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外部から固体触媒に電位を与えると低温で化学反応が速く進む手法を発見

2020-03-21 | 科学・技術
 早稲田大学大学院先進理工学研究科博士2年の村上洸太氏および理工学術院の関根泰教授らの研究グループは、外部から固体触媒に電位を与えることで、低温で化学反応が速く進む手法を世界で初めて発見した。これまで化学反応は高温ほど速く進むというアレニウスの法則が一般的であったが、その法則を打ち破る新しい概念である。本研究成果は、2020年3月13日(英国時間)にイギリス王立化学会のジャーナル「Chemical Communications」のオンライン版で公開。
 本成果は、JST未来社会創造事業 研究課題名「電場中での低温オンデマンド省エネルギーアンモニア合成」(研究開発代表者:関根 泰)の支援により実施された。
 ポイント
 〇化学反応は高温ほど速く進むというアレニウスの法則がこれまで一般的だった
 〇外部から固体触媒に電位を与えることで、低温で化学反応が速く進む手法を世界で初めて発見した
 背景
 スウェーデンのスヴァンテ・アレニウスは、1884年に化学反応は高温になるほど速く進むことを明らかにし、アレニウスの法則として高校の教科書にも記載されるほど有名な原理となった。本研究グループは、外部から固体触媒に電位を印加すると、この法則に反して低温ほど反応が速く進むことを発見し、その原因を探ってきた。
 研究の内容
 化学品や水素運搬体として期待されるアンモニアを、窒素と水素から作る反応はハーバーボッシュ反応として知られ、大規模に工業化されており、400度程度の高温と250気圧程度の高圧が必要である。
 本研究グループは、半導体性を有する固体触媒に、外部から電位を与えることで、この反応が200度以下の低温でも速やかに進むことを見いだした。さらに、200度以下の領域では、温度を下げたほうが反応速度が速くなる現象を発見した。一般的に、反応速度が低温で優勢になるのはアレニウスの法則に従い吸着現象のみである。しかし反応速度と吸着の相関を検討したところ、触媒表面でイオンが動く際に、吸着が多くなる低温で反応速度が速くなるというメカニズムが明らかになった。これは化学反応速度がアレニウスの法則に従うという過去の常識を打ち破る、新しい概念である。
 温度を自在に制御できる反応装置に、独自の固体触媒を設置し、外部から電場を与えて反応速度を評価し、非アレニウス法則(アレニウスの法則に従わない)型の反応となることを示した。続いて、赤外スペクトルにおいて、透過法と反射法を駆使して、固体触媒表面への吸着量を電場の有無、温度の違いで丁寧に評価し、科学的なモデルを構築した。最後にモデルによる計算結果と実験結果を照らし合わせたところ、見事に整合することが実証され、非アレニウス法則型の反応がどうして、どのように起こるのかを、吸着と速度の関係から明らかにした。
 研究の波及効果や社会的影響
 再生可能エネルギー由来の電力を利用し、低温で欲しいときに欲しいだけ化学反応が進められ、さらに温度が低い方が反応速度は上がるという現象は、これまでにない新しい特徴を有している。欲しいときに欲しいだけ、室温などの低い温度で物質変換が可能になるという、化学反応の世界にパラダイムシフトをもたらすものになる。
 このようなメカニズムで反応が進む例はまだ限られているため、再生可能エネルギーを生かして、エネルギーや物質を創り出す多様な反応を、低温で選択的に進められるような材料を探索し、展開を進めていく。
 ◆用語解説
 〇赤外スペクトル
 測定対象となる物質に対して赤外線を照射して、透過した光、あるいは反射してきた光を、波長ごとに分光することでスペクトルを得て、対象となった物の特性を知る方法。
 〇ハーバーボッシュ法
 ハーバー・ボッシュ法は鉄を主体とした触媒上で水素と窒素を反応させ、アンモニアを生産する方法である。1906年に開発されたこの方法は、1世紀以上が経過した現在でも肥料生産をはじめとするさまざまな工業プロセスに使用されている。
 しかし、ハーバー・ボッシュ法は大量のエネルギーを消費する手法である。世界で消費されているエネルギーの2%はハーバー・ボッシュ法の反応に使用されており、世界の二酸化炭素排出量のうち1%を占めている。

 晴れ。雲が少し多く、風も少し強い。最高気温が17℃とあるが、それほど温かさを感じない。
 近所の畑で、”ナノハナ(菜の花)”が咲いている。
 ”ナノハナ(菜の花)”は、”野菜(菜っ葉)の花”から”菜の花”になったもので、おひたしや和え物で食べられる葉や茎頂部の花芽や花である。大雑把にいえば、アブラナ科アブラナ属の蕾・花である。この畑の花は、”チンゲンサイ:アブラナ科アブラナ属)かな・・取り残したようだ。
 ナノハナ(菜の花)
 別名:花菜(はなな)、菜花(なばな)、菜種(なたね)
 アブラナ科アブラナ属
 開花時期は、2月~5月
 花弁数は4枚、黄花
 菜の花は春に見かける黄色い花の総称として使われる
 西洋油菜(せいようあぶらな)を「菜の花」と呼ぶことも多い