大阪大学大学院情報科学研究科の橋本昌宜教授らの研究グループは、新ナノデバイスであるビアスイッチをFPGA(Field Programmable Gate Array)のプログラム機能実現に利用することで、FPGAチップの12倍の高密度化実装に世界で初めて成功した。また、AIアプリケーションに適したFPGAアーキテクチャを開発し、5倍のエネルギー効率向上が期待できること、半導体微細プロセスの採用により継続的な性能向上が期待できることを明らかにした。
これまでのFPGAは、プログラム機能の実現にトランジスタを多数利用しており、チップの低密度化、低性能化を招いていた。今回、橋本教授らの研究グループは、トランジスタを用いずに配線層内に配置したビアスイッチを用いてプログラム機能を実現するビアスイッチFPGAチップの開発に成功し、12倍の実装密度向上を達成した。最小線幅65nmのシリコンCMOSプロセスを用いた試作FPGAチップに所望のプログラムができることを確認した。最先端AIアルゴリズムを短期間で高性能に実装できるプラットフォームとしての利用が期待される。
本技術の詳細は、2月19日(米国太平洋時間)に米国サンフランシスコで開催される半導体技術に関する最大の会議である「国際固体素子回路会議ISSCC 2020(IEEE International Solid-State Circuits Conference 2020)」で発表。
ポイント
〇新ナノデバイスをFPGAのプログラム機能実現に利用することで12倍の実装密度向上に成功
〇FPGAは、ユーザーが論理機能を自由にプログラムできる半導体チップである。機能実現までに必要な設計期間が短く、日進月歩で開発が進むAIアプリケーションの実現プラットフォームとして注目
〇従来のFPGAでプログラム機能実現に必要だったシリコン面積を不要に
〇最先端AIアルゴリズムの短期間・高性能実装プラットフォームとして期待
研究内容
これまでFPGAは、短期間で機能実現でき、少量多品種の製品に適するという特徴により利用拡大が進んできた。しかし、チップ内のプログラミング機能の実現に多数のトランジスタを利用するため、チップの実装密度が低く、動作速度や消費電力などの性能が低いという課題があった。
橋本教授らの研究グループでは、ビアスイッチと呼ぶ新しい不揮発スイッチデバイスの開発を進めてきた。今回、ビアスイッチを用いたFPGAの試作に世界で初めて成功し、従来のトランジスタでプログラム機能を実現するFPGAに対して、12倍の実装密度向上を実証した。実装密度はFPGAチップの価格に直結するため、大幅なコスト低減が期待できる。また、プログラム機能の実現にトランジスタを利用しなくなったため、全てのトランジスタをコンピューティングに利用できるようになり、高いコンピューティング性能の実現も可能となる。最小線幅65nmのシリコンCMOSプロセスを用いて製造したFPGAチップをプログラミングし、期待通りの機能が実現できていることを確認した。ビアスイッチが次世代のFPGAに適したデバイスであることを明らかにした。
さらに、AIアプリケーションが効率的に実現できるFPGAアーキテクチャを開発し、その性能予測を行った。トランジスタを用いてプログラミング機能を実現したFPGAに対して、5倍のエネルギー効率向上が可能であることもわかった。最小線幅7nmのシリコンCMOSプロセスで製造した場合、さらに11倍のエネルギー効率向上が期待できる。
本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)
本研究成果により、AIアプリケーションを実現するプラットフォームとして期待が集まるFPGAデバイスの性能並びにエネルギー効率を向上させることができる。さらに高密度化により、FPGAデバイスの低価格化も期待できる。
◆用語解説
〇ビアスイッチ
配線層内に実現された不揮発スイッチ(原子スイッチ)とプログラム用の選択デバイス(バリスタ)からなるデバイス。プログラムを制御するためのアクセストランジスタが不要のため、配線層内に小面積で実装できる特徴を持つ。
〇実装密度
チップの単位面積あたりにプログラムできる量。ユーザーが論理機能を自由にプログラムできる半導体チップ。機能実現までに必要な設計期間が短く、日進月歩で開発が進むAIアプリケーションの実現プラットフォームとして注目が集まっており、各社が提供するクラウドサービスでも活用が進んでいる。
