一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『イスラム石油戦争』

2007-03-16 | 乱読日記

表題は「イスラム」とあるのですが、イスラム圏に限らず、中央アジアやアフリカの産油国の事情まで含めて論じた本です。

ただ、著者が非常にまじめな方なのか、独自の分析や主張はほとんどなく、事実関係をわかりやすくまとめた本になっています。
たとえて言うと、東洋経済の特集記事のより大きなものを本にした、という感じです。

その意味では今が旬の本かもしれません。
逆に、事実を淡々と記述するスタイルなので、誘導的でもないため、自分なりの問題意識を持つことができます。


本書はいろいろ参考になったのですが、本書のテーマをはずれて印象深かったのが、急成長著しいドバイの首長シャイフ・ムハンマドが2004年の世界経済フォーラムで言った次の言葉

車が政治で、馬が経済ならば、われわれは馬を車の前につけなければならない。

一定の発展をとげた発展途上国においては、得られた富の再分配に走りがちになるいうへの自戒ですね。
そういえば小平にも

白い猫でも黒い猫でもネズミを捕るのはいい猫だ

という名言がありましたね。

確かに、いかに収益をあげるかという経済(=外側)の論理が幅を利かせるか、収益の再分配という政治(=内側)の論理が幅を利かせるか、というのは古くて新しい問題ではあります。
いわゆる「大企業病」というのは、安定的に一定規模の収益があがる会社において、さらなる成長を目指さずに、内向きの政治の論理が優先する状況を言うわけですから。


それはさておき、産油国の国内政治の状況や、原油の埋蔵量・輸出量・精製能力・政治的要因などをわかりやすくまとめた本です。

たとえば、産油国でも石油精製設備がないと国内へのガソリン供給が滞るので、外国からガソリンを買っている国がけっこうあるというのは目からウロコでした。
そのような国に限って、国内のガソリン価格に補助金を出すことで民意をつなぎとめていて、しかも補助金の原資は原油輸出なので、国内の人口・消費増加に伴いこういう構造の国は炭化水素(天然ガスも含め)資源の収支が産油国にもかかわらず赤字になっている(=将来採掘される原油で今の需要をまかなっている)という構造にあるそうです。


ちょっと物知りになりたければお勧めの本です。


PS けっこう「車が馬の前についている」ような組織って多いですよね・・・ 






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ミシュラン・ガイド日本上陸

2007-03-15 | よしなしごと
ミシュランガイド東京版発刊へ 仏の格付け本、アジアで初
(2007年3月14日(水)18:40 共同通信)

日本は22カ国目とのことですが、そもそもEU加盟国で27もあるわけなので、逆にEU加盟国でもミシュラン・ガイド(フランスの会社なので「ミシュラン・ギデ」ではないかというそもそもの疑問はさておいて)がカバーしていない国はまだあるんですね。
また、ヨーロッパの外に出たのが2005年のアメリカがはじめてのようです(参照)。

ヨーロッパでは歴史もあり権威があるのでしょうが、「他流試合」の実績はまだまだのようなので、文化の違う、しかも自薦他薦グルメの多い日本では違った意味で話題になりそうな予感がします。


ところでミシュランって日本では衛生用品(ありていに言えばコ○ドーム)のオカモトと合弁の「ミシュランオカモト」という会社でタイヤ製造を行っていました。
なので、日本でのガイドはオカモトとの夢のコラボレーションになるのか(昔、ホイチョイプロダクションの『東京いい店やれる店』という本がありましたね)などとも思ったのですが、合弁は平成13年に解消してたんようです(参照

ということで、今回はネタにならずおそまつさまでしたm(_ _)m
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「ハケンの品格」最終回

