関西学院大学理工学部の清水 剛志博士研究員、中島謙介氏、吉川 浩史准教授、田中大輔准教授らと大阪大学の北河康隆准教授の研究チームは、有機物を電極材料として用いたリチウムイオン電池で、2種類の有機分子を混ぜ合わせた電極材料の特性が、それぞれの分子を単一で用いた場合に比べて劇的に向上することを見いだした。本研究成果は、2019年11月30日(日本時間)に英国王立化学会発行の科学誌「Chemical Science」オンライン版に掲載。
ポイント
〇2種類の有機物を混ぜ合わせた電極材料を用いたリチウム二次電池では、別々に有機物を用いた場合に比べて劇的に性能が向上することを見いだした。
〇有機物を混ぜることで、リチウムイオンが出入りできる隙間を作り出すことができたためであると考えられる。
研究の背景と経緯
リチウムイオン電池は、本年度の吉野彰博士のノーベル化学賞受賞に代表されるように、現代のIT社会を支える基盤技術として広く認知されている。
リチウムイオン電池の正極の材料には希少元素であるコバルトを用いた物質が使われており、高価なコバルトに代わる、より安価で高性能な正極材料が、現在も広く探索されている。特に、有機分子は軽く安価な電極材料として注目されており、さまざまな有機物が正極材料の候補物質として研究されている。しかしながら、優れた特性が予測される有機物を実際に電極材料として用いた研究では、予想に反して低い電池特性しか示さないことがしばしば起こることが知られている。
有機分子の電極材料の研究では有機分子を固体の結晶として用いるのが一般的であるが、有機物の結晶の内部にリチウムイオンが入り込む隙間を合理的に作り出すことが難しいことと、結晶が電解液に溶け出してしまい安定性が低いという2つの理由が性能低下の原因として挙げられる。優れた電極材料としてのポテンシャルを持った分子の特性を100パーセント引き出すには、有機物の結晶中にリチウムイオンが入ることができる通り道を作り出し、なおかつ材料としての安定性を向上させる汎用性の高い手法の開発が必要である。
研究の内容
田中准教授と吉川准教授の研究チームは、リチウムイオン電池の電極材料として、中心に正の電荷を持つ円盤状の有機分子と負の電荷を持つ円盤状の有機分子2種類の有機分子を混ぜ合わせた電荷移動錯体と呼ばれる材料を開発し、その特性が単一の有機分子と比較すると劇的に向上することを見いだした。
これは、有機分子が集積した結晶の中に、リチウムイオンが拡散する通路ができたためだと考えられる。単一の有機分子を用いた場合は、分子同士の電荷が反発して密に詰まった構造をとることが知られている。
本研究では、異なる符号の電荷を持った分子を1:1で混ぜることで、2種類の円盤状分子が交互に積み上がった筒状の構造を形成し、筒と筒の隙間にさまざまな分子を取り込むことができるようになることを明らかにした。さらに、電荷移動錯体が持つこの隙間を利用することで、高速でリチウムイオンが出入りする高い容量を持った電極材料を開発することに成功した。また、正負の電荷間の強い相互作用により、この電荷移動錯体の電解液への溶解が抑制されていることも確認された。
大阪大学の北河康隆准教授との計算機を用いた共同研究により、この相互作用のエネルギーを見積もることにも成功している。異なる電荷を持つ2種類の分子を混ぜるという本手法は、さまざまな有機分子の組み合わせで応用できるため、これまで高い特性を示さなかった有機分子が本来持っている特性を最大限引き出すことを可能とする新しい手法になるものと期待される。
今後の展開
優れた特性を持つ新しい二次電池が開発されれば、スマートフォンやノートパソコンなどの身の回りのモバイルデバイスの性能を飛躍的に向上させることが可能になる。本研究で開発した技術を活用することで、それまで特性が悪いと思われていた有機分子2種類を混ぜ合わせるだけで、その電極材料としての特性を飛躍的に向上させることが可能になる。一方で、そのような有機分子の組み合わせの数は膨大なものになるため、本研究成果は、広大な「組み合わせによる材料開発」の存在を実証した研究成果であるということができるかもしれない。
今後は、このような膨大な数の候補物質を効率的に探索するために、現在発展が著しい人工知能を活用したマテリアルズインフォマティクス(MI)の手法を利用した効率的な材料の開発が期待される。
晴れ、風がとても強い。気温は最高気温9℃、風が強いので、体感気温はもっと低い・・。
今年は積雪の期間が殆どない・・今日の散歩は枯れ野の散歩。
近所の畑で、”フキノトウ”が出てた。・・周りには雪がない!!。
”フキノトウ(蕗の薹)”はフキ(蕗)の花の蕾で、葉が出る前に花蕾(フキノトウ)だけが地面に出てきた。早春の雪解けの防寒なのか、蕾を苞(ほう)が厚く取り巻いている。
フキノトウ(蕗の薹)
フキ(蕗)の蕾
キク科フキ属
