等取締法違反  第**条

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実際の事案を基にしたのかどうかはわかりませんが、登場人物は映画『七人の侍』からとったようです(実はそのことが後々ちょっと影響してきます。)。


裁判官から「これはあくまでも検察側の主張で、これが事実かどうかを双方の主張を聞いて判断することになります。」と説明を受けます。


「それでは法廷に行きましょう」との掛け声でいよいよ模擬裁判の始まりです。

裁判官は法衣を上から被ります。
裁判員はそのまま。
ネクタイ着用などの服装規定はないそうなのですが、金髪・ピアスに派手なTシャツなどという裁判員が登場したら、傍聴にきた被告人の親族からクレームがつきそうです。


そして法廷で整然とできるように着席順に並んで部屋を出ます(この辺は芸が細かい)。

評議室に使っている法廷と模擬裁判に使う大きな法廷は裏の通路でつながっているのですぐです。
通路には予備の椅子や机などが置かれていたりして、けっこう雑然としています。
そして、法廷の入り口には着席する壇の高さ分3段くらいの階段があってバリアフリーではないので裁判員制度導入までには改修予定だそうです。


法廷に入ると、検察官、弁護人、傍聴人が全員起立をします。傍聴席は見学者で満員でちょっとびびります。
一礼して着席。

もともと裁判官3名用の壇上に9人分の席を並べたので、端は壁際ぎりぎり、検察官や弁護士を背中から見るくらいの位置に座ることになります。
双方の席の脇にはスクリーンがあり(どちらの端からも見えるように)、PCでのプレゼンテーションを予感させます。


裁判長が被告人に前に来るようにいい、氏名、生年月日、本籍、住所、職業などを確認します(「人定質問」)。

被告人役は浅黒く日焼けした細身で髪をそりあげた男性。廃品回収業でリヤカーを引いている、という役にぴったりです(あとで聞いたところ、弁護士会の職員の方で、日焼けはジョギングのせいだったとか。被告人役は随所にいい味を出していました。)。


その後検察官が起訴状朗読。
そして裁判長が被告人に黙秘権の告知をします。

そのあと被告人側の認否。
弁護人が「殺人未遂でなく傷害である。また被告人は事件当時泥酔しており心神耗弱による刑の減軽を求める。銃刀法違反は認める。」と主張します。

要するに殺意はなかった、しかも泥酔していて善悪の判断能力がなかったので完全な責任は問えない、という主張です。


そして双方の冒頭陳述が始まります。

(つづく)
コメント
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