〇原子スイッチ
スイッチ機能と不揮発メモリ機能を合わせ持ったスイッチデバイス。金属原子が固体電解質内を移動してスイッチするため、低抵抗で低入力容量という特徴を持つ。
〇バリスタ
格子構造上に配置されたビアスイッチアレイに対して、選択したビアスイッチのみをプログラムするために導入された素子。低電圧印加時に抵抗が高く、高電圧印加時に抵抗が低くなる。
◆FPGA
FPGA(英: field-programmable gate array)は、製造後に購入者や設計者が構成を設定できる集積回路であり、広義にはPLD(プログラマブルロジックデバイス)の一種である。現場でプログラム可能なゲートアレイであることから、このように呼ばれている。
特定の処理を実行する論理回路を実装したICチップにはASIC(Application Specific IC)もあるが、これは製造時に固定的に回路を形成するもので、消費者向け電子機器など大量生産する場合には一個あたりの製造コストはASICの方が低くなるが、例えば企業内の特定の業務のために数十台、数百台のコンピュータに組み込むといった用途ではFPGAのほうが低コストとなる。また、FPGAは回路データを作成すれば即座にチップに実装して実行してみることができるが、ASICは通常の半導体製造工程で生産されるため設計が完了してから製品が完成するまで最短で数週間かかるという違いもある。電子製品の開発・試作段階ではFPGAを用い、本生産時には同じ回路設計でASICを製造するといった使い分けが行われることもある。
天気は晴れ、雲が少ない。気温は最高気温11℃、桜はまだ咲かない。
畑に作った花壇、菊を昨年植え替えた。その中に、1輪”クロッカス-ハナサフラン”が咲いている。どこから紛れ込んだのか?。
”クロッカス(Crocus)”の名は、ギリシャ語の”croke:クロケ、糸の意味”からで、雌しべが糸状に長く伸びることに由来する。雌しべは薬用やスパイスとして用いられるが、このクロッカスは、春咲きで観賞用だけに栽培されるものである。因みに、雌しべを用いるのは、クロッカスの一種の”サフラン”で、晩秋に咲くので、秋咲きクロッカスの別名がある。
クロッカス
別名:花サフラン、春サフラン
アヤメ科クロッカス属
耐寒性秋植え球根(春咲き球根)
原産地はヨーロッパのアルペン地域
開花期は2月~4月
花色は白・黄・紫・藤、網目状に模様が入る絞り咲きもある
これまでのFPGAは、プログラム機能の実現にトランジスタを多数利用しており、チップの低密度化、低性能化を招いていた。今回、橋本教授らの研究グループは、トランジスタを用いずに配線層内に配置したビアスイッチを用いてプログラム機能を実現するビアスイッチFPGAチップの開発に成功し、12倍の実装密度向上を達成した。最小線幅65nmのシリコンCMOSプロセスを用いた試作FPGAチップに所望のプログラムができることを確認した。最先端AIアルゴリズムを短期間で高性能に実装できるプラットフォームとしての利用が期待される。
本技術の詳細は、2月19日(米国太平洋時間)に米国サンフランシスコで開催される半導体技術に関する最大の会議である「国際固体素子回路会議ISSCC 2020(IEEE International Solid-State Circuits Conference 2020)」で発表。
ポイント
〇新ナノデバイスをFPGAのプログラム機能実現に利用することで12倍の実装密度向上に成功
〇FPGAは、ユーザーが論理機能を自由にプログラムできる半導体チップである。機能実現までに必要な設計期間が短く、日進月歩で開発が進むAIアプリケーションの実現プラットフォームとして注目
〇従来のFPGAでプログラム機能実現に必要だったシリコン面積を不要に
〇最先端AIアルゴリズムの短期間・高性能実装プラットフォームとして期待
研究内容
これまでFPGAは、短期間で機能実現でき、少量多品種の製品に適するという特徴により利用拡大が進んできた。しかし、チップ内のプログラミング機能の実現に多数のトランジスタを利用するため、チップの実装密度が低く、動作速度や消費電力などの性能が低いという課題があった。
