閑寂肆独白

ひまでさびしい本屋のひとりごと

百円均一その他

2022-05-23 22:01:09 | 日記

 ずっと以前 或る小店経営の話で、店の前に境界超えて売台を出すのは
客を呼び込むのではなくかえって外へ押し出していることになるという話を聞いたことがある。我店の周りのみならず一般的によく見受けることです。そしてこの指摘は全くその通りだと思っています。 然るにでは我店はなぜ百均と特価台を出しているか! それは前述の指摘をまさに逆さまにやっているからです。そう、「店の中にはこういうものは置いていませんよ」という意思表示(のつもり)なのです。しかしそれが全く伝わらないでいる状況は残念ながら事実。我店を全くの均一屋としか見ていない人しか台の前に立ち寄らないようなのだ。 2つの売台の眼の眼にはショーウィンドウがあって、我が家の看板とも言える堅い全集類や大型本・限定本等がぎっしり並んでいるにもかかわらず、それらに目を向ける人はホボ絶無。 百均の1・2冊を「是ください」と言って店に入ってきた人のかなりの多くの声「中にも本が有るぞ!」「この棚は幾らですか?(均一と思っている)」と。
 これは冗談ではなく全く日常的な対応なのです。 こんな中でもこのところ売り上げ0⃣という日(百均一冊も売れない)がかなりある。一方、他所からたまに来た方々には「良い店だ、品ぞろえが個性があってよい」「ほかに類のない店だ」などとの声をいただくとホッとする、と同時に情けなくなる。 いっそ「百均・特価」を止めてしまおうかという誘惑?が絶えずある。 
このところ少しずつではあるが、店内の品揃えを変更しつつある。外国・翻訳文学を切り捨てたのはズット早かったが、今や日本の古典文学も止めた。万葉・古今・源氏・伊勢・鏡物等、まして西鶴・芭蕉・近松・蕪村を尋ねる人はこゝ数年全くなし。これらに次いで廃するのはどれか? 俳句・川柳が第一候補、書道関係が第二、その次は言うまい。郷土史も売れなくなって久しい、では何が残るか? それが問題なのだ。 ネット販売がなかったら一体どうなっていくのか全く不安が募る一方です。
 このところ「本を読んで」いない。ざっと目次や前書きをみる、または線引きがあって全ページ目を通すというのはいつもの通りだが、あ、これは後で見てみよう、という積読本が又増えてきた。 買い入れは続く、したがって在庫の本がへらない、どころか増えている。先だっての我店としては多量の買入れについてはまた書くことがあるだろう。

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