2007-03-14 | よしなしごと
テレビをつけたら初回だけ見た「ハケンの品格」の最終回をやってました。

ドラマ的には盛り上がっていたようなんですが、最終回のちょいと説教くさい前向きさを「身分問題」てんこ盛りのテレビ局に言われるのもどうかと思ってしまいます。

それに、相変わらず基本がわかっていない。

 「部長~。新しい派遣社員の面接です。」

って、派遣社員の事前面接は違法なんですけど・・・


<追記>
匿名法務部員さんにいただいたコメントのように「リアリティ」について考えてみると、最終回でいちばんリアリティを感じたのが、加藤あいの担当の派遣会社の営業マン。

シャツとネクタイが妙に派手で、髪の毛を立たせている典型的な派遣会社の営業マンでした。
私の経験から言うと、派遣会社の営業マンっていかにも「いい加減なアンチャン」風が多いです(それは勤務先がクライアントとして「美味しくない」からかもしれませんが)。
昔、TVコマーシャルで「会社でこういう目にあったらここに電話して」というようなコマーシャルを流している某社に依頼したところ、自分がこいつに派遣先を紹介されるんだったら前の会社でひどい目にあっていたほうがまだまし、と思いたくなるような営業マンが出てきたことがありました。
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日本の底力

2007-03-14 | よしなしごと
昨日のNHKの朝のニュースで取り上げられた、牛糞から堆肥を製造する過程で、今まで出ていた悪臭を資源化している、という話です。


もともと牛糞の発酵(堆肥化)を促進するために、原料の下から空気を送り込んでいたのですが、発酵の過程で出る悪臭(アンモニア臭)が問題でした。

これを、今まで送風していたものを逆に吸引することで、外部への悪臭の拡散を防止するとともに、悪臭の元になるアンモニアに燐酸を加えて肥料の資源として回収して、さらにそこから発生する熱と水蒸気を、ハウス栽培に利用できるようになったそうです。

悪臭という公害が資源として活用されることになります。
牛糞1tで灯油24リットル相当の熱量が得られるそうです。

こういう話を聞くと、日本の農業・畜産業の底力を見るようでうれしく思えますね。


うろ覚えの上に素人説明なので間違えているといけませんので、ちょっとググってみました。
詳しくはこちらをご参照ください(多分ここのことだと思います)。
家畜ふん尿の資源化過程で発生する臭気を処理する装置
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村上春樹『アンダーグラウンド』

2007-03-13 | 乱読日記

最近、ちょっと昔の本を読むことが多くなりました。

これは村上春樹が地下鉄サリン事件の被害者へのインタビューによるノンフィクションです。


地下鉄サリン事件は1995年3月20日に起きました。

当時職場は虎ノ門にあり、被害のあった霞ヶ関駅に近かったため、朝からヘリコプターがいっぱい飛んでいてるな、と空を見上げると、とてもきれいな青空だったという記憶があります。


この本をノンフィクションとして読むと、日常生活の中に予想もしない危険が現前したときに人々はどう考え、どう行動したのか、そして自分だったらどうしたのか(そこに居合わせた被害者であったら、または被害者を助ける立場、危機管理をする側であったら)を考えさせられます。
そして、具体的な言葉で語られる後遺症と(今では一般化しましたが)PTSDについても深く印象に残ります。


もうひとつは「村上春樹の書いたノンフィクション」としての読み方です。最後に村上氏自身がなぜ本書を書くに至ったかについての40ページほどの文章があります。

オウム真理教のもつ「居心地の悪さ、後味の悪さ」は私たち自身が持っている「物語」への依存の仕方を非常に醜い形で提示されたことに起因しているのではないか。
そして、われわれもそれを無意識のうちに認識しているために、あえて事件そのものの意味を掘り起こさずに「異常な集団の反社会的行動」として裁判という制度の中に封印してしまおうとしている(=「とっとと死刑にしてしまえ」)のではないか。
そしてその疑問は麻原彰晃の作った「物語」の結果としての惨劇を「あちら側」の荒唐無稽なものとして処理してしまうこと、は逆に「こちら側」が有効な「物語」を持ちえていないことへの問題意識につながります。

あなたは誰か(何か)に対して自我の一定部分を差し出し、その代価としての「物語」を受け取ってはいないだろうか?私たちは何らかの制度=システムに対して、人格の一部を預けてしまってはいないだろうか?もしそうだとしたら、その制度はいつかあなたに向かって何らかの「狂気」を要求しないだろうか?(中略)あなたが今持っている物語は、本当にあなたの物語なのだろうか?あなたが見ている夢は本当にあなたの夢なのだろうか?それはいつかとんでもない悪夢に転換していくかもしれない誰か別の人間の夢ではないのか?