原産地は日本、樺太・朝鮮半島・中国にも分布する
多年草
雌雄異花
雌花は受粉後に花茎を伸ばし、タンポポの様な綿毛をつけた種子を飛ばす
蕾の状態で摘み採り、煮物・味噌汁・ふきのとう味噌などで食べる
・・花が咲いてしまうと苦い
ポイント
〇2種類の有機物を混ぜ合わせた電極材料を用いたリチウム二次電池では、別々に有機物を用いた場合に比べて劇的に性能が向上することを見いだした。
〇有機物を混ぜることで、リチウムイオンが出入りできる隙間を作り出すことができたためであると考えられる。
研究の背景と経緯
リチウムイオン電池は、本年度の吉野彰博士のノーベル化学賞受賞に代表されるように、現代のIT社会を支える基盤技術として広く認知されている。
リチウムイオン電池の正極の材料には希少元素であるコバルトを用いた物質が使われており、高価なコバルトに代わる、より安価で高性能な正極材料が、現在も広く探索されている。特に、有機分子は軽く安価な電極材料として注目されており、さまざまな有機物が正極材料の候補物質として研究されている。しかしながら、優れた特性が予測される有機物を実際に電極材料として用いた研究では、予想に反して低い電池特性しか示さないことがしばしば起こることが知られている。
有機分子の電極材料の研究では有機分子を固体の結晶として用いるのが一般的であるが、有機物の結晶の内部にリチウムイオンが入り込む隙間を合理的に作り出すことが難しいことと、結晶が電解液に溶け出してしまい安定性が低いという2つの理由が性能低下の原因として挙げられる。優れた電極材料としてのポテンシャルを持った分子の特性を100パーセント引き出すには、有機物の結晶中にリチウムイオンが入ることができる通り道を作り出し、なおかつ材料としての安定性を向上させる汎用性の高い手法の開発が必要である。
研究の内容
田中准教授と吉川准教授の研究チームは、リチウムイオン電池の電極材料として、中心に正の電荷を持つ円盤状の有機分子と負の電荷を持つ円盤状の有機分子2種類の有機分子を混ぜ合わせた電荷移動錯体と呼ばれる材料を開発し、その特性が単一の有機分子と比較すると劇的に向上することを見いだした。
これは、有機分子が集積した結晶の中に、リチウムイオンが拡散する通路ができたためだと考えられる。単一の有機分子を用いた場合は、分子同士の電荷が反発して密に詰まった構造をとることが知られている。
本研究では、異なる符号の電荷を持った分子を1:1で混ぜることで、2種類の円盤状分子が交互に積み上がった筒状の構造を形成し、筒と筒の隙間にさまざまな分子を取り込むことができるようになることを明らかにした。さらに、電荷移動錯体が持つこの隙間を利用することで、高速でリチウムイオンが出入りする高い容量を持った電極材料を開発することに成功した。また、正負の電荷間の強い相互作用により、この電荷移動錯体の電解液への溶解が抑制されていることも確認された。
大阪大学の北河康隆准教授との計算機を用いた共同研究により、この相互作用のエネルギーを見積もることにも成功している。異なる電荷を持つ2種類の分子を混ぜるという本手法は、さまざまな有機分子の組み合わせで応用できるため、これまで高い特性を示さなかった有機分子が本来持っている特性を最大限引き出すことを可能とする新しい手法になるものと期待される。
今後の展開
優れた特性を持つ新しい二次電池が開発されれば、スマートフォンやノートパソコンなどの身の回りのモバイルデバイスの性能を飛躍的に向上させることが可能になる。本研究で開発した技術を活用することで、それまで特性が悪いと思われていた有機分子2種類を混ぜ合わせるだけで、その電極材料としての特性を飛躍的に向上させることが可能になる。一方で、そのような有機分子の組み合わせの数は膨大なものになるため、本研究成果は、広大な「組み合わせによる材料開発」の存在を実証した研究成果であるということができるかもしれない。
今後は、このような膨大な数の候補物質を効率的に探索するために、現在発展が著しい人工知能を活用したマテリアルズインフォマティクス(MI)の手法を利用した効率的な材料の開発が期待される。
晴れ、風がとても強い。気温は最高気温9℃、風が強いので、体感気温はもっと低い・・。
今年は積雪の期間が殆どない・・今日の散歩は枯れ野の散歩。
近所の畑で、”フキノトウ”が出てた。・・周りには雪がない!!。
”フキノトウ(蕗の薹)”はフキ(蕗)の花の蕾で、葉が出る前に花蕾(フキノトウ)だけが地面に出てきた。早春の雪解けの防寒なのか、蕾を苞(ほう)が厚く取り巻いている。
フキノトウ(蕗の薹)
フキ(蕗)の蕾
キク科フキ属
原産地は日本、樺太・朝鮮半島・中国にも分布する
多年草
雌雄異花
雌花は受粉後に花茎を伸ばし、タンポポの様な綿毛をつけた種子を飛ばす
蕾の状態で摘み採り、煮物・味噌汁・ふきのとう味噌などで食べる
・・花が咲いてしまうと苦い