閑寂肆独白

ひまでさびしい本屋のひとりごと

転換点・ほか

2012-12-30 11:12:54 | 日記
先日 「二足の草鞋」を脱いだ。5年9ヶ月に渉って勤務した「…館」を退職したのだ。
 齢60にして 初めてのサラリーマン(短時間就労者という立場ではあるが)生活で
本人はともかく、周りには「勤まるか?」と危ぶんでいた人もいた。本人もまったく平気であったわけではなかった。 2度 「くそ!こんなところ辞めてやる」という「事件」もあった。しかし 終わってみるとそれなりにおもしろかったといえるし、辞めるにあたって残念がって下さる人が思いのほか多かったので 良しとすべきだろう。しかし「サラリーマンは気楽な稼業」というのは 実に的を得た言い様だとよくわかった。まさに「タイム イズ マネー」!時間まで座っていればお金になる。下っ端は責任もないし、提案しても聞いてもらえなければ ほおって置けばよい。言われたことを言われたようにしていればよい、言われた以上のことをすれば叩かれる。このことを弁えた者にとってはまったく「安住地」。もっともこれは「お役所」だからであるが、ここを知ったら民間の勤務は出来ないだろうし自営業などまず無理、「稼ぐ」ためにどれだけ努力しなければいけないか、しても報われるかどうかの結果は自分にかかっている。その意味では お役所という所は社会的カタワ者製造機関と言っても過言ではあるまい。
 今年は他にも いくつか「節目」になったことが重なって此れまでの生活を変える(変えざるを得ない)来年に向かっての転換点になったようだ。
 話し変わって、今わが店のショーウィンドウには「一子相伝・極秘巻」と「本朝俚諺」という 揃ものの和本を飾っている。いずれも図書館では「貴重本」あつかいでまず触らせてもらえないくらいの本である。しかし 残念なことに誰も関心を寄せてくれない。
 俳句関係の一口はまだ本格的にさわるとこまで行き着いていない。これからはもっと時間が取れるので楽しみでもあるが、困ったことにもなりかねず「怖いもの見たさ」の感じ。 相変わらず本を売りたいという話の大方はお断りせざるをえない物である。先日、いきなり車で持ち込まれたのが30年まえの漱石全集、それも箱は日焼けで汚い、それに何処ぞの半端出版社の百科事典。予め電話があっていればお断りしたのだが 持ち込まれて断るとこちらも言い辛いし、気持ちよく帰る人はまず居ない。
本当に 1965年前後からの出版物の量は半端ではない。そして今、全く不要物で商品にならずどれだけの量が廃棄されているか! 本を世に送り出すことの「原点」を思い起こすべきだろう。本は文化財である。産業遺産や自然遺産のことと同じく、「算盤片手」では本質を見失う。
  みなさま よい御年をお迎えください。
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即売会、硝子ケースのこと

2012-12-15 12:24:54 | 日記
 この一ヶ月強は まず西新プラリヴァでの即売会。 このたびは硝子ケースを借りて(小店1軒だけ1台)初版本を並べてみた。 メーンは昭和十年前後の翻訳物、それも「探偵小説」7点。
ほかに 三島や野呂のもの等を・・。 たとえ売れなくとも「古雅書店」ではこんなものを扱っているというPRを狙ってみた。もしや1点も売れず、だったら「ザマア見ろ、高ばった物を持ってきても売れないじゃないか」という評判になることを承知の上。
 始めのうちは反応が少なかった様子だがだんだんと覗いていく、あるいは「出して見せてくれ」という人が増えたそうで「宣伝効果」はあったなあと思っていたら 売れました、2点だが それも金額の高いほうから(要するにより珍しい)で ちょっと驚いたり 福岡でもこんなものを買う人がいたのだと安心したり。 結果としては他にも数点売れて一応成功したと言うべき結果で安心。  ケースのことを知ったお客様と話してみると 即売会はこの頃どの店も文庫、雑誌、ムックなどばかりになって面白くないという方が結構いらっしゃる様子で、「今度は何を主に?」と聞かれたりもした。翻訳探偵小説は我が家としてはこれ以上追いかけるつもりは無いので此れでおしまいだろう。次回までに問題の「俳書」類をうまく整理できればもっと違った人たちの目を引くことが出来るので何とかしなければならない。
 何しろ此れまでに見たことも無い和書ばかりで 小さなものもあって、箱から出して拡げてゆっくり構えないと整理できないとおもわれる。どうやって拡げよう・・。それからして問題だ。
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