地名の元岡ではなく「伊都キャンパス」というそうだ。 5年ほど前一度図書館へ調べ物で行ったたことがあった。其時はまだ校舎は半分もできておらず、敷地は全く工事現場然としていた。 その時すでにコンクリートとステンレス・ガラス・プラスチック・合板 だらけの味気ないものになるという予感があった。
この度、ほぼ全部出来上がって普通の機能が動いている状態で、総合図書館の中の旧石炭資料センターの資料を見に行った。大牟田の三井の社宅の悉皆調査の一環としてだったが、其内容は別の機会にして、環境・建物の感想を記そうとおもう。
先のステンレス・ガラス・プラスチック・合板 だらけの印象はあまり変わらなかった。それぞれの建築物はそれなりに意匠を凝らした建物らしいが、ずらっと並んでいるとそれぞれの個性が全く感じられない。建物に「装飾」がない。「九州大学の個性」、「一貫性」という訴えが全くないのだ。シンボルとなる建物はない。もう一つ、これは日本中に言えることだが「広場」がない! 何も欧州の都市をマネよというわけではないが、大学の自治、あるいは広く民主主義にとって、何かの際に「集う」広場は必要だと思う、(日本ではこの感覚はなく、民主主義が定着しない一つの要因だと思っている) さらに 大きな木がない。出来上がって間がないからではなく、植栽に大きくなるであろう木がないのだ。芝生・花壇もない。時候の良い時木陰で談笑する、あるいは芝生でくつろぐ、ということがあり得ない。学食の窓の外に木があったが、それらは大きいとはいえ「鉢植え」の木が並んでいる。図書館脇に大講義室が互いに離れて2棟あった、そこへ行くのは舗道なのだが細い色変わりの誘導する舗装があって其上に屋根がついている。それが長さは20数間はあるのに屋根の幅は1間あるかないか、場所は丘の上、冬は玄界灘からの風の強い處、こんな細い屋根が役に立つだろうか? 同行の建築家も「??」という代物。ただの「デザインの遊び」に過ぎない。丘陵地にあるのでそれぞれの建物はかなりの高低差がある、その法面も一切木が植えてない。
春の桜、初夏の若葉、秋の紅葉など、全くあり得ないこのキャンパスでこれから巣立っていく学生たちになじみ、思い出が残せるであろうか? 聞きそびれたがクラブ活動の部室・場所はどこ? どこまでもICカードで管理された
コンクリート・ステンレス・ガラス・プラスチックそしてワックスの匂いの学び舎の未来はどうなんだろう。