先日、 通信販売の注文があって、発送前に点検を兼ねざっと目を通そうとパラパラ見始めてびっくり!思いがけぬ発見で「これは売れない、手元に必要」と思ってしまった。とりあえず奥付をコピーし目に付いた数点をメモ、仕方がない今回は「お金にしよう」とあきらめて送り出した。でも気になるので「日本の古本屋」で調べるとあるではないか。早速注文し、間をおかず手元に届いたのだが 吾店の価格より安かったのはちょっと恥ずかしい気分であった。 物は石炭産業に関するちょっと古い本で、戦時中に啓蒙のために書かれたものだが なかなかどうして。 もとより小生の知識・読書量は知れたものだが、この本の視点は意外・新鮮、であってまさに「知らざるを知らしめ」てくれた本といえる。こういう出会いは大変うれしい。 石炭採掘の労働は過酷だ(だった)のはよく知られるが、我が国が 近代化のお手本とした英国と 近代鉱山を牽引したドイツとの採掘労働者の立場の違い これを指摘した本は他にあるだろうか。 また 鉄道と関連する施設・技術は英国と米国、軍隊ははじめフランス、のちドイツ、海軍だけ英国、製糸・織物は英国・フランスをまねた、導入したという話はあるけれど、石炭鉱山の開発についてどこをモデルにしたかというはなしがあるのかしら。三井・三池に関しては明治の近代化の際、MITで鉱山技術を学んだ団琢磨という「大物」がいた、彼の功績の第一号はデビーポンプの導入だけれどこれは英国製である。明治も半ばにかかると色々な情報・知識が入ってきてどこがどうと判然としなくなったということだろうか。 ただ、労務管理に関しては「日本式」というか「御上式・武家式」のまったく旧態のまま走ってきたように思える。 近代化遺産になったことでにわかに騒動が始まった感じの大牟田・荒尾。 県が違うというので連携もままならずいう情けなさ。 ここに至るまで連綿と活動を続けてきた民間の努力は置き去り、あたかも自分たちの手柄顔の連中を見ていると 腹が立つより情けなさが先に立つ。 何かをしようというのをダメというのではない、自分たちが「知らざる」を知り、謙虚になってほしいというのだが わかっちゃくれまい。