閑寂肆独白

ひまでさびしい本屋のひとりごと

とんだ玉手箱

2013-03-13 15:31:00 | 日記
在庫を減らすべく あちこち動かしていて 下積みのみかん箱を発見。はてこれは何を入れていたか? 開けてびっくり・・。「銀花」が40冊ばかり。おそらく先でそろえるときの備えにと納し込んでいたもの。当時は「宝物」のつもりであったであろうが
いまや殆どガラクタ。「意地悪ばあさんの玉手箱」みたいで全く面白くない。
「銀花」といえば1970年創刊時はちょっとした騒動だった。71年から東京のN書店さんで本屋の見習いを兼ねたアルバイトを始めたが編集長の今井田氏がおなじみのお客様で、デパート展では小生も少しお話したことがある。今井田氏は「ミセス」の編集長だった。当時の出版界では有名な存在で、その彼が「ミセス」で飽き足らず自分のカラー一色で出したのが「銀花」。もっとも試験版というべき先行の「銀花」は「ミセス」に毛の生えたようなパッとしないもので3号でおしまいだった。その後一新、デザイン・杉浦康平、写真・小林庸浩の二人を起用して作った「季刊・銀花」は大評判!最初の数号は売り切れ続出だったと聞く。順調に部数を伸ばしていたと聞いていたが 12号あたりはどうしたことか神田のゾッキ本屋の床から天井まで積み上げてある(要するに返品が多かった)のを見た記憶がある。 それでも今56号のあと書きを見ると今井田氏が「24号に続き数万部の本号全冊に 肉筆書画挿入という快挙を、云々」とあるから 創刊以来十数年を経たときでもそれなりの発行部数だったということだ。
 今井田氏は自身も大変なお洒落で、当時の小生は「香」が匂う男性をはじめて目の当たりにした。よく一緒に来ていらした長澤節氏も 独特のファッションとムードだった。
創刊からこの50号頃までは 後から言えば「バブルの時代」そして 「民芸ブーム」というものもあった。150号くらいで廃刊になったが、似たような「情報誌」が出てきたことと、元々少し「High-brow」で読者が偏りすぎたことが売り上げのの落ちた理由だろう。たとえばいまだ人気の「サライ」と比べると判りやすい。もっと決定的なのは「グルメ記事」がないことだろうか。
  その「季刊・銀花」はいまや300円500円でも売れない、というよりも誰も手にして見てみようともされなくなっているのは 大いにさびしく「いい加減な雑誌じゃないよ、良く見てよ」と声をかけたくなる。我が倉庫には創刊号から100号まで揃っている・・といいたいのだがじつは1巻だけ欠けている。ある号を「どうしても」といわれ そのうち又手に入るからいいや、というのがやはり間違いでした。積極的に探しているわけではないけれど4年たってもマダその欠号を埋めきれないでいる。「そのうちに手にいるだろう」と思って手放して未だに姿を見ない本が何冊あるだろう。倉庫の如何でもいいような山のような本を見るごとに 「シマッタあれは売るんじゃなかった」と。
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本のことを書くのは難しい と判った

2013-03-10 17:53:07 | 日記
先日 或る人が 「ブログというのはホボ毎日のように書くもので、一ヶ月も空けるなんて・・。」と行っているのが聞こえました。 確かに他の人はそういう「まめ」な方々のようですが、しかし「今日は何処へ」「何処で何を食べた」「だれそれと会った」なんぞという話題を(少なくとも小生が書いたとして)誰が面白がるだろうか? 作家の「人に読ませる日記」を気取っているのかな。 小生は事は「本」に関わることしか書かないつもりでいよう。
 このところ一軒片付け がいくつか続いたけど前便の「蔵書二代」そのもの。 しかも
主人が買った時の価格が幾らであったか、については自分は触りもしないものなのに皆さん揃って熱心ですね。 本は自分の手元に来て さわって書棚に納めて安心して何ぼ。 初版本がまさしくそれに近い、「俺は持ってるぜ」という自己満足、それで十分のはず。残った遺族が「これは幾らした本」と言うのはちょっと筋違いではないかと思うが 納得してもらえるのは稀です。 近々の話では句集の
一山、二百冊くらい。 小生の評価は 先方に納得してもらえまいと思って 全部東京の市場に送ったのだが 結果は小生の評価より安かった。先様は厳しい表情だったが仕方がない。
それより 無理して自分で買わなくて良かったということです。句集の大方は自費出版に毛の生えたようなもので 或るグループの人たちがお互いに買って、あるいは御祝儀として買うのであって数年後 その本に古書価が付くなんてきわめて稀。署名もあって当たり前に過ぎない。 でも遺族の方々は納得はしない。困った。「そこにあるのは単なる紙の束、それからいくらかでも金額が出ればいいのではありませんか?」 
 又 繰言になりそうなので 今回は此れで 閉めることにしよう。もっと「本」の事を書くべきと思うが いざとなるといい加減なことはかけないという圧力があって止まってしまう。 勉強不足です。 
 
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