一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

守屋前事務次官の妻の逮捕と刑法65条1項

2007-11-28 | 乱読日記

守屋前次官と妻逮捕=ゴルフ旅行わいろと認定-収賄容疑、12回で390万円
(2007年11月28日(水)20:14 時事通信)

防衛装備品の調達をめぐり、ゴルフ旅行の接待を受けたとして、東京地検特捜部は28日、収賄容疑で前防衛事務次官守屋武昌(63)と妻幸子(56)両容疑者を逮捕、自宅を家宅捜索した。守屋容疑者は接待について、わいろだったと認めているとみられる。  

(中略)

幸子容疑者はすべての接待旅行に同行。特捜部は、次官の妻として接待を受けているとの認識があることから、収賄容疑の「身分なき共犯」に問えると判断した。

公務員でない妻がなぜ収賄罪で逮捕?と一瞬思ったのですが、ちょうど裁判員モニターの予習用に買った大谷 實『刑事法入門 第6版』を読み返してみると

刑法65条は、その解決方法として、第1に、1項で「犯人の身分によって構成すべき犯罪行為に加功したときは、身分のない者であっても、共犯とする」と規定し、真正身分犯(注:行為者の一定の身分が犯罪の構成要素となっている場合)に関与したときは、身分がない者についても身分のある者と同様の犯罪が成立するとした。それゆえ、非公務員Aが公務員Bと共同して収賄を収受したときは、共同正犯としてAにも収賄罪が成立するのである。

設例がずばりそのものですね。
守屋前次官のケースでは妻の方がゴルフ好きだったようなので、共犯になりうると判断したのでしょう。

「身分犯の共犯」という、そういえば20年以上前に刑法総論とかで出てきたなぁという話ですが、刑事裁判づいているところにはちょうどいい錆落としになりました。


この本、コンパクトなのですが非常によくまとまっていると改めて感心しました。
 






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証拠調べ (模擬裁判体験記8)

2007-11-28 | 裁判員制度
双方の冒頭陳述が終わった時点で休廷し、評議室へ。


評議室に戻ってしばし休憩。
「さすがに緊張しますね~」などと談笑。
トイレに行くと、さっき傍聴していた人々も廊下に出てきています。
こっちの顔などは覚えていないでしょうが、隣で用を足すのもちょいと照れくさい感じがします(そういえば裁判官用のトイレって別にあるんでしょうか?聞き忘れてしまった^^;)。


休憩が終わると裁判官から、今後の審理予定のスケジュール表が配られます。
このあとは検察側の甲号証の証拠調べがあって、昼休み。
午後は検察側証人(被害者志村、目撃者加東)の証人尋問、弁護側証拠調べと検察側乙号証、被告人質問と続きます。


つぎに、冒頭陳述の議論の整理のために争点についての主張を整理した資料が配られました。
「争点1:殺意の有無」「争点2:責任能力」について双方の主張を対比した表になっていて、3枚目以降は明日使う「殺意とは」「心神耗弱とは」を説明した資料。
証拠調べや評議のときに参考にしてください、とのこと。


それともうひとつ「証拠等関係カード」という字の小さい表が配られました。
請求者、番号、標目、立証趣旨、意見、結果、などという欄があるのですが、「標目」とは証拠の種類のことだと思うのですが「包丁」「・・・報告書」はいいとして「実(抄)」「電話」(電話での聞き取り?)「検(抄)」などの符合はよくわかりません。
「意見」欄には「同意」とか「不同意一部撤回」とか書いてあり、「結果」欄には「決定」とか「同意部分決定」などとあります。

おそらく公判前準備手続きの中で、双方がお互いの証拠の採否について議論した結果をまとめた表なのでしょうが、最後まで読み方がわかりませんでした。
裁判官も細かく解説してくれませんでしたし、この後この資料が活躍する場もありませんでした。

ところで民事訴訟では原告側の提出する証拠を「甲号証」被告側の証拠を「乙号証」というのですが、「証拠等関係カード」では検察官が請求者の証拠に(甲)(人)(乙)という符号がついてます。なので「乙号証」というと反射的に弁護側の証拠かと思っていたら違うようです。弁護側の証拠は「弁号証」と読んでました。
(生兵法は怪我の元ですね・・・)


あっという間に時間が来て、また法廷に。
検察側の甲号証の証拠調べです。

犯行現場の説明と現場見取図の映写+配布、包丁の写真と現物(実際は模型でしたが、検察官が手につまんで掲げるところは唯一テレビドラマで見た光景でした)、被告人らが住んでいた寮状況の説明と現場見取図の映写+配布、かけつけた警察官による被告人のアルコール呼気検査記録、救急隊の活動報告の説明、医師からの聞き取り・診断書の説明、被害者の刺創の場所を図示したものとTシャツに開いた穴の位置を示す図の映写+配布などがなされました。

これは「はいないなるほど」と聞いていればよいので楽でした。

ただ、遺体の写真や被害者の傷の写真を見せられたりすると、インパクトは大きいだろうなと思います(今回は模擬裁判だったので当然図でした^^;)。
特に今回のように昼食の直前だと・・・


以上で午前中の予定は順調に終了し、昼休みです。

(つづく)
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