自分から読んでみようという小説はあまりない。しかも商品として買い取ったもののなかから「これは!」と思ったもの、あるいは何らかの必要があって読むもので、近々の流行りのものを読むことはほとんどない。 で、このところ2点続けて読むことになった。
いずれもよい作品でした。作者の力量、ことに「読ませる筆力」を感じるものであったけれど、それ以上のことをうんうんする能力は残念ながら持っていない。 ところでその一冊のなかに 小道具として「I.W.ハーパー」が出てくる。しかも「12年」という限定で。 小説のなかではいかにもうまそうに思えるのでどんなんものか飲んでみたいものだと思うのは自然の成り行きでしょう。 若い時、面白半分・恰好つけもあって結構あれこれ手を出して飲んで見た。バーボンもジャックダニエル、ワイルドターキー、ほか一般的なものは一応飲んだと思うけれど、この「I.W.ハーパー12年」というのは知らない。 そこで近在の酒屋で見てみると普通のハーパーはあっても「12年」が置いてない。ネットで取り寄せでも仕方がないかと思っていたら見つけました。 他の酒と違って四角、細かいカットの独特の瓶。さて如何な味わいかいな、とちょっとわくわく気分でした。しかし 「12年」というだけに深みのあるいい酒だということはわかるのだけれど、小生にとっては バーボンはバーボンでした。特有の焦げ臭さは好みとは言えない、という若い時の記憶がよみがえって、年をとっても酒の好みは変わっていないのを確認した一幕でした。ちなみに小生はブランデーもダメです。焼酎の芋臭いのはあまり気にならないけれど、洋酒の香りの強いのは合わないようですね。 それにしても小説の中の食べ物を食べてみたい、食堂などに行ってみたいというのはあるけれど「酒」を買う気になったのは初めてでした。久々に読み応えのある2冊でしたがいずれも20年くらい前の作品です。作者の造詣の深さ・広さと筆力を改めて知ったことでした、一人はすでに亡くなっている。