こういう性格自体が物語の本来持つ機能でもあるわけです。
これがゆがんだ形で出ると企業戦士(死語w)とか自分探しとかになっちゃうわけですが・・・

小説家である村上春樹としてはそこを強く意識したのだと思います。


ところで僕は昔は村上春樹の小説が好きで、新刊が出るとすぐに買って読んでいたのですが、書棚を調べると『国境の南・太陽の西』(1992年刊)までが単行本で買っていて、『ねじまき鳥クロニクル』からは文庫(1997年刊)になってます。『海辺のカフカ』以降は読んでません。


その間、何を「自分の物語」にしていたんでしょうかね、あたしゃ(^^;

 






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主張と活動は別?

2007-03-12 | まつりごと
統一地方選挙に向けて、街頭演説が盛んになってきました。

碑文谷のダイエーに買い物に行ったら、小林興起氏(今、国民新党にいるんですね)が演説をしてました。

通りをはさんで反対側では、民主党の人(誰か不明)が街頭演説の準備を始めていました。



堂々と目黒通りに路上駐車をしています。
しかも交差点のすぐそばです。


(写真中央の車がそれ)


交差点付近の路上駐車は車の流れを著しく妨げるので、駐停車禁止になっているはずです。最近は交差点の近くの道路を赤く塗って、駐停車禁止をアピールしているところも多いですね。

ちょっと脇道にはいれば荷降ろしくらいは迷惑をかけずにやれるところはいっぱいありますし、駐車場だって金さえ払えばダイエーの大きいのがあります。
そういう自分勝手な行いで行政の地道な努力(参照)を踏みにじっておいて、街頭演説で都政を批判してはいけませんよね。


街頭演説のときの路上駐車のマナーの悪さは民主党に限ったことではないのですが、皆さんご立派な主張をしたとしても説得力がなくなってしまうと思わないのでしょうか。

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「あとがき」での謝辞について

2007-03-11 | よしなしごと

小熊英二(慶應大学総合政策学部助教授)の随筆「一大学教師の履歴」から。

小熊氏は学者になる以前は出版社で編集者をしていて、数百万・数十万部単位で発行する本や雑誌で採算を取っている大手取次業者にとっては数千部しか売れない学術書は「ハナクソ同然」としか思われていない一方で、一部の良心的な書店員がなんとか良い本を売ろうとけなげな努力をしているという実情をふまえたうえでの厳しい感想であります。

指導教官や研究会の仲間、編集者などへの献辞を本の後書きにずらすらと書き並べてくる著者の原稿をもらうと、「おまえはこの文章を印刷工が植字し、校正者が誤植を直し、営業部員が売り込んで、書店員が店頭に並べてくれ、この後書きを印刷するために木を切ってパルプを作っているということを一度でも考えたことがあるのか?どうせ出版社といえば編集者くらいしか会ったことがないから、編集者にだけ謝辞を書くんだろう。指導教官や仲間への献辞なら、印刷して数千部もばらまく必要なんかない。献本するとき自分で手紙でも書けばいいじゃないか」と思った。


確かにあとがきでの謝辞って「お約束」になっている感がありますよね。
昔の学術書などにはあまりなかったようにも思います。この辺も欧米のスタイルをまねたところから入っているのでしょうか。