橋本教授らの研究グループでは、ビアスイッチと呼ぶ新しい不揮発スイッチデバイスの開発を進めてきた。今回、ビアスイッチを用いたFPGAの試作に世界で初めて成功し、従来のトランジスタでプログラム機能を実現するFPGAに対して、12倍の実装密度向上を実証した。実装密度はFPGAチップの価格に直結するため、大幅なコスト低減が期待できる。また、プログラム機能の実現にトランジスタを利用しなくなったため、全てのトランジスタをコンピューティングに利用できるようになり、高いコンピューティング性能の実現も可能となる。最小線幅65nmのシリコンCMOSプロセスを用いて製造したFPGAチップをプログラミングし、期待通りの機能が実現できていることを確認した。ビアスイッチが次世代のFPGAに適したデバイスであることを明らかにした。
さらに、AIアプリケーションが効率的に実現できるFPGAアーキテクチャを開発し、その性能予測を行った。トランジスタを用いてプログラミング機能を実現したFPGAに対して、5倍のエネルギー効率向上が可能であることもわかった。最小線幅7nmのシリコンCMOSプロセスで製造した場合、さらに11倍のエネルギー効率向上が期待できる。
本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)
本研究成果により、AIアプリケーションを実現するプラットフォームとして期待が集まるFPGAデバイスの性能並びにエネルギー効率を向上させることができる。さらに高密度化により、FPGAデバイスの低価格化も期待できる。
◆用語解説
〇ビアスイッチ
配線層内に実現された不揮発スイッチ(原子スイッチ)とプログラム用の選択デバイス(バリスタ)からなるデバイス。プログラムを制御するためのアクセストランジスタが不要のため、配線層内に小面積で実装できる特徴を持つ。
〇実装密度
チップの単位面積あたりにプログラムできる量。ユーザーが論理機能を自由にプログラムできる半導体チップ。機能実現までに必要な設計期間が短く、日進月歩で開発が進むAIアプリケーションの実現プラットフォームとして注目が集まっており、各社が提供するクラウドサービスでも活用が進んでいる。
〇原子スイッチ
スイッチ機能と不揮発メモリ機能を合わせ持ったスイッチデバイス。金属原子が固体電解質内を移動してスイッチするため、低抵抗で低入力容量という特徴を持つ。
〇バリスタ
格子構造上に配置されたビアスイッチアレイに対して、選択したビアスイッチのみをプログラムするために導入された素子。低電圧印加時に抵抗が高く、高電圧印加時に抵抗が低くなる。
◆FPGA
FPGA(英: field-programmable gate array)は、製造後に購入者や設計者が構成を設定できる集積回路であり、広義にはPLD(プログラマブルロジックデバイス)の一種である。現場でプログラム可能なゲートアレイであることから、このように呼ばれている。
特定の処理を実行する論理回路を実装したICチップにはASIC(Application Specific IC)もあるが、これは製造時に固定的に回路を形成するもので、消費者向け電子機器など大量生産する場合には一個あたりの製造コストはASICの方が低くなるが、例えば企業内の特定の業務のために数十台、数百台のコンピュータに組み込むといった用途ではFPGAのほうが低コストとなる。また、FPGAは回路データを作成すれば即座にチップに実装して実行してみることができるが、ASICは通常の半導体製造工程で生産されるため設計が完了してから製品が完成するまで最短で数週間かかるという違いもある。電子製品の開発・試作段階ではFPGAを用い、本生産時には同じ回路設計でASICを製造するといった使い分けが行われることもある。
天気は晴れ、雲が少ない。気温は最高気温11℃、桜はまだ咲かない。
畑に作った花壇、菊を昨年植え替えた。その中に、1輪”クロッカス-ハナサフラン”が咲いている。どこから紛れ込んだのか?。
”クロッカス(Crocus)”の名は、ギリシャ語の”croke:クロケ、糸の意味”からで、雌しべが糸状に長く伸びることに由来する。雌しべは薬用やスパイスとして用いられるが、このクロッカスは、春咲きで観賞用だけに栽培されるものである。因みに、雌しべを用いるのは、クロッカスの一種の”サフラン”で、晩秋に咲くので、秋咲きクロッカスの別名がある。
クロッカス
別名:花サフラン、春サフラン
アヤメ科クロッカス属
耐寒性秋植え球根(春咲き球根)
原産地はヨーロッパのアルペン地域
開花期は2月~4月
花色は白・黄・紫・藤、網目状に模様が入る絞り咲きもある