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記憶痕跡の再活性化、記憶を復活させる薬

2019-01-11 | 健康・病気
 北海道大学大学院薬学研究院の野村洋講師、京都大学大学院医学研究科の高橋英彦准教授、東京大学大学院薬学系研究科の池谷裕二教授らの研究グループは、脳内のヒスタミン神経系を刺激する薬物をマウスあるいはヒトに投与すると、忘れてしまった記憶をスムーズに思い出せるようになることを発見した。本研究成果は2019年1月8日付でBiological Psychiatry誌に掲載された。
 覚えてから長時間経過すると、記憶は思い出せなくなる。しかし、ふとした瞬間に思い出せることがあり、一見忘れたように思える記憶であっても、その痕跡は脳内に残っていると考えられる。しかし、忘れた記憶を自由に回復させる方法は存在しない。
 本研究グループは、脳内のヒスタミン神経系を活性化する薬が記憶に与える影響をマウスとヒトで調べた。
 記憶テスト前にヒスタミン神経系を活性化すると、忘れてしまった記憶でも思い出せるようになることを見出した。この薬の働きには、嗅周皮質と呼ばれる脳領域の活動上昇が関わっていた。また、特にもともと記憶成績が悪い参加者ほど薬の効果が大きいことがわかった。
 本研究成果は、脳内ヒスタミンや記憶のメカニズムの解明に有益であると共に、アルツハイマー病などの認知機能障害の治療薬開発の一助となることが期待される。
 因みに、「人間での実験結果については実験方法や結論については一部に疑問の声も出ている」と言う。
 注意
 ベタヒスチン(ヒスタミン神経系を活性化するヒスタミンH3 受容体逆作動薬)の服用にあたっては医師、薬剤師の指示に従い、自己判断で薬の服用を止めたり、決められた量よりも多く服用したりしないでください。ベタヒスチンの副作用の検討は少人数の試験では検証できないこと、そして処方薬の安易な服用は認められないことから、ベタヒスチンを記憶改善の目的で用いることのないようにご注意ください。