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長者番付には登場しない「真の大富豪」トップ5

2022年12月31日 08時23分00秒 | 経済

「世界の大富豪ランキング」というと、ジェフ・ベゾス氏やビル・ゲイツ氏などが常連ですが、世の中には彼らをはるかに上回る資産を保有する大富豪が存在する。想像を絶する資産を持つ、公のランキングには登場しない「真の大富豪」の真相に迫ってみよう。

(画像=stockbusters /stock.adobe.com)
(画像=stockbusters /stock.adobe.com)© 長者番付には登場しない「真の大富豪」トップ5

■世界長者番付ランキングをチェック

まずは長者番付から見てみよう。彼らは富裕層のトップに君臨する人たちだ。米経済誌フォーブスが発表した「世界長者番付2021」の結果は、以下のとおり。

<世界長者番付2021>

順位 人物 資産額
1位 Jeff Bezos 1,770億ドル
2位 Elon Musk 1,510億ドル
3位 Bernard Arnault & family 1,500億ドル
4位 Bill Gates 1,240億ドル
5位 Mark Zuckerberg 970億ドル
6位 Warren Buffett 960億ドル
7位 Larry Ellison 930億ドル
8位 Larry Page 915億ドル
9位 Sergey Brin 890億ドル
10位 Mukesh Ambani 845億ドル

※出典:フォーブス(敬称略)

1位はAmazon創業者のJeff Bezos氏で、米EV(電気自動車)大手テスラのElon Musk最高経営責任者(CEO)が2位にランクインしている。

 

■長者番付には登場しない「真の大富豪」トップ5

「真の大富豪」の資産は公表されていないため、あくまで推定の域にとどまるものの、関係者の証言や調査に基づいて算出した金額によると、以下がトップ5ということになるだろう(故人はランキングから除く、1ドル=107.173円で換算)。

●5位:ハサナル・ボルキア(ブルネイ第29代国王)/推定資産200億ドル(約2兆1,400億円)

在位期間50年以上という長きにわたってブルネイを治めるハサナル・ボルキア国王の資産は200億ドル。国家予算を上回る資産を持ち、国家元首としては世界で4番目の富豪。5,000台を超えるクルマのコレクターとしても知られています。

●4位:バッシャール・ハーフィズ・アル・アサド(シリア第5代大統領)/推定資産1,220億ドル(約13兆51億円)

第4代ハーフィズ・アル・アサド大統領の次男として、2000年に大統領就任。「国内の資産の6~7割を支配している」といわれる一族の資産を合わせると、総額1,220億ドル相当と推定されています。

●3位:ウラジーミル・プーチン(ロシア連邦第2・4代大統領)/推定資産2,000億ドル(約21兆 4,200億円)

ロシア当局による税金横領疑惑をめぐる調査で国際的指名手配犯となった、元エルミタージュ・キャピタル・マネジメントのビル・ブラウダーCEOは、2017年、米上院司法委員会にプーチン大統領の純資産を推定2,000億ドルと証言しています。同氏の証言が真実であれば、プーチン大統領は「個人として世界一の大富豪」ということになります。

●2位:ロスチャイルド家(ヨーロッパ財閥)/推定資産3,500億~2兆ドル(約37兆4,900億~214兆2,700億円)

約200年にわたり世界経済と政治に多大なる影響を与えてきた、世界最強の銀行系財閥ロスチャイルド家。マイアー・ロスチャイルドがドイツの宮廷国際銀行家として築いた富と名声は、世代を超えて欧州各地でさらなる繁栄を一族にもたらしています。

●1位:サウード家(サウジアラビア王家)/推定資産1.4兆ドル(約150兆 420億円)

世界第2の石油大国であるサウジアラビアを支配するサウード家は、オイルマネーや不動産、投資などを収入源にしているほか、「天文学的数字」の王室助成金を受けとっており、その経済的影響は国家の年間予算の40%を上回るといわれています。

