缶詰blog

世界中の缶詰を食べまくるぞ!

血のサラミ

2015-10-09 10:36:07 | 

 これは友人からいただいたドイツの缶詰。

 ROTWURSTと書いてあるが、ROTが“赤い”あるいは“血液”で、WURSTは“サラミ”なのだそうな。

 すなわちこれは血のサラミの缶詰なのだ。

 ドイツに限らず、ヨーロッパでは肉、脂肪といっしょに血を入れるサラミがあって、独特のこくとうまみがあり、好きな人には

「たまらない...」

 という。

 僕も一度、食べてみたかったのであります。

 中にはきっと、この写真にあるような、あらかじめ薄切りにされたサラミがぎゅうぎゅうに詰まっていることだろう。

 そんな期待に胸がふくらむ。では、いざ開缶...。

 

 えーと、これはホラーですか?

 薄切りどころではない。べとべとのペースト状である。

 色が生々しい。腕に鳥肌が立ってきた。

 あまりの禍々しさに耐えられず、フタをしてしまった。この缶詰には、便利なことにプラスティックのフタがついているのだ。

 

 こうして冷蔵庫に入れ、いったん冷却することにした。常温で開けたために、中身が柔らかくなり、あのような惨事が起きたのだ。

 腕の鳥肌も落ち着かせねばならぬ。

 そうして、翌々日に再び開缶...。

 

 かくのごとし。

 冷却されたことによって脂肪も肉もかたまり、禍々しさは消え失せた。

 こうしてみると、サラミの皮をむき取り、中身だけを詰めたように見えてくる。

 となれば、これはとても便利で贅沢な缶詰ということになる。

 まずは香りだが、クローブのようなぴりっとした香りが強い。そこにタイムやイタリアンパセリのような香りも混ざっている。

 そして、全体的にはレバーペーストっぽい匂いがしており、それが濃い。

 おそらくそれが血入りサラミの特徴なのだと思う。

 ではいよいよ、ひと口...。

 むっ。クローブの風味がとても強い。

 そこにレバーペーストっぽい香りと味が立ち上がってくる。

 しっかりとした塩気。かたまりの肉と脂肪にここちよい歯応えがある。

 豚肉の臭みや血の臭いはない。飲み込んだあとで、かすかに鉄分っぽい匂いがしているが、それをスパイスとハーブが全員で抑え込んでいるという印象である。

 その力は、あたかもラグビーW杯で活躍した日本代表選手のように強靱である。

 結論。この缶詰は冷却して食べたほうがよい。

 

 

内容量:200g

原材料名(訳が間違っていたらすみませぬ):豚肉(36%)、脂肪、肉汁、豚の血(8%)、玉ねぎ、全乳(2%)、食塩、スパイス、ハーブ、ブドウ糖、調味料、酸化防止剤、アスコルビン酸、亜硝酸Na

原産国:ドイツ

 


鯨アヒージョ缶、試作からレポート その1

2015-08-04 08:50:38 | 

読者諸賢よ!

「金華さば味噌煮」で知られる木の屋石巻水産で、新たな缶詰の開発が始まった。

それは鯨のアヒージョ缶であります。

これまで鯨缶といえば、甘辛く煮付けた大和煮がほとんどだった。しかし僕は密かに

(あの脂の乗った鯨肉でアヒージョを作ったら、ものすごくウマいだろうな・・・)

目論んでいたのだ。

その思いを昨年、同社の開発担当S氏に話すと

「やってみましょう!」

と、とりあえず試作をすることになった。

そうして出来上がった試作品がこれ。試作であることを示すため、フタには大きく“バツ”印がつけられている。

 

 

ぱかっと開缶!

フタを開いた刹那、にんにくとオリーブオイルの芳香が一気に拡がった。

モーレツに食欲をそそる匂いであります。

 

 

かくのごとし。

鯨肉の表面が白っぽくなっているのが興味深い。箸で割ると、中の身はもっと濃くで鮮やかな色合いである。

これはオリーブオイルで煮たことによるのだろうか。

こうして皿に盛りつけると、ますます匂いが発散し、もう、我慢がならぬ。

大きな切り身をひと口、ぱくり...。

むっ。これは、ウマい。

にんにく、唐辛子、オリーブオイルというアヒージョ特有の香りが口いっぱいにふくらんで、笑いながら鼻腔から抜けていく。

弾力のある肉を噛んでいると、例のワイルドな鯨の匂いが立ち昇ってくる。

しかし、大和煮よりもずっと穏やかである。

塩味がやや薄い。薄味好きの僕にはちょうどいいが、製品化するにはもう少し塩分を足した方がいいだろう。

なぜなら、加工食品というもの、薄味だと

「味が薄い。パンチがない」

という評価につながることが多いのだ。

逆に、しっかりと濃い味にすると、不評は少なくなるという。

ともあれ、これは試作段階でのレポートである。これからどんどん味がブラッシュアップされていくことであろう。

そんなことを頭の片隅で思いつつ、鯨肉を夢中で噛みしめ、飲みこむ。

突然、脳が指令を出した。

(ビールを摂取せよ!)

その指令に素直に従い、冷蔵庫から冷えすぎビールを取り出して、んぐんぐ...。ぶはーっ。

そこにまたまた鯨肉を追加投入。

まさに至福であります。

 

木の屋石巻水産は、大阪の辻学園 調理・製菓専門学校と、新たな鯨缶を生み出すべく共同開発を行っている。

同校生徒が試作した8品の中にも鯨アヒージョがあり、それは校内コンペで最優秀賞を受賞したのだそうな。

さもあらん。やはり、鯨肉はアヒージョと相性がいいのだ。

同社は現在、辻学園から監修を受けつつ、商品化を目指している。

そこで僕は、さらに別バージョンの試作も提案してみた。

あらかじめ鯨肉を砂糖醤油に漬けこんでから、アヒージョに仕上げるのだ。いわば和テイストのアヒージョである。

これもいずれ試作品が送られてくると思うので、またレポートしたいと思う。

乞うご期待!

