閑寂肆独白

ひまでさびしい本屋のひとりごと

  50年たったのだなあ,と・・

2020-09-30 22:03:07 | 日記
 
 何の気なしにラジオをつけたらFMで聞き覚えのある曲、途中からだったが「春の祭典」とすぐに分かった。と同時に1968年の夏のことを思い出した。 この夏、オケの同期の者で中禅寺湖畔にあったソフィア会のロッジに遊びに行った。そこの管理をしていた男がクラシック音楽ファンで夕食の後、彼の部屋に誘われた。彼は「春の祭典」オタクだった。当時発売されて間もなかったマルケビッチの版を気に入っていて「ぜひ聞いてくれ」というのだったけれど、それにとどまらず当時出ていた全部のLPをもっていて、聴き比べをしようという。アンセルメ・スイスロマンドは覚えているが他はワルター、セル、だったかはっきり覚えないが、カラヤン・フルベンでなかったことは確かだ。結局4枚まで聞いてギブアップしてしまった。おかげでいまだに途中から聞いてもすぐにわかるほど「刷り込まれ」てしまったといえる。 音楽は(基本的にクラシックに限る)好きだけれど、いつも聞いているという訳ではないし、レコード・CDを集める趣味もない。朝のFMのクラシックカフェを車の中でなど時々聞くし、夜の7時過ぎの番組も時々聞く程度だ。先の管理人のように指揮者の違う演奏の全部揃えるという趣味はない。レコード・CDは結局はいつ何時聞いても同じ演奏・同じ味の「缶詰食品」でしかないと思う、音楽は「生」でなければいけないと常々思っている。だからFMでの実況放送は楽しい。自分の好きな曲はスコアを持っていて、時々開いては自分なりの指揮・演奏を空想するのが楽しい。古本の世界でも今やCDを扱うのは当たり前になっていて、結構な量のCDを目にするが、いまだにワルター、フルトヴェングラー、ベーム、セル、クーベリックなどの演奏の復刻が「新発売」されている。こんなやがて一世紀にもなろうという前のものをなぜ今「売るのか・売れるのか」不思議で仕方がない。演奏は「生もの」その時代にあった解釈・演奏がしかるべきであって、いくら原版が残っていてそれを最新の技術で綺麗にした、といっても「音」と「演奏」は一緒ではない。
 それにしても、もう50年以上たったのだなあと ちょっと感慨を覚えた次第。 今回は「本」とは離れたことですが一言。

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 秋になった。

2020-09-21 08:07:15 | 日記

 またしても 間が空いてしまったけれど、この間ちょっとした多事多忙だった、大雨の後は台風到来、東側の柘榴の枝が折れ、小屋の屋根に上って切り落とした。20年ほど前の風台風では根っこからもげて30度傾き塀に寄りかかってしまったのをウィンチで引き、支え木をつけて活かしていたもので、外に向かって伸びていたのが風にやられたのだ。 五月からおかしかった左足付け根(そこらも一般的には腰というそうだ)の痛みは足掛け3か月かかってやっと治った、と今度は左肩(これも小生に言わせれば腕の付け根なのだが)の痛み。「四十肩・五十肩は治っても七十肩は治らん、要するに歳ですよ」と鍼灸師に笑われて面白くない。この間本はちょぼちょぼ読んではいるけれどここに取り上げるほど感興を覚えたとは言い難い。 小沼丹の随筆集の中に「庭木の名前と花、色などを知らなくては作家といえない」という風なことを言われる場面があった。
 どうでもいいような大衆小説でも着物の柄、着こなし方、あるいは周辺の佇まいの書き方など、もちろん登場人物の表現も、目の当たりにするような書込み。そうすることによってかなり趣が変わる(よくなるかどうかはまた別の話)。それなりに名を成した作家の文章はどれもそういう描写に気を配っていると思う。中には道具や場所の説明がくどくて逆効果と思えるものもあるけれど・・。言いたいのは作品を作り上げるには観察力・表現に至る執着と共に相当な雑学的知識・語彙がなければならないということ。 これまでに知っている自称「作家」あるいはその卵・雛という人たちはこれが足りないように思う。
 このところ近辺の古道具市(骨董とは言い難い)に顔と出しているけれど、
結構面白く、早く知っていればよかったのにと思う次第。それにしてもいわゆる古道具屋さんたちの集荷力はすごいと思う、「古本屋は執着が足りない、もっとも道具類はタダどころか引き取り賃をもらっている、一方本屋は買い取らなければならない、この違いも大きい」と或る業者の話。おっしゃる通りで「本を捨てるのは勿体ない、誰か活かして欲しい」と言いながらもタダではもとより引き取り賃を払ってくださるのに出会ったたことはない。
 
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