■真の大富豪が明るみに出ない理由

こうした未公表の資産は「ダークウェルス(Dark Wealth)」と呼ばれる。大富豪がこれらの資産を明るみにしない理由は「自分の資産を世間にさらすことで、必要以上に注目を浴びたくない」、あるいは「公表することで、トラブルに巻き込まれる可能性が高い」などさまざまだ。

真の大富豪がもつ富はタックスヘイブン(租税回避地)や海外の銀行の秘密口座の利用などにより、世界中に分散されているといわれている。しかし近年は租税回避行為や資産隠しへの国際的な圧力が高まっていることから、真の大富豪にとっては「ダークウェルス」の所有が難しい時代になりつつあるのかもしれない。

文・MONEY TIMES編集部

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年収が高い会社ランキング2022【東京除く関東地方トップ5】2位レーザーテック、1位は?

2022年12月12日 07時11分52秒 | 経済
年収が高い会社ランキング2022【東京除く関東地方トップ5】2位レーザーテック、1位は?
年収が高い会社ランキング2022【東京除く関東地方トップ5】2位レーザーテック、1位は?© ダイヤモンド・オンライン 提供

1位はマクニカ・富士エレHD

2位との年収差は約500万円

 今回は、上場企業の有価証券報告書に記載された平均年収のデータを使って、「東京都を除く関東地方で年収が高い会社ランキング」を作成した。対象は、東京を除く関東地方(神奈川、千葉、埼玉、群馬、栃木、茨城の6県)に本社がある上場企業で、単体従業員数20人以上の企業を対象とした。対象期間は2021年4月期~22年3月期。

 さっそくランキングを見ていこう。

 1位となったのは、独立系のエレクトロニクス専門商社であるマクニカ・富士エレホールディングス(HD)だ。平均年収は1873.8万円、平均年収は49.2歳となっている。

 マクニカ・富士エレHDは、15年4月にマクニカと富士エレクトロニクスが経営統合してできた共同持ち株会社である。持ち株会社という組織の特性上、22年3月期時点での単体従業員はわずか28人だ。

 ただし同社は、20年3月期に113人もの従業員を抱えていた。それが一転、21年3月期に25人まで激減。22年3月期の従業員数も同程度にとどまった。

 21年3月期に従業員数が激減した理由について、マクニカ・富士エレHDは「国内グループの組織の見直しに伴い、当社に兼務出向していた管理部門実務者を当社子会社に帰任させたことによるもの」だと説明している。

「少数精鋭」の側面が強まったことで、同社の平均年収は20年3月期(1020.7万円)からの2年間で850万円近く激増した。

 半導体や産業機器への需要増を追い風に、マクニカ・富士エレHDの22年3月期の通期連結業績は、売上高が前期比37.5%増の7618億円、営業利益が同95.6%増の367億円、最終利益が同137.2%増(約2.4倍)の258億円と大きく伸びた。

 足元の23年3月期の上半期(22年4~9月期)も、売上高が前年同期比35.9%増の4926億円、営業利益が同73.6%増の268億円、最終利益が同40.3%増の168億円に拡大している。

 この好調ぶりも、マクニカ・富士エレHDの高年収につながっているのだろう。

 2位は、神奈川県横浜市に本社を置く半導体製造装置メーカーのレーザーテック。平均年収は1379.1万円、平均年齢は41.5歳だった。前回のランキング時の平均年収1310.8万円(平均年齢42.3歳)から70万円近い上昇となった。

 今回のランキングの対象となった2021年6月期決算では、スマートフォンやデータセンター向けの半導体需要の好調を受け、売上高が前期比65.0%増の702億円、営業利益が同73.1%増の261億円、最終利益が同77.9%増の193億円に伸長していた。

 

電子ペン大手のワコムが

前回から大幅増で3位に

 そして、前回のランキング時の平均年収は900万円に満たなかったにもかかわらず、そこから大きく伸ばし、1000万円を超えた企業が存在する。

 それが、3位に入った電子ペン大手のワコム(埼玉県加須市)だ。同社の平均年収は1122.7万円、従業員数は410人、平均年齢は44.5歳となっている。

 前回調査した21年3月期の平均年収は878.7万円であり、実に27.8%の大幅増となった。

 年収が1000万円を超えていた企業は、以上の3社のみ。4位は海運会社の東京汽船で、平均年収は954.0万円(平均年齢40.2歳)。5位はプラント大手の千代田化工建設で、平均年収は926.6万円(平均年齢41.5歳)だった。

