とうとう、缶詰blogに大御所さんがいらした。
竹中罐詰さんのオイルサーディンである。
これは、知っている人は知っている、知らない人は知らないという(当たり前だ)、缶界ではとても有名な缶詰なのだ。
銀座のバー『ロックフィッシュ』でも、このオイルサーディンの美味しさに衝撃を受けて、つまみに缶詰を出すようになったという。
たいした缶詰なんであります。
開けてみればこの通り。
精緻、規律、欣喜、品格。
こういった、普段はあまり使わない単語が出てくるほど詰め込みが美しい。
多くのオイルサーディン缶は、イワシを缶の長辺に対して平行に入れていくのだ。
ところが竹中は短辺に沿い、互い違いに詰めている。
もう、たまんないです。
皮が絹織物みたいに輝いている。
真ん中には月桂樹の葉が、ひっそりと一枚。
ここで筆者は、おもむろにニンニクを刻み始めるのである。
そいつを松の実、フェンネルとともにオリーブオイルで炒め始めるのである。
ニンニクに火が通った頃合いに、レーズンとオイルサーディンを投入する。
塩胡椒も振っておく。
ここでオイルサーディンを、1尾つまんでみる。
うーむむ、実に品の良い味。
味付けは少しの塩だけで、あとはイワシ本来のうまみがじわじわと舌の上に広がってくる。エグみがまったくない。
オイルは綿実油という、綿の種を絞って得られる高級オイルを使っている。こっくりとした丸い舌触りで、ほんのり甘い。しかし飲み込んだあとはすっきり切れる。
この間にパスタを茹でておくのが上手い手です。
かくのごとし。
イタリアはシチリア島の名物、イワシのパスタ(パスタ・コン・サルデ)であります。
僕はこのメニューを知らなかった。村上春樹のエッセイを読んでいたら、出てきたんであります。
以下、その部分を抜粋(『遠い太鼓』講談社文庫)。
「パスタに鰯と松の実とフェンネルとレーズンを混ぜたとても香ばしい料理。内容の取り合わせがちょっと奇妙に感じられるかもしれないが、実際に食べるとなかなかなごんだ味わいがある」
ということで、まずは一口...。
ふむふむ、抜粋させていただいた言葉通りだ。
レーズンの甘みが意外にも合っている。酢豚のパイナップルとは違って、それほど主張してこないのだ。
フェンネルの香りがいい。
しかしこの香草は、好きな人にはいいけど、苦手な人にはダメだと思う(当たり前だ)。
ちなみに、イタリア語でフェンネルはフィノッキオ(Finocchio)という。
そしてフィノッキオというのはおチン○○という意味もある。
男性諸賢が彼の地に行かれる場合は
「オレ、フィノッキオ大好き!」
なぞと大声でいわないほうがいいかと思う。
この缶詰は『缶詰まにあくす』のsotomichiさんからいただいた。感謝多謝。
固形量:65g
内容総量:105g
原材料名:いわし、綿実油、食塩、月桂樹の葉
原産国:日本(京都・竹中罐詰)