天気 晴
まさにお散歩日和、少しでも気分は味わいたい、と外へ出るだけ出てみることにした。同行者は90歳の「お友達」。とにかく私は息切れと目眩でフラフラ、誰か同行してくれれば万一の時に助かる。彼女の方は足が悪くて歩行器代わりの買い物用手押し車を使っている。いつもなら、私が介助役なのだが・・でも、外へ出たら「携帯忘れてきた」と。ま、いっか。遠くまで行く訳でもないし私も簡単に倒れないだろうし。
10日以上も外へ出なかったら、ハナミズキが上の写真のようにすっかり紅葉していた。街中なのであまり綺麗ではないけれど、私の見られる範囲の紅葉。
退院後にリハビリがてらの初めての散歩へ出て、その日の夕方、帯状疱疹に気付いたのだった。あの日、入院の体力低下を少しずつ解消しよう、と思ったのに、帯状疱疹の追い打ちで今日はあの日よりも遙かに体力は落ちていた。というか、息切れがひどくてマスクなんかしていられない気分。ドラッグストアへ寄ったので、そこではマスクをしたものの、外を歩く時はマスクなしで・・それでも息苦しい。
ただ、足は何とか大丈夫だったので、駅前のバス停までは歩ける。バスで通院出来れば、病院の正面入り口がバス停なので楽なもの。足の機能を今のまま保たなくては。どうぞ、これ以上の病気を体験せずに済みますよう・・と祈りたい。またまた、感染者が増え始めている。自由に暮してはいても、じわじわと感染が近くまでやってきているのだろう。又、施設閉鎖の日が来るかもしれない。新しい入所者は、認知症の人が多いのかどうか、ノーマスクを貫く人ばかりだから、近づかないことにしている。なので、どういう人なのかを観察することもないし面倒でしたくもない。
私の入院中にご夫婦で入居した方があり、「家へ帰りたい」病で歩行の不自由な奥さんの面倒をご主人が看ている。ご主人は私と同じ階、奥さんはひとつ下の階。二人部屋はないので、夫婦は別の部屋になる。他のご夫婦の場合も、必ず別の階・・なぜ??と思っていたが、その理由が少し解ってきた。同じ階にすると、同じ部屋に夫婦で籠ってしまい、あまり良い結果にはならないことが多いらしい。例えば片方が認知症で片方が正常だと、正常な人は認知症の連れ合いに翻弄されてしまい、施設入所の意味がなくなる。解る気がする。
さて新しいご夫婦、私はてっきりご主人はしっかりしているのだろうと思っていた。ところが、一人で時々、4階の廊下をウロウロしていて気味が悪い。介護士さんに聞いたら「奥さんの部屋を探しているのでしょう、でもエレベーターの乗り方が解らないから」そういうことかあ~と理解出来た。
認知症の人の中には、エレベーターの乗り方の解らない人が多い。今の時代、マンション暮らしでなくてもエレベーターへ乗ったら行きたい階の数字を押せば良い、くらいのことは知っている筈だ。が、それも行きたい階が解っていて、エレベーターの仕組みを理解していてこそ出来る行為。それの出来ない人、出来なくなった人が多い、ということを私はここへ住んでから知った。
今日一緒に出掛けたお友達も、ご主人が先に逝っている。二人して、
「夫婦で認知症になるなんてほんとに悲劇。夫が先に逝ってくれて良かったわねえ、一人なら安心して認知症になれるわ」と。これ、本音です。奥さんを探して廊下を行ったり来たり・・哀れというかなんと言うか・・
椋鳥の群れの朝日に吸はれゆく KUMI