もとよりあまり小説を読まないのですが、手に入った本の整理中に思いついて「読んでみるか」というものもあります。自慢にはならないけれどことに翻訳物は根気が続かず、世界文学全集はほとんど読んでいません。日本のものでも江戸以前の古典で読み通したものは多分ない。
先日買い入れた文庫の中に「銀の匙」、橋本武という高校教諭の解説付きというのがあって、読んでみることにしました。若いころ読みかかって止めた小説です。
正直なところこれは「文学」か? 帯の惹句に「奇跡の名文」とある。確かに生活の身の回りの人物、出来事、物などの描写は丹念、かつ綺麗な表現で、全体に穏やかな印象で、ある種の「お手本」にはなるだろうけれど・・。どこか、「白ばんば」だかと似たような・・・。かつて吉田満「戦艦大和」が単なる「日記・記録」か「文学」かで議論があったと記憶するけれど、これだって似たようなもの。ひねた子供の日常を連綿と書き綴って、それが「名作」? 日本の「私小説」といわれる物は小生の好みではない。ことに酒と女、そして借金、自堕落を臆面もなく書き綴ったものは、いくら日本人独特・固有の小説のジャンルだといわれてもねえ。まして感激して「私淑」し、「酒・女」は出てこないにしても高校の国語教育の「手本・教材」にしてべた褒めというのは ちょっと入れ込みすぎではないかいな。
翻訳され諸外国で評価を受ける作品ではありえないだろう。 世界的評価の代表のノーベル文学賞といえば、川端康成が評価されたのに小生は納得していません。断然安部公房であるべきでした。三島もダメ、谷崎ならまだまし。村上春樹がなぜ世界中で読まれるか? 日本の小説のありように疑問を持って、というのはよく知られていてその実験の進行中だということだ。
健全な生活、健全な精神、健全な文章を書けというつもりはないけれど、そして酒や女に溺れる人間の弱さが書かれるのも、それはそうだと思わなくはないけれど・・。
先日買い入れた文庫の中に「銀の匙」、橋本武という高校教諭の解説付きというのがあって、読んでみることにしました。若いころ読みかかって止めた小説です。
正直なところこれは「文学」か? 帯の惹句に「奇跡の名文」とある。確かに生活の身の回りの人物、出来事、物などの描写は丹念、かつ綺麗な表現で、全体に穏やかな印象で、ある種の「お手本」にはなるだろうけれど・・。どこか、「白ばんば」だかと似たような・・・。かつて吉田満「戦艦大和」が単なる「日記・記録」か「文学」かで議論があったと記憶するけれど、これだって似たようなもの。ひねた子供の日常を連綿と書き綴って、それが「名作」? 日本の「私小説」といわれる物は小生の好みではない。ことに酒と女、そして借金、自堕落を臆面もなく書き綴ったものは、いくら日本人独特・固有の小説のジャンルだといわれてもねえ。まして感激して「私淑」し、「酒・女」は出てこないにしても高校の国語教育の「手本・教材」にしてべた褒めというのは ちょっと入れ込みすぎではないかいな。
翻訳され諸外国で評価を受ける作品ではありえないだろう。 世界的評価の代表のノーベル文学賞といえば、川端康成が評価されたのに小生は納得していません。断然安部公房であるべきでした。三島もダメ、谷崎ならまだまし。村上春樹がなぜ世界中で読まれるか? 日本の小説のありように疑問を持って、というのはよく知られていてその実験の進行中だということだ。
健全な生活、健全な精神、健全な文章を書けというつもりはないけれど、そして酒や女に溺れる人間の弱さが書かれるのも、それはそうだと思わなくはないけれど・・。