5月某日。
僕はフランスのパリ市内、オペラ大通り沿いにある大型スーパー[モノプリ]にいた。
缶詰調査でフランスとギリシアに行ってきたのだ。
名だたる観光地を見て回ったが、観光旅行ではない。
あくまでも缶詰調査が目的であります。
凱旋門のてっぺんにのぼったり、ルーブルやオルセーで美術鑑賞をしても、
(何しろ調査だかんな。これは余った時間を活用してるだけだかんな)
と、自分を厳しく戒めた。
そんな甲斐あってか、モノプリではサバ缶を3種類見つけることが出来た。
これはその中のひとつ、レモン風味のマスタード漬けであります。
さあ、パカッと開缶!
レモン入りマスタードソースの、酸味の利いた刺激的な匂いが食欲をそそる。
パッケージの写真で見てとれるように、身は筒切りではなくフィレであります。
それも、脂の乗った腹側は使われていない。すべて背中側なのが、実に興味深いですなァ。
かくのごとし。
フィレは皮がほとんど剥いてあり、血合いもほぼ、取り除かれている。
そこに粒マスタードが散った様子が洒落ている。とてもサバ缶とは思えない佇まいなのであります。
では、失敬して、ひと口...。
やっ。なかなかウマいではないか。
身の中まで酸味の利いたマスタードソースが染みこんで、ちょいとその、シメサバに通じる美味さなのだ。
しかしサバ本来の香り、味わいはずっと少ない。
これならサンマでもタラでもいいかもしれぬ。
何ならかまぼこでもいいかもしれぬ。
素材は様々でも、それをしっかり味付けしたソースで食べるのが、フランスの食文化なのでありましょう。それはそれで、奥深いものがあるのだ。
ともあれ...。
フランスにサバ缶があることだけでも、発見でありました。
内容総量:169g
原材料名:サバフィレ、水(外国缶は水も表記するのだ)、ディジョンのマスタード、酢、植物油、マスタード、香料、濃縮レモン果汁、塩、加工でん粉、増粘剤(グァーガム)
原産国:フランス
価格:2.19ユーロ(約220円)