閑寂肆独白

ひまでさびしい本屋のひとりごと

技術史 平和のための

2020-01-30 23:10:11 | 日記
 小生の読む、あるいは目を通す本は概ね「歴史」に関するものが多い。それも古代史は抜き、なぜならば「文字資料」がなく、遺物と空想だけの世界で小生にとっては「面白くない」あるいは「面白すぎる」。 中世以降でも上部階級の消長などには興味はなく、庶民の歴史、そして技術の歴史に重点がある。それは近代にいたるまで同じで、ある事柄が「なぜ起こったか」「なぜ消えたか」「なぜ続かなかったか」などに尽きる。たとえば、江戸時代には川に橋がなかったことを今の人たちは知らない。学校の歴史で教えない(先生も知らない)のと時代劇で見て「橋はある」と思い込んでいる。「その橋はどこにあるか?」に思い至っていない。江戸時代の橋はすべて「奉行の監督下」即ち城内と寺社域内でしかない。その線引き(区画)を一歩出れば橋はない。その理由も「敵が攻めてくるのを防ぐため」というのが一般的に知られているけれど、では幕府にとって「敵が攻めてくる」とはどういうことであろうか。小生の意見は違う。ここでは本論ではないのでこれ以上はとどめる。
 技術史の話で、旧陸軍がフィリピンに攻め込んだ時、USのB-17爆撃機を数機無傷のまま鹵獲したことは知られている。さらにそれを1・2機は日本へ持ってきたけれど、そもそも動かし方が現地では分からなかった。その4発のエンジンの制御の仕方を習得できなかったのがその後日本では4発機をつくれなかった原因だというのをずっと以前どこかで知っていて、では二式大艇などは如何なの?という疑問をズット持っていた。「発想の航空史・佐貫亦男」になぜB-17をコピーできなかったかの答えを得ることができた。もとより日本は「工作機械」が貧弱で有名な「ゼロ戦」でさえUS製の数少ないプレス機で作られていた。この本にはさらにこのB-17のエンジンにつけられた排気タービンをつくれなかった原因を明確に知らせてくれた。
 日本にはそもそも材料がなかったというのである。必要なニッケルは早くから禁輸対象になっていて、わかっていても材料がなく作ることができなかった。ジェットエンジンンなんてそれこそ「実験室」以上にはなれないことは明白。
この本の筆者も「これでUSと戦争しようなんて・・。」と書いている。4発エンジンの制御の問題ではなかったということが分かったのはうれしかった。もとよりこれだけが唯一の原因とはいえないだろうことは承知。小生の関心は技術者はもとより多くの知識階層の人々が無理とわかっていながら「ではなぜ開戦を止められなかったのだろうか」であり、今日再び「戦争の匂い」が増してきているので、轍を踏まぬにはどうするか、と常々考える一助だといえる。USの言いなりに無駄な軍備を増強している安倍政権の状況を思うと「平和のための軍事学」は大切だとつくづく思う。
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年末年始の色々。

2020-01-08 22:07:39 | 日記

 年末、24~28日 と明けて3・4日 ずっと以前であったら「掻き入れ時」
という時期、ここ数年は何ということもなかったのですが、今年は違った。
各日に一人ずつではあるけれど、「古書」に関心を寄せてくださる来店がありました。いずれも「他所」のあるいは元大牟田だけれど今は「他所」の人。
 どの人も同じように、店に入ってきららズーット書棚を一巡してから話が始まる。
そしてなお言えば、「今時珍しいい品ぞろえ」「いい本がそろってますね」という誉め言葉。その中で25日夕刻来店の方はある翻案の探偵もので昭和20年代に出たものを見つけ、ビニール袋入りだったのを両手で捧げるように持ってきて「中を見せていただいてよろしいでしょうか」と。小生が封を切ってお見せすると「いただきます、こんな値段でよろしいのでしょうか、一昨年神戸に出ているというのを入手し損ねて探していました。驚きました、ここで出会うとは!私自身のクリスマスプレゼントです」と。聞けば横浜から出張で来て古本屋があるというので来てみたとのこと。これは6・7年は店頭に並べていた品で「売れないはずはない」と頑張ってきていたものだ。こういう出会いがあるとなかなか処分しづらくなる。 このほかにも近代文学に関心の人、三井三池に関心の人、そこここのお買い上げはもちろんありがたいがそれより、関心の分野の話ができるのと、わが店の存在を認めてくださるのが何よりも嬉しいです。何度も言うけれど、大牟田の人は誰も店に入ってこない、本当にこの一か月、店内の棚を見た人は皆無ではないか。いったい何のためにこの商店街に店を張っているのだろうかと考えざるを得ないです。
 昨年来、東大の研究者の仕事の一環で大牟田の戦後の色々な記録を整理保存する仕事が進んでいる。それの余波で小生が保存してきた戦後の大牟田の音楽会のプログラムをデーターベース化することに秋から取り組んでいる。これについては 別途お話することでしょう。マッチ函と同人誌の集積も先行きを考えなければならない。

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