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健康老人12ヵ条

2007-03-10 | よしなしごと

辻一郎(東北大学大学院医学系研究科教授)の「アクティブ・エイジングの勧め」からのメモ。

辻氏は1998年に国民健康保険中央会が全国すべての市町村から推薦された80代前半の健康老人への詳細な聞き取り調査の結果を「健康老人十二ヶ条」にまとめています。

1 食事は一日三回規則正しく
2 よくかんで食べる
3 野菜、果物など食物繊維をよくとる
4 お茶をよく飲む
5 煙草は吸わない
6 かかりつけの医師をもっている
7 自立心が強い
8 気分転換の活動をしている
9 新聞をよく読む
10 テレビをよく見る
11 外出することが多い
12 就寝、起床時刻が規則的

ただ、昨今の健康ブームは「健康のための健康」になっているのでは、と指摘しています。調査からの教えは「健康になるために○○したからではなく、○○したから健康になった」ということだ、と指摘します。

健康それ自体が目的となるのではなく、健康とは「老いを楽しむ」資源であり手段なのである。

確かに、いやなことを我慢してやってまで長生きしても仕方ないですよね。
(といいつつ毎日酒を飲むことを正当化するw)

ちなみに、アメリカの研究者の試算によると、ウォーキングにかけた時間とウォーキングで延びる寿命はほぼ同じだそうです。

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農水省の人の話

2007-03-09 | よしなしごと
帰りがけに寄った飲み屋で農水省の人に会いました。

この前のエントリで書いたようなFTAがらみの話などをうかがいました(酒が入っていたので正確さには自信なし)。


関税と補助金というのは確かに政治的意味合いとしては違うかもしれないが、経済的には最終的な効果は同じだ。ただ、それを意識していないわけではなく、逆に「所得保障」というような制度はWTOの非関税障壁の枠外なので積極的に導入している国もあるが、農水省としてはそれはモラルハザードにつながると考えている。補助金と関税は適切なポリシーミックスを目指しているんだけどなぁ。

特定品目に保護が偏っているというが、乳製品を自由化したら生乳以外は価格競争力が圧倒的に劣るので、北海道以外の酪農は壊滅するし、北海道経済も致命的なダメージを負うことになる。実際アメリカ=オーストラリアのFTA交渉でも最後まで難航したのがアメリカの乳製品開放とオーストラリアの薬品だった。それほどオーストラリアの乳製品は世界的に競争力があるんですよね(牛の頭数だけでも圧倒的に違うし)。

また、砂糖については実態は沖縄への助成で、米軍基地への提供とバーターという政治的意味合いがあるんですよね・・・


前の中川昭一大臣のころは役人の資料を鵜呑みにせず自分の主張をきっちり言うタイプで、海外との折衝も上手だった。
でも、大臣説明のときに昼に蕎麦屋で飲んだとかで酒臭かったことがあった(やはりそうなのかw)

松岡農水相は、林業の世界では国際的にも名が売れているんですけどね。
まあ、以前は鈴木宗雄と連携して「SMコンビ」と異名をとって農水族として影響力を持っていたいたのですが。


食料自給率については、現在日本人の1日の消費カロリーは2600kcal。ただそれは統計上の数字で、実際は生ごみで捨てられる部分も多く、実際は2200kcalを摂取しているが、自給を目指せば1600kcalまで可能という試算があるらしいです(耕作可能地を全部農地にして、毎食米というようにすれば、という想定らしい)。

ただ、全部自給するのでなく、国家間協定のような形で食糧安保をはかっていくというのがいいんでしょうね。

また、日本は200カイリの経済水域の面積では世界第4位だし、海洋資源には恵まれていることをもっとアピールすべきなんでしょう。
日本の食生活は高級志向に偏ってて、マグロに需要が集中しているし、他の魚でも見た目がやせてるとかだと売れ残ってしまう。
日本用にはねられたものは中国に持ってって売られているらしいですよ。
いざ有事のときには近海で取れる魚を何でも食べる(秋なら秋刀魚ばっかりとか)というようなことをすれば、食料自給はけっこういけるんですけどね。

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好景気?

