缶詰blog

世界中の缶詰を食べまくるぞ!

Eger オリーブオイル・スプレッド

2005-05-12 15:22:58 | スプレッド

 この記事は『がんばらないで、やせよぉ』“テラス オン・ザ・ベイ”、『熱中生活を、勝手に応援させてもらうよ』にトラックバック。

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 その日、私たちは仏料理屋へ上がった。店は東京湾に面したホテルに入っており、居心地の良い、こぢんまりとしたスペースを持っていた。窓外には暮れゆく湾内の風景と、対岸の日本電気や東芝のビルが良く見えた。
 暖めたパンが配膳されたとき、ウエイターが皿に盛った薄緑色のペーストを持ってきた。
「こちらはオリーブオイルです。乳化剤を用いてバタのようにして御座います」
「やあ、珍しいな」
「本当ね、あたしこんなの初めて見てよ」
「美味いな。味はやはりオリーブオイルみたようだ」
「大変ありがとう御座います」
 本格的なフランス料理を食べるのは、初めてのことだった。しかもメニューは男女別に二冊あり、男用のものにだけ値段が書かれているような店だ。私はなるたけ安い料理を選んで注文しておき、あとはテエブルマナーをへましないようにと思っていた。

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 しかし店員たちは意外にも人なつこかった。ボルドォの酔いも手伝って、私のこわばった舌もゆるんできた。一番陽気なウエイターと冗談を交わすようにもなった。彼はこれからソムリエの試験を受けるんだと言って張り切っており、最後にチーズを試しているとき、これにはこのワインなぞと言って何種類か試飲させてくれた。どれも美味いワインで、私たちは充分に酔い、かつ交流を楽しんだ。

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 さて、会計の際にはホテル用クーポン券を使用した。連れが持っていたもので、そんなものがなければ私はフランス料理なぞ喰いに来なかったであろう。合計金額は目玉の飛び出るようなものであった。
「おや、お客様。このチケットでは少々多すぎます。しかしお釣りは出せませんし、さてどうしたものだらう」
「満腹で、もう何も入らない」
「追加いただくほどの金額では御座いません。あっそうだ、あのスプレッドはお気に召しましたか」
「なかなか美味かったよ」
「ああ良かった。少々のお待ちを」
 暫くして彼が持ってきたものが、この瓶詰めさん『Egerオリーブオイル・スプレッド』だったのだ。
「これは、ささやかながら私からの贈り物です」
 贈り物というのは、つまり余った金額以上のものをくれたわけだ。先ほどのプレーンのオリーブオイル・スプレッドと、それにガーリックを加えた別バージョンのものと、二つ。どうやらここで販売しているらしい
 私たちが店を辞去してからも、彼はずっと見送ってくれた。狭い廊下で、最後には大きく手を振った。私たちは腹も心も満たされて、モノレールに乗って台場をあとにした。

内容量:160g
原材料名:オリーブオイル、乳化剤
原産国:ギリシア
追:乳化剤は脂肪酸などだそうです