道内ただひとつの、工芸のみの団体公募展(ちなみに、道展と全道展には工芸部門がある)。
ことしも3年連続で協会賞(最高賞)の該当者がなかったものの、美工展の歴史に新たなページを刻む出来事があった。
新人賞を受けた西山悠平さんが、上川管内音威子府村にあるおといねっぷ美術工芸高校の在校生なのだ。
18歳の受賞者はもちろん美工展では初めてのこと。
作品は「和籠縁 . . . 本文を読む
(承前)
さて、部門別の出品数をみてみると、ことしは染色が15人、20点とダントツ。
やはり道都大中島ゼミ勢の躍進が大きい。
昨年、染色と同数でトップだった陶芸が11点(以下とくに記さない限り、人数と点数は同数)。
一時トップだった押花をはじめ、織、金工、組紐、人形の5部門がいずれも7点でならんでいる(金工は6人)。
これ以外に、ガラス、組紐、刺繍、漆芸、七宝、籐、皮革、ペーパークラ . . . 本文を読む
(承前)
これまで、さまざまな作品について述べてきたが、たまたま筆者の目についたものに触れたまでのことで、言及しなかった作品が良くないということではまったくない。
最後に、刺繍の会員、吾妻紀子さん(札幌)の「鮭の皮刺繍 大雪の花々」について書いておこう。
吾妻さんは以前も、道内の野鳥を題材にした超大作を出すなど、見る人を驚かせてきたが、今回も会場で最大の作品。しかも、遠くに大雪山系 . . . 本文を読む
(文中敬称略)
北海道抽象派作家協会は戦後の道内前衛絵画をリードした渡辺伊八郎らが1973年に旗揚げした団体である。
その後めまぐるしい同人の入退会があり、多くの生け花作家を展覧会に招待した時期もあった。展覧会は春の本展(札幌市民ギャラリー)と、秋の小品展(札幌時計台ギャラリー)の2度。
1990年代半ばからは、同人の顔ぶれもおおむね固定化し、会は安定期に入ったといえよう。
ことしは . . . 本文を読む
(承前)
今回、立体は、ふたつの展示室にひとつずつしかない。
第1展示室の中央部は、林教司(岩見沢市栗沢町)が占めることが近年は多い。
ことしの「news paper」は、その名のとおり新聞紙を固めて圧縮したもの。
新聞名がわからないよう巧妙に隠してあるが、筆者は職業柄、道新や読売の活字は遠くからでもわかる。
この塊はいったいなんだろうと思ったが、まきストーブで、まきの代わりに燃やす . . . 本文を読む
(承前)
このエントリで最後。
第2展示室にあった、一般出品者の作品を見てみる。
冒頭画像は、進境著しい若手の石川潤である。
目録には「呼吸」(F100×2枚組)とあるが、なんと14枚の大小の絵画をひとつの壁に再構成している。
近づいてみると、色の斑点だと思われたものは、まるで草むらの中にあいた異次元世界への穴のように見えてくる。
全体的には平滑なのに、それらの穴の部分だけ、絵画の . . . 本文を読む