2007-03-08 | よしなしごと
よく、タクシーの運転手さんに聞くとわかる、などと言われ、私もそのクチなんですが、私が聞く範囲では「そんなこたぁねえな」という方が多いようです。
先日乗った車の運転手さんは、規制緩和で車両が増えた割には水揚げが減らないのだから、タクシー業界以外は景気はいいんじゃない?と冷静な分析をしていました。


大学の非常勤講師をしている知人の話では、4,5年前の就職が厳しかったときに比べると、学生の真剣さが如実に低下しているそうです。
学生が現金だ、というよりは10年前くらいからの企業の採用の絞込みと非正規雇用へのシフトを目の当たりにすれば、逆に需給関係が好転したら当然の反応なのかもしれませんね。

採用難といえば、風俗店も厳しいようです。(参照 風俗店の店長のブログは(あたりはずれは大きいですが)なかなか文才のある人がいます。)

司法修習を終えても弁護士は就職難のようですが(参照)、みすず監査法人に勤めている知人の会計士は、移籍先が決まったそうです(部門ごと移るらしいです)。


結局、高度成長期やバブル期のように、みんなが一律に景気がよくなるというわけでなく、景気拡大といっても成長率は高くないので、業界や業種ごとに需給関係を反映するようになっているということですね。

これはこれで健全で、逆に景気を長続きさせている原因なのではないかと思います。

こうなるとすぐ「格差社会」という話になってしまいそうですが、それは人材の流動性をどう確保するかとか社会のセーフティーネットの問題ですよね。


「格差社会」が出たついでに。
就職難についても、非正規労働者とか偽装請負(これは確かに問題ではあるのですが)についてはマスコミも舌鋒鋭いのですが、弁護士の就職難についてはちょっと興味本位の報道のようにも思えます。

「格差社会」を報じる背景にも、「やっかみ」のトーンが見え隠れしているところが気になります。

今朝のニュースなんかもそう。
東大病院の医師を痴漢容疑で逮捕(朝日新聞)
普通の会社員が逮捕されても「会社員」としか報道されませんが「東大病院の医師」というのは痴漢行為とは関係ない(電車内での行為のようなので)と思うのですが(プライバシーとの関係はどうなんでしょう)。個人の開業医だったら「医師」としか報道されなそうです。
こんなとこにも「やっかみ社会」の片鱗がうかがえるかと。
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浅野氏の出馬表明

2007-03-07 | まつりごと
都知事選、浅野前宮城県知事が正式に出馬表明
(2007年3月6日(火)21:45 朝日新聞)

ここしばらく話題の中心だったのですが、ようやく出馬表明をしましたね。
日曜のサンデープロジェクトに出演していたご本人を拝見したのですが、手堅い行政官、という感じの人でありました。
HP浅野史郎『夢らいん』の出馬表明でも、比較的手堅いことを言っています。

宮城県では、談合廃止と情報公開を徹底して行ったようですが、現在の東京都は財政状況も比較的よく、都庁職員の層も厚くて比較的死角がなさそう(だから青島幸男や石原慎太郎が知事ができるわけですが)な中で、「問題点を見つけて改善していく」スタイル(とお見受けしました)の浅野氏がどこまで都民の支持を得られるのか微妙な感じもします。

ご本人もカリスマ性では勝負できないと読んで、反石原票と「石原知事には飽きた」という浮動票をいかに獲得するかが勝負と考、出馬表明も3/22告示のぎりぎりまで引っ張って勢いを選挙戦につなげようということだったのかもしれません。


私自身は、石原慎太郎については(そもそも彼の「泣き笑い顔」が国会議員のころから生理的に好きではない、ということはおいといても)これから更に4年、都政への興味がもつのかな、というのがちょいと疑問です。
かといって浅野知事もまだよくわからん、という感じです。HPで経歴を見ると、宮城県知事は3期12年もやっていたので、多選反対というわけでもなさそうですので、もう少しいろんな考えを聞いてみたいと思います。



PS
ちなみに石原慎太郎の公式HPは『宣戦布告』っていうタイトルなんですね・・・
("sensenfukoku.net"というドメインもすごいw)
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FTAと農業保護

