池上さんの個展の会場に入る。
壁に並んでいるのは、ごくふつうの油絵である。
静物画が何点か。あとは、道内の何気ない風景をとらえている。
省筆の度合いが心地よい。
細かく描きすぎず、といって省略しすぎていない。
ふつうの絵だなあと思って、つい足早に通り過ぎたくなる。
でも、足を止めてじっと眺めていると、じわじわと良さがしみてくる。
日高管内様似漁港を描いた「早春漁港」。
エメ . . . 本文を読む
写真を撮る人で
「小樽」
とか
「壁」
をテーマにしている人はけっこう多い。
そして、それらはノスタルジーを呼び起こす、わりと「よくある」作品になりがちだ。
まあ、小樽の街並みにレンズを向ければ、なつかしい写真になるのはあたりまえで、そのことにあまり異を唱えるつもりはないし、わたし自身はその手の写真を見るのはけっこう好きだったりする。
濱田さんの写真は、小樽の古い家の壁などを題材にしてい . . . 本文を読む
札幌には、企画の画廊がほとんどない。
あるのは、貸し画廊ばかりである。
ここの読者の方はご存知だと思うけれど、貸し画廊というのは、6日間で5万円とか10万円というお金を作者が払ってスペースを借りる制度である。
お金さえあればだれでも自作を発表できるこの制度は、基本的に日本独特のものである(最近は、もっぱら日本人を相手にして、ニューヨークあたりにでもできているらしいが)。
考えようによっ . . . 本文を読む