閑寂肆独白

ひまでさびしい本屋のひとりごと

「グルメ?」

2019-10-25 07:50:09 | 日記
 
 一般的に古本屋は「オシャレ」とは縁のない人種だということはお分かりの事と思う。時にはかなり汚れた品物も扱う基本的に「肉体労働」が多い、組織の一員ではない、時間も自由という状況だからだとも(骨董・道具店もそう)いえるけれど、そもそも古本に関心を持つ人はお客さん方々も「見てくれ」に構う人は少ない(ごくまれに、あるいは高級品扱いの店は別です)。
 先日久しぶりにある市場に行きました。大きな公園の脇で回りに人家は少ない、昼時になって さてどこで食べようかと思案していたら、「近所に街中中華料理店があっっておいしいですよ」というお誘いで連れだって行きました。すでにかなりのお客、チキンカツ定食が早くできるというので注文しました。本当に早くできてきて「えっ!」でしたが、その姿に二度びっくり。カツも付け合わせのレタス・キャベツ、それにご飯の盛も大きい。ごはんは小生には多すぎるとは思ったけれどそのまま食べました。周りは夫々に肉乗せ焼き飯だの何とかチャンポンだのばらばら。値段も安い。次々と来客が絶えず、作業とセールスの男性ばかり。さもあらんと納得したのです、が、後がいけなかった。おなかは持たれて胃散が欲しい、さらに夕方家の食事の時分になってもまだ油の澱がたまっている感じ。多分油が良くないのです、安い理由の一つでしょう。身になりに構わない人たちは食事にも構わないということを思い知らされました、彼らの言う「うまい」には「安くて・多くて」という前置詞が付くのです。そういえば普段の会話でも身なりはもとより「グルメ」というのは話題になったことがないような。 肝心の市場の方はわが店としてはあまり収穫無しでした。今風の流行りの品に??というのが増えたし、骨董的品々は今のわが店はお客さんがいない。石炭関連の品はほとんど出てこなくなった。先行き見込みは明るくはありません。  話は別ですが、「柳田國男全集」と「白秋全集」どうやって処分したものか、 思い切って捨てる決断の時かなあ。

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書き続けるのは難しい。

2019-10-14 23:15:59 | 日記

このブログは商売柄、本に関することを書き続けようと思って始めたのですが・・。
なかなか難しいです。まず第一に自分自身が本を読まなくなったことが大きいです。それはいくつかの原因があります。まずは寄る年波で読み続ける根気が薄れてきたこと、それの輪をかけているのが「眼」です。右目が緑内障の進行中、左がこれも白内障の進行中。
眼鏡のレンズでは対応が難しく、とにかく車の運転を続けられる状態を維持しようという段階で 本を読むという目に神経・感覚を集中させるのが長続きしない。また、まだ日常生活や業務にひどく触ることではないにしても記憶力の、あるいは集中力の低下・散漫化も侮れない。まだまだ稼がなくては生きていけない状況なのにこれは困った。
 ところでまた来客の批評になるのだけれど、昨日ある作家の「全集」を買ってくれという持ち込みがあった。物は前の全集で今や「ゴミ」程度の品。「これはお金になりません」といっても納得しない、というより「意味が分からない」らしい。数万円を支払ったのだからいくらかになるとい思っていたらしい、「ブックオフへ行ってごらんなさい一冊百円で売っていますよ」「売値が一冊百円にしかならないのだからわが店はいらないし、どうしてもというのならほかの数冊を加えて引き取りましょう」というと気色ばんで「そんなら持って帰る」でした。一見落着かと思っていたら本日再来、「家では嫁さんが、持って帰るな」というから引き取ってくれ」「そうですか、では運び賃として千円」というと「「それはなんだ、昨日一冊百円といったじゃないか、35冊あるから3500円だろう」と。「それは売値であって買取価格ではない」というと「売値」というのが「自分への売値」であると思っていたらしい。「飛んでもない!といっても納得しない、自分が(読みもしないで)持っていたものだから「高くなる」と信じている様子、「ブックオフへもっていってみてください」と言ったら「どこにあるか知らん、俺は本屋など行ったことがない」と。本に縁のない方々には書物と言うのはある意味で「宝物」なのですね、おそらく何かの拍子で買ったその全集も本当に読みたいのではなく、おそらく応接間の飾り物であったと思われる。30年くらいたって「これは金になる」と思ったのでしょう。「本は財産ではない、あなたが読んで自身の栄養にするものです」といっても全くわからない様子。結局中の一冊だけ「これは頂ける」といった品も含め「もうよか!持って帰る」と憤然として帰っていった。そもそも一旦断った取引を先方からまた持ち出してくるのがルール違反だと思うけれどそんなこともお構いなしで「俺の大事なものを売ってやるぞ」という権幕で困った一幕でした。問題はこのようなことは決して例外ではなのです。「本・書物」の世間一般での評価、認識がいかなるものか思い知らされます。
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