 ランキング完全版では、6位以下の全200社の順位と平均年収を掲載している。イオンや日産自動車、キッコーマンといった大手企業は何位だったのか。ぜひ、確認してみてほしい。

(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)

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FNNプライムオンライン 20年後に「サラリーマン」が消滅!大リストラ時代や年金崩壊など今の日本から予測する未来

2022年10月16日 09時09分40秒 | 経済

今から約20年後の2043年には、日本から「サラリーマン」が消滅する。

【画像】この先20年で何が起こる?2025年〜2043年まで

国際経営コンサルタントで弁護士の植田統さんは、そう考察する。

今後、日本企業の雇用も「メンバーシップ型雇用」から、経験やスキルを重要視する「ジョブ型雇用」へと変化していくと植田さんは考えている。

激動の時代、ビジネスパーソンはどう生き抜けば良いのだろうか。今後20年における雇用の変化に仮説を立て、生き抜くヒントを記した著書『2040年「仕事とキャリア」年表』(三笠書房)から一部抜粋・再編集して紹介する。

今から20年後、どんな未来?
2040年までに何が起こっていくのか。

2025年には、団塊ジュニアが50代となり、その人件費負担を避けるために「大リストラ時代」が始まる。2029年になると、若手社員は転職をまったく苦にしなくなり、「大転職時代」が到来。

2031年には、日本企業にもジョブ型雇用が浸透。スキルの高いジョブに就けた人は高給を取り、そうでない人は低い給与で我慢する「超格差社会」が到来するでしょう。

2033年には、実力のある外国人や女性が社長のポジションに就くことが当たり前に。その一方で、日本企業の中には、変われない企業もたくさん残る。

2035年には、変われない企業の衰退が明らかになり、2037年には、若手社員の中から、変われない日本企業と少子化で縮小する日本市場を見限り、外国に脱出する人が数多く出てくる。

2041年には、こうした混乱の中から這い上がろうとする人が現れ、スタートアップ企業が急増。

そして2043年には、メンバーシップ型雇用に固執してきた日本企業が完全に消えてなくなり、ついに「サラリーマン」が消滅する。

つまり、日本国民はすべて何らかの専門性を持った「プロフェッショナル」に生まれ変わる。

【2037年】グローバル市場で日本市場が低下…
2037年、アクティブなオーナー経営者の率いる企業、外から外国人やプロ経営者を迎え入れ、変革を果たした企業は、勢いを持ち続ける。しかし現実には、変われなかった企業が大半を占めているでしょう。

中高年社員が多数を占める日本企業では、中高年社員の既得権益を守ろうとする声が過半数を超え、それを覆して会社を変えてやろうという経営者はあまり出てこない。

相変わらず年功序列の色彩を残したメンバーシップ型雇用が継続していくことになるだろう。

悲観的な観測かも知れないが、変われなかった企業が8割を占めているものと推測する。

それに追い打ちをかけるのが、日本の人口減少とそれに伴うグローバルマーケットの中での日本市場の地位の低下。

世界最大級の会計事務所・コンサルティングファームPwC が出した「長期的な経済展望 世界の経済秩序は2050年までにどう変化するのか?」というレポートは、世界のGDP(国内総生産)総額の約85%を占める経済規模上位32カ国の2050年までのGDP予測をまとめている。

購買力平価ベースでGDPのランキングを予測しているが、2030年には日本は世界4位の座を保つが、50年には世界8位にまで落ち込む。1位から7位までは、中国、インド、アメリカ、インドネシア、ブラジル、ロシア、メキシコになるという予想だ。