2007-03-06 | よしなしごと

私自身はWTOとFTAの違いも世界レベルと地域(または国対国)の協定の違いくらいの認識しかないので、以下は備忘録。


昨日の朝のNHK BSニュースのトピックスで、日米間のFTAに交渉入りする機運が高まってきたというのを、アーミテージ・レポートを引き合いに出しながらやっていました。
トーンも、ネックは保護主義をとる日本の農業政策だ、などと交渉開始前夜のような勢いでした。

ところがアメリカ政府全体としてはそこまではいっていないようです。
日米FTA交渉の準備は整っていない=USTR代表補
(2007年 02月 23日 金曜日 08:16 JST ロイター)  

米通商代表部(USTR)のカトラー代表補は22日、日本との自由貿易協定(FTA)交渉を開始する準備は整っていないとの認識を示した。 

カトラー代表補は「現時点では日本とのFTA交渉の準備はできていない」と発言。「(交渉開始が)不可能だということではないが、短期的には実現の見込みはない」と述べた。 

米企業経営者団体のビジネス・ラウンドテーブルと日本経団連は先月、「できる限り早急に」日米FTA交渉開始に向けた準備作業を進めるべきと表明していた。 

カトラー代表補は、近い将来の交渉開始を妨げる要因が少なくとも5つあると指摘。具体的には(1)日本政府が農産物市場の抜本改革に消極的であること、(2)日本政府が非関税障壁を通じて国内企業を優遇していること、(3)日本の官僚の間で自由化への抵抗が強いこと、(4)米国側も、反ダンピング(不当廉売)法、商船法の改正を迫られること、(5)日米両政府に「強い政治的なリーダーシップ」が必要になること──を挙げた。  

このタイミングでこういう切り口の報道をするのは何か意図とか関係方面からのプレッシャーとかがあったのでしょうかねぇ。  


それはさておき、この前とりあげたスティグリッツの本(参照)によると、アメリカの農業も補助金によって途上国の農業を圧迫しているという指摘がされていました。 
するとFTAを結ぶと、日本より生産額の多いアメリカの農業の方が打撃大きいのではないだろうか、という疑問が頭をよぎります。  

しかしFTA・WTO交渉と日本の農政改革というRIETI(経済産業研究所)の論文によるとそうでもないようです。  
これによれば、日本の農政にはつぎのような問題点があります。 

  • 日本の農業保護の水準自体はアメリカ・EUに比べても高くない。
  • それなのに、FTA・WTO交渉において農業では常に後向きの対応しかしない最も農業保護主義的な国という内外の批判があるのは、保護の仕方が間違っているためである。
  • 農業保護の指標には消費者負担(関税により消費者の購入価格を高く維持する)と納税者負担(農家に対する保証価格と市場価格との差を財政により補填(直接支払い等)する)の部分に分けられる。
  • しかも日本は米、麦、乳製品など特定の品目に保護制度が偏っている。 

そして筆者は次のように結んでいます。  

農業を保護するかどうかが問題ではない。関税による価格支持か直接支払いか、いずれの政策を採るかが問題なのである。関税引下げという外圧が来るまで改革しないというのではなく、衰退の著しい我が国農業自体に内在する問題に対処するため改革を行わなければ、外から守っても農業は内から崩壊する。EUは先んじて農政改革を行い、WTO交渉で関税引下げ、輸出補助金撤廃を提案するなど積極的に対応している。これまでどおりの農政を続け座して日本農業の衰亡を待つよりは、直接支払いによる構造改革に賭けてみてはどうか。  

つまり、農産物保護において高関税というスタイルをとっている先進国は日本くらいなので、まず最初の関税引き下げの議論のところでつまづいてしまい、そのあとの「アメリカだって高い補助金を出しているじゃないか」という議論までたどりつけない、ということのようです。  

日本はEUなどが納税者負担型(補助金・買い上げ)に転換する中で、従来どおりの高関税型を維持しているのでこうなってしまったわけなのですが、日本では「農業への補助金」というのは国民の反対があるという政治的判断があるのかもしれません。ただ、確かに関税型の方が一般消費者へのデメリットは大きいんですよね。