 

 


ザ・クオリティ

2015-01-26 17:27:41 | 

 国分といえば、進撃の「缶つま」シリーズで知られている。

 しかし、昔からのブランドK&Kには、この牛肉大和煮のような定番缶詰が揃っている。

 上の画像は、その牛肉大和煮を湯煎して、フタを開けたところ。

 この肉の大きさよ。サシの入りかたよ。

 高品質とはまさに、このこと。


新春スクープ! 熟成肉の缶詰が登場!

2015-01-12 13:29:35 | 

 読者諸賢よ!

 何と、国分「缶つま」に熟成肉を使った新シリーズが登場する。

 屠(ほふ)ったばかりの肉よりも、1週間、あるいは2週間と時間を経ることでうま味が増す。これが熟成肉であります。

 しかし、ただ置いておけばいいというものではなく、温度と湿度を一定に保っておかねばならない。

 適度な風の流れも必要だそうな。

 そうした手間の分だけ、熟成肉は高価になる。何となれば、この缶つま熟成シリーズも高級缶として登場するわけだ。

 シリーズの中から、今回は2品を独占スクープでお届けしたい。まずは「北海道短角牛<ロースト>」であります。

 熟成はドライエージング製法で、味つけにはフランス・ロレーヌの岩塩を使用している。

 予定価格は税別2,000円と、思わず立ち上がりそうになるほどいいお値段。

 

 開缶! 牛脂のうっとりする香りが立ち昇ってくる。

 

 そしてこちらが「群馬県産氷室豚<グリル>」。

 氷室豚とは、豚肉の凍る-1.5℃以下にならないよう管理された低温庫(氷室)で熟成させる豚肉のこと。

 予定価格は税別650円であります。

 

 開缶! こちらは豚肉らしい匂いの合間に、焦げ目の香ばしい匂いもわずかに感じられる。

 ということで...。

 いよいよお味見であります。

 

 北海道短角牛ロースト、かくのごとし。付け合わせにオリーブを添えた。

 ころりとした切り身を頬張って、まずひと噛み。

 噛み切った肉のあいだから、コクのある脂のうまみが飛び出してくる。コクはあるが、重たくない脂だ。

 そしてやはり、香りがいい。畜肉臭さのないところにも熟成具合を感じる。とても美味しい。

 味つけは塩と香辛料のみ。塩っぱすぎず、ちょうどいい塩梅であります。

 

  氷室豚、かくのごとし。

 赤身主体で舌触りはあっさりしているが、それでいてパサつきはない。

 噛んでいると、じわりと品のいい脂を含んだ肉汁が出てくる。塩気は強めだ。

 レモンが合いそうだったので、レモン汁をふりかけ、さらにスライスを添えた。レモンの酸味は塩気を和らげる効果もあり、好みの味となった。

 

 熟成シリーズは今春3月の発売予定。

 この価格帯からすると、高級食品店やデパートなどに並ぶのだろうか。

 自分で買って食べるには勇気がいる価格だが、友人宅で食事会などするときのお土産にいいのではないか。

 

【北海道短角牛ロースト】

 固形量:40g

 内容総量:60g

 原材料名:牛肉、牛脂、大豆油、食塩、香辛料

 原産国:日本(東京・国分)

 予定小売価格:2,000円(税別)

 

【群馬県産氷室豚グリル】

 固形量:50g

 内容総量:60g

 原材料名:豚肉、香辛料、食塩、果実調味料

 原産国:日本(東京・国分

 予定小売価格:650円

 


ハギスとは何ぞや

2014-10-19 13:27:14 | 

Img_2832_2

 外国缶の魅力はすなわち、外国料理の魅力。
(いったいどんな食べ物が詰まってるんだろ…?!)
 このワクワク缶(感)がたまらないのだ。
 今回ご紹介するのは、スコットランド名物料理のハギス(Haggis)。
 ものの本によれば、ハギスは

「羊肉、内臓、オーツ麦、玉ねぎ、スパイス類を羊腸に詰めて蒸し上げたもの」


 なのだそうな。
 ハギス自体、未体験である。その缶詰を知人が買ってきてくれたのであります。缶謝!




Img_2836_2

確かにスコットランドと表記してある




Img_2838
開缶! 常温だと脂肪分が固まっているぞ




Img_2844
小鍋にあけて温めよう
弱火で気長にやらないと焦げつく




Img_2841

 かくのごとし。
 温めている段階から、かなり強い羊肉の匂いがしていた。それと、レバーのような内臓の匂いも混ざっている。
 羊好きなら、間違いなく食欲をそそる匂いだ。
 熱々のところをさっそく、ひと口頬張ってみると…。
 粗挽きの羊肉をスパイシーに炒めたような味がまず、ある。
 そこにねっとりぺとぺとした舌触りも加わって、食感は単純ではない。
 そこで原材料を見てみると、羊肉のほかにオートミールとあった。
 これがねっとりぺとぺとの正体らしい。ただの肉料理ではなかったのだ。
 スパイスもしっかり利いており、塩気もほどよい。実に上手く調理された缶詰であります。
 あとはマッシュドポテト、茹でたインゲンあたりを添えて食べるのがオススメだ。




 内容量:392g
 原材料名:仔羊肉、仔羊の肺(45%)、オートミール(19%)、仔羊の脂、スコットランドの水、玉ねぎ、塩、スパイス
 原産国:スコットランド(BSE問題のため輸入禁止)