先だって 或る大学の研究者が来店し、挨拶もそこそこに書棚に向かい、黙っててきぱきと選んで 十点ばかり買い上げを決めたのを見て 報告したばかりですが 一昨日にも面識のない40歳くらいの来客、棚を一わたり見回してから目当ての棚で幾冊か手に取ってみた後、2冊を「是ください」。話しかけようとしたのだけれど乗ってこないのでやむなし。代金をいただいておしまい、その間十数分。
わが方としてはこれぞ「古本屋のお客様」です。 入ってくるなり「〇●はないかね」等という輩は 正直言ってきてほしくないです。
店売りが不振で 「他所からの人」しか評価しないのをこのところボヤキ続けなのだけれど、見方を変えようと思う。というのが、これが食べ物屋だったらどうだろうか、と思った次第。いくら「伝統の、名物の、天下一品」といったところで地元の人が来なければ難しいのはこの度のコロナでよくわかった。食べ物屋は仕込んだものは期限があってむやみにストックできないので客がなければ商売を止めざるを得ない。 この点古本屋は「在庫商売」その通り、いくら時間がたっても食べ物のような「賞味期限」はないのだから これを良しとしなければいけない「仕事」なのだと言い聞かせることにした。「読む人を待つ」しかないのだから。
もっとも店先の百均・特価くらいの売り上げでは電気代にしかならない、これは困るのだ。しかもその「常連」がいて(スーパーなどで時間切れ割引・特売を待つ、しかもそれしか買わない輩と同じく)「お得意様顔」されるのはホボ生理的にイヤなのです
このところ「日本の古本屋」の通販が順調(と言っても全国平均にはまだかなり及ばない)で 助かっている。荷造りをしながら、いずれもこの店の店頭にあってはまず売れないどころか目をくれる人もいないだろう書物で うれしいやら悲しいやら、という感情は拭えませんね。