閑寂肆独白

ひまでさびしい本屋のひとりごと

客層の違い

2018-05-22 07:17:39 | 日記
 今 福岡天神の丸善ギャラリー展の最中、というかもう数日で終わるところまできています。
相変わらず わが店の店頭の風景との違いが 身に染みる思いです。今回は目録を出しておらず、高額なものが少ないこともあって、総額は少ないものの 点数はかえって多いかもしれない。普通の書籍がまんべんなく売れていく感じでわが店としてはそれなりにうれしいことです。  
 数日前、昼頃数人の若い学生風の来客、表の特価台にあった考古関係の本を「見つけた!ゲット。ゲット」と言って持ってきた。脇の仲間に「これなかなかないぞ、安いし」という。
そこでその本の見開きを開けてみせると二度びっくり。そこにはある人の署名と蔵印があったのだが、九州の考古関係者で知らぬものはない有名な学者の旧蔵書でした。 手に入れたのは市場で その人の遺品・蔵書を保管していた所が移転するので処分したとのこと。基本的・主要なものはもちろんすでにそれなりの機関に引き取られていて 残った品であって、わが店に入った本もそう大した本ではなかったけれど、やはり探している人はいるものです。しかもその本はある考古に興味を持つ時々来店の客にその署名・蔵印を見せて勧めたのだけれど「いらない」と言われて、ほかに目当てのあてもなし、というので値を下げて特価台に出し、すでに半年くらいは経っている代物。我が方も売れてうれしいし、手にした学生さんが仲間から囃されて大喜びという場面。 これは古本屋でなければあり得ない面白さです。久々に楽しい場面でした。聞けば 新入生歓迎会で南筑後の古墳巡りと大牟田の産業遺産見学のバスツアーで 昼ごはんの合間に来てくれたとのこと。買い上げの金額の多寡よりもありがたいことです。こういう客層が大牟田には皆無。 丸善の様子といい いつものことながら、悔やんでも仕方がないことながら 残念の思いはぬぐえません。
コメント
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