一方アメリカは、上院の半数は人口のたった16%によって選出されているわけで(参照)、そうなると「一票の重み」の大きい農業地帯に政府からの再配分を手厚くしようというのは「国策」になっているのかもしれません。

そうすると、FTAの交渉上は、農業保護を関税型から補助金型に切り替えることで、農業保護について同じ土俵に乗り、上のカトラー代表補の(4)の論点に切り込んでいく、いわば「肉を切らせて骨を断つ」交渉が可能になるのかもしれません。

PS
ところで素人の素朴な疑問。
FTAが広がると、重なっている部分を通じて広域に協定の効果が広がることになるのでしょうか?たとえば日本とアメリカがFTAを結び、日本とどこか途上国の農業国A国もFTAを結んだときに、A国とアメリカはFTAを結んでいなくてもA国→日本→アメリカという順に輸出がされると、実質関税をかけられないのではないかとか。

そんな間抜けなことはないと思うのですが、時間があったら調べてみようと思います。

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趣味?実益?

2007-03-05 | よしなしごと
宇多田ヒカルの離婚はさておき
何度目?宇多田両親も“恒例離婚”
(2007年3月4日(日)06:13 スポーツニッポン)

TVでは6回目といってました。
この二人が戸籍上の結婚・離婚にどういう意味を見出しているのか私にはよくわかりませんです。

そこで、宇多田父はアメリカベースで仕事をしていたと思うのですが結婚・離婚を繰り返すことで居住地を変更して、そのときの所得状況に応じた税制上の特典を得ようというのではないか(所得税だけならアメリカのほうが税率が低いので、何か損金参入や所得控除の特例の日米格差をうまく使っているのではないかと・・・)、というのが、何につけ経済的動機で考えてしまう下衆の勘ぐりなのですが。


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タワーマンションと新聞配達

2007-03-05 | よしなしごと
ネタ元を忘れてしまったので参照できないのですが、週末読んだ新聞(か何か)の最近流行のタワーマンションのメリット・デメリットについての記事で、新聞配達が1階の集合ポストまでしか来ないので、朝刊を取りに行くのが面倒、という話がありました。

戸別配達するには、朝、オートロックを開けないといけないわけですが、新聞配達に解除キーを渡すのもいやだし、かといって一定時間開けておくわけにもいかないので集合ポストに入れてもらって、各戸でとりに行こう、ということなんでしょう。


ネタ元探しでググッてみたところ、新しい物件では
・各階のエレベータを降りたところにもうひとつオートロックがあって、そこに集合ポストがある(新聞配達や郵便局の人は大変!)
・24時間フロントサービスがあり、そこで新聞配達員のIDと入退館時間をチェックしたうえで戸別配達する(これは高級物件なんでしょう)
などというものもあるそうです。


このへんのルールは管理組合で決められるので住民自治の世界なのですが、セキュリティと利便性をどのレベルでバランスさせるかはけっこう難しい問題ですね。
しかも超高層マンションだと戸数も多いので、210対200とかに意見が割れたときに単純な多数決で決めるのも後々しこりを残しそうです。


ネットで見れば済むので新聞は取らない、という人も増えてきているようですが、こんなことも後押ししているのではないかな、と思った次第です。


PS
マンションによっては、住民の中で朝まとめて新聞を受け取って戸別配達を請け負うアルバイトをしている人がいるマンションもあるようです。
そうなると新聞の再販価格制度って・・・?という疑問もわいてきますね。
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ポカポカ

2007-03-04 | よしなしごと
今日は春の陽気でした。



「桃の節句」は昨日だというのに、ご近所の早咲きの桜(追記参照)はこのとおり。




(追記)

念のため元の写真を拡大してよく見たら、花びらに切れ目が入っていないので、梅の花でした・・・(^^;

春の陽気は私の脳みそだったようでw

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