閑寂肆独白

ひまでさびしい本屋のひとりごと

新たな知識

2022-12-11 07:56:50 | 日記

書物を読めば何らかの刺激があり知識が増えるのはごく当たり前のことで、特別に取り上げることもないかもしれないし、この文章を見る人の興味を引くとは思えないけれども、ずっと以前の記憶の中の知識を書き直すことになったので書いてみた。

 小学生の頃、日本のあちこちで盛んにダム建設が行われていた。その様子を多分ニュース映画(そんなものがありました)や雑誌の写真記事で見た中で、

建設現場にコンクリートプラントが建てられ、できたセメントミルクをバケットに入れ空中索道(古いね!空中ケーブルカーです)にぶら下げて打設の現場に下ろすのを見た。ここまではコンクリート打ちをただ規模を大きくしただけなのだが、プラントの脇に製氷工場もあって、多量の氷を打設現場へ入れるというのに驚いたことも覚えている。それは多量のセメントが固化するとき「熱」を発する、それを抑えるために、という事だった。

 それが今は違っていることを知ったという事です。今は氷はいらない、そしてセメントミルクという言葉もない。スランプゼロコンクリートと言って流体ではないコンクリートなのだそうだ。「流体状ではなく、むしろアスファルト舗装で使われている砕石や砂のようなもの、ビチャビチャではなくガサガサしたもの」だそうでこれは知らなかった。このスランプゼロコンクリートの超固練りの技術は日本独自のものだとある。 土木技術や機械の進歩は目で見えるのでわかりやすいが、当然のことながらセメントの技術も進歩しているわけだ。 明石海峡の大橋の建設で海中に柱の基礎を作る時もセメントの進化を思ったけれどその時は其海中の基礎の上面を鏡面仕上げにするというのにもっと驚いた覚えがある。 何万トンという重量と地震などの揺れに対応するには完ぺきに密着した状態でコンクリートを打たなければならないそうだ。 コンクリートは砂と砕石の混合を密着させ、硬くするものだが、さらにそれらの砕かれる以前の「岩」の状態に戻し、百年たっても壊れない「コンクリート塊、一つの岩」にするというのだ。

 「技術の街道をゆく:畑村洋太郎」岩波新書 です。ほかにも「たたら」「鉄」等これまでの知識を補強するだけでなく技術の精神について考える處あったのですが、小生の言葉では伝えることができない、ぜひ読んでみてください。

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