この予測が象徴しているように、グローバルマーケットの中での日本市場の地位は大きく下がっていく。

その結果、グローバル企業にとって日本市場の位置づけは大きく下がるだろう。グローバルにビジネスを展開する日本企業にとっても、国内マーケットよりも海外マーケットのほうがはるかに重要になってくる。

【2037年】日本の若者は活躍の場を求め、海外へ
もう一つの重要な事実は、日本企業の支払う給与は、世界の中で競争力がまったくないものとなっていること。OECDの出した「OECD加盟国の2020年の購買力平価ベースの平均賃金」で日本は35カ国中22位。

トップのアメリカが6万9391ドル、35カ国の平均が4万9165ドルあるのに対し、日本は3万8364ドル。これは韓国をも下回る。

2000年から20年の間に、多くの国が平均賃金を大きく伸ばしてきたにもかかわらず、日本の上昇率は0.4%。ちなみに、トップのアメリカは25.3%、韓国は43.5%伸ばしている。

これが現在の数字だが、伸び率から見ると、2034年には日本はOECD加盟国の最下位になっていると考えられる。若手社員の中でも、英語ができる、海外の文化がわかる社員は、海外の企業に転職し、海外市場で勝負してみたいと考えるでしょう。

国内に留まって相対的地位の低下したマーケットで小さいビジネスを展開するよりも、大きな市場、成長する市場で仕事をしたほうが、いい仕事にありつけ、はるかに充実したプロフェッショナル・ライフを送ることができる。若手社員がこう考えるのは当然だろう。

2037年は、今40歳の方が50代後半に突入し、キャリアの晩年を迎える頃、こうした状況が現実化すると、日本企業の業績が大幅に悪化するだけでなく、日本の不動産価格等の資産価値は大幅に下落してくるでしょう。

そうなると、それまでに蓄積してきた資産が紙くずになる恐れも出てくるため、こうした時代にどう立ち向かうか、今から準備が必要なのだ。

【2039年】年金が崩壊?現役世代の負担が限界に
コロナ禍により、巨額の財政出動がされたため、日本政府の債務は急膨張していく。

それ以前から悪かった日本政府の政府債務比率(対GDP比)は、2020年末には264%となった。債務残高は1216兆円、19年から101兆円の増加に。国民一人あたり970万円の借金を背負っている計算になる。

アメリカは133.6%、イギリスは111.5%、ドイツは72.2%、フランス118.6%、イタリア158.3%、カナダ115%であるため、G7の中で財政の悪化度合でダントツの1位。

日本は、個人金融資産が豊富にあり、政府の債務残高はその範囲に納まっているから財政が破たんすることはないという議論がある。しかし、個人金融資産は1900兆円であるため、このまま野放図な財政の拡大が進めば、早晩限界に差し掛かることは目に見えている。

また、日銀が国債を買い続ければ、ファイナンスできるから大丈夫だという議論もあるかもしれない。しかし、それでは日本の財政に対する信認が崩れてしまう。いつまでも今の国債購入のスピードを続けるわけにはいかないのだ。

おそらく本書執筆中の2021年から18年後の2039年頃には、日本経済がかなりおかしくなっているものと予想する。

状況が悪くなってくると、政府には債務の膨張を止めようという意思が働く。その時、起こることは、公務員の人件費の削減、インフラ投資の削減、増税等々だろう。

こうした事態になる頃には、日本円に対する信認も失われているため、ドル高となり、輸入物価が上がっていき、インフレが起きる。

政府債務の悪化と同時並行で進むのが、「年金財政の悪化」だ。

少子高齢化が進んでいることで、高齢者世代の数は増え、それを支える現役世代の数は減っていくため、現役世代の負担がますます重くなる。

その結果、起こってくるのは「年金支給水準の切り下げ」となる。

インフレが起きれば貯蓄が目減りし、そのうえ年金の支給水準も下がっていくと、高齢者の生活は苦しくなる。働いていれば、会社の売上もその分増え、従業員はインフレで調整された給与をもらえるのでいいかもしれない。

しかし、年金生活者はインフレで目減りしていく貯蓄に頼っているため、どんどん生活が苦しくなっていく。

こうした時代に対応するためには、「生涯現役」を貫かざるを得なくなるだろう。そのためにも、自分の手に職をつける、スキルを身に着けることが必須となる。

【2043年】日本から「サラリーマン」が消える?
2043年以降を考えてみると、いわゆる「サラリーマン」という種族は消滅しているだろう。生涯現役社会が訪れることで、会社に入り、そこで定年まで働いて、後は年金生活をするというモデルは成り立たなくなる。

普通の会社に入っても、そこはジョブ型雇用の世界。キャリアアップを考えるなら、社内で上のポジションへの昇進を考えるよりも、他社で募集しているより地位の高いポジションに移っていったほうが早く昇進できる。

なぜなら、社内では、何年か働いてアラが見えているために、かえって昇進のチャンスを手に入れることが難しいからだ。

外資系に入れば、そこはもちろんジョブ型雇用の世界だ。

特に人気の高いコンサルティングや投資銀行に入るなら、そこは「アップ・オア・アウト」の世界で昇進できないようなら、外に出ざるを得ない。

IT企業やメーカーに入って、一つのジョブをマスターし、上のポジションを目指したいと考えても、やはり他社のポジションを探したほうが手っとり早い。

海外で働く人、起業した人は、日本企業や外資系企業で働いている人に比べて、組織に守られていない分、もっと厳しい世界で仕事をしていくことになるだろう。

つまり、終身雇用、年功序列、定期異動を前提とした日本のメンバーシップ型雇用の下で生息することができた、いわゆる「サラリーマン」は消滅してしまう。

誰もが「自分株式会社」を立ち上げ、自分に投資し、スキルを身に着け、自分マーケティング戦略を考えて、自分を商品として高く売ることを真剣に考えていく時代となるのだ。

これら植田さんの仮説が、今後どういったスピードで現実化するかは、政府の政策に大きく依存するという。政府の動きや日本及び会社の改革スピードにアンテナを張り、その都度、適切なキャリア選択をしていく。それが、これからのビジネスパーソンにとって欠かせないスキルの一つかもしれない。

植田統

国際経営コンサルタント、弁護士、名古屋商科大学経営大学院(MBA)教授。著書に『人生に悔いを残さない45歳からの仕事術』『企業再生7つの鉄則』(共に日本経済新聞出版社)、『残業ゼロでも必ず結果を出す人のスピード仕事術』(ダイヤモンド社)、『日米ビジネス30年史』(光文社)などがある

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プレジデントオンライン 横並びで放尿しながらの雑談で驚嘆…稲盛和夫さん「希代のカリスマ企業家」じゃないほうの意外な素顔

2022年09月03日 05時56分46秒 | 経済

京セラを世界的な企業に育て、日本航空を再建した“希代のカリスマ企業家”稲盛和夫さんが亡くなった。ご本人に複数回取材したジャーナリストの勝見明さんは「稲盛さんは3つの顔を持っていた。『数字に厳しい経営者』『徳のある賢人』、そして、自ら語るどこにでもいるオッチャンとしての愛すべき『普通の人』です」という――。

「トイレに行くと稲盛氏もいて2人で並んで用を足した」

希代のカリスマ企業家、稲盛和夫氏は3つの顔を持っていた。「数字に厳しい経営者」「徳のある賢人」、そして、「普通の人」だ。その中でも、私が取材を通して最も印象に残るのは「普通の人」の顔だった。

それは、経営破綻した日本航空(JAL)が、会長として着任した稲盛氏の経営手腕により、V字回復した2012年夏のことだった。JALの破綻と日本経済の衰退が二重写しに見え、危機感を覚えた稲盛氏が、日本再生に向けたメッセージを発信する本を出すため、長時間取材をしたときの一コマだ。

取材を終え、私がトイレに行くと稲盛氏もいて、2人で並んで用を足すことになった。黙っているのも気まずい。私から話しかけた。

【筆者】今も東京通いですか。

【稲盛】そうですわ。

【筆者】大変ですね。

【稲盛】もう慣れましたわ。

それから2~3分世間話を交わした。その日、稲盛氏が東京から京都に着いて、取材場所に来る途中、よく利用する町中華の店に寄って、好物の焼きそばと餃子を食べたことなど、たわいのない話だ。ちょっと前まで取材で見せた「徳のある賢人」の顔とはまったく対照的だった。

取材時はこんな具合だった。私が質問すると、目を閉じて俯き、2~3分間、黙って考え込む。おもむろに目を開け、論語などの中国思想に基づいた自らの哲学を噛んで含めるように語り始める。

「どこにでもいるオッチャンですわ」と自ら称した理由

稲盛氏は65歳のときに在家で得度しているが、その姿はまさに禅僧を思わせた。「聖」のオーラが強かった分、取材後の「俗」の姿が印象に残ったのかもしれない。

「普通の人」の顔を2度目に見たのは、2015年夏、同じ1932年生まれで、長年私的にも交友のあった鈴木敏文セブン&アイ・ホールディングス会長兼CEO(当時、現・名誉顧問)との初めてのカリスマ対談の進行役を務めたときだ。

実は2人には共通点が多い。子供時代は人前で話すのが苦手。どちらも中学入試(旧制)に失敗。就職も思うに任せず、鈴木氏は父親のツテ、稲盛氏は大学教授の紹介で就職先を見つける。鈴木氏はセブン‐イレブンを、稲盛氏は京セラを起業。事業を軌道に乗せていくなかで、それぞれ「単品管理」「アメーバ経営」と独自の経営モデルを生み出した。

超ビッグ対談は挨拶がわりの健康法談義から。「土曜日は天気がよかったら、ゴルフに行く。普段運動をしないので歩くのが目的」と、ゴルフ健康法を披露する鈴木氏に対し、「私はずぼらなもんで、暇なときはちゃぶ台の前にどてっと座ったきり。あとは散歩がてら買い物に出かけたり」と、照れながら話す稲盛氏、と好対照だ。

対談は2時間半に及び、最後に雑談モードになったとき、相手が親しい鈴木氏だけにリラックスしたのか、こんなエピソードを披露した。そのときの録音をそのまま紹介しよう。

【稲盛】私、セブン‐イレブンというのは大変好きでして、おにぎりも買ってます。この前はうちの下に降りていきますと、駅の近所にセブン‐イレブンがあるんですが、お昼散歩がてらそこへ寄ったら、ちょうどスパゲティのミートソースのナポリタンが冷蔵庫みたいなのにあって、それを買って帰って、家内に、おい、セブン‐イレブンでこんなの買ってきたぞって言ったら、見て、これは電子レンジ専用と書いてありますよと。で、うちは電子レンジは昨日から故障してるんですって(笑)。近所の娘に電話して、お父さんこんなの買ってきたんで、あんたの電子レンジ貸してくれって(笑)。

自ら「どこにでもいるオッチャンですわ」と称していたが、そのオッチャンぶりに、現場にいたスタッフ全員が大爆笑した。

「人間として何が正しいのか、その一点で考える」

ただ、対談のしめくくりに、「お2人に一番共通するのは判断の基準が明確なことです。悩まず、迷わず、決断する秘訣をお聞かせください」とお願いすると、稲盛氏は一転、「徳のある賢人」の顔に戻った。

鈴木氏が「私は、1つのことをこう決めたら、次はまたこうしようと連続的に考えていくので、そんなに悩むことはありません」と実務家タイプの経営者らしい答えをしたのに対し、稲盛氏はこう答えたのだ。

【稲盛】私も同じで、さほど悩みません。損得ではなく、人間として何が正しいのか、その一点で考える。自社にとって不利でも、正しいと思うことを選択するのであまり迷いません。

そして、その例として、JAL再建過程でのある決断について語った。提携先のアライアンス(航空連合)を決めるときの話だ。

JALは従来、アメリカン航空を盟主とする「ワンワールド」に加盟していた。倒産後、行政を中心に政治家たちも含め、デルタ航空が盟主のスカイチームへの鞍替えの動きが出た。スカイチーム側からも多額の支援の申し入れがあり、社内でも「移るべき」という意見が大勢を占めた。

条件的には鞍替えのほうが有利だった。しかし、稲盛氏は両陣営のトップ級と会い、話を聞いた上でワンワールド残留を決めた。その理由をこう語ったのだ。

「何より、今までずっと一緒に組んできたアメリカン航空には何の落ち度もないのに簡単に鞍替えするのは、人間として正しいことなのか。幹部社員たちも最後は賛成してくれました」

「人間として何が正しいのかで判断する」。これは、稲盛氏が京セラを経営するなかで学んだものを折に触れてまとめた哲学、「京セラフィロソフィ」の中心概念だ。

稲盛氏がJAL再建のため、会長職として着任し、幹部社員を対象に行った「リーダー教育」もフィロソフィをもとにリーダーのあり方を説くものだった。稲盛氏は、幹部たちの意識改革を徹底するため、自ら講師となって強く訴えた。

企業経営は損得以前に、「人間として何が正しいのか」、善悪でものごとを判断すべきである。それには「無私の精神」が必要であり、それを支えるのが「利他の心」の精神性と倫理観である。

善悪の基準とは、「人をだましてはならない」「ウソをついてはいけない」「人に迷惑をかけてはいけない」といった、子供のころに両親や先生から教えられたようなプリミティブなことが原点にある。大企業の最高幹部であっても、それがおろそかになると経営判断を誤ることが多い。だから、人間としてのベーシックな精神のありようや倫理観を、もう一度取り戻そう、と。

「必要な数字は向こうから目に飛び込んでくる」

講義終了後は、毎回、飲み会だ。会費を出し合って、缶ビールと焼きそばや餃子などの簡単なつまみだ。稲盛氏を囲んで車座になり、膝をつき合わせながら、酒を酌み交わし、胸襟を開いて語り合う。幹部たちは、昼間、講義で目にした「徳のある賢人」の中に血の通う等身大の稲盛氏を感じたことだろう。

当初、学歴とプライドは高いが当事者意識に欠け、評論家的言動が目立った幹部の中には、稲盛氏の説くフィロソフィに違和感を覚え、あまり乗り気でなかった者もいた。それが、回を重ねるごとに、だんだんと幹部たちの目の色が変わり、フィロソフィへの理解を深めていった。やがて、「もっと早くこのような教育を受けていたら、JALは倒産することもなかった」と発言する人も出てきた。

リーダー教育は、幹部から管理職へと広げ、同時に稲盛氏は空港の現場を回り、社員たちにも直接語りかけ、意識改革を求めた。

「JALに搭乗されたお客様が、またJALに乗ってあげようと思っていただけるような仕事を心がけていただきたい。一線に立つみなさんが、新しいJALの象徴になるのです」

「あの人たちが働いてくれているなら、あの飛行機に乗ってみようとお客様に思っていただけるような接遇をしましょう」

80歳に達する年齢で、無給で陣頭指揮し、ホテル暮らしで、夜はコンビニのおにぎりを食べ、再建に全身全霊を傾ける姿そのものが社員たちにとって大きな範となった。

こうして意識改革が進むなかで、京セラフィロソフィをベースとして、再建に向けたJAL社員の行動規範として、「自ら燃える」「お客様視点を貫く」「一人ひとりがJAL」といった40項目からなる「JALフィロソフィ」がつくられるのだ。

一方、「数字に厳しい経営者」の顔に徹したのが経営会議や業績報告会の場面だった。フィロソフィには「売上を最大に、経費を最少に」の項目もある。配布されるA3サイズの資料にはおびただしい数の数字が並ぶが、稲盛氏は細かな数字も見逃さない。

機長出身で稲盛氏に社長に抜擢された現会長の植木義晴氏によると、稲盛氏はよく「必要な数字は向こうから目に飛び込んでくる」と語ったという。

資料上の数字についての突っ込んだ質問に対し、明快に答えられないと、「これ以上は時間のムダだ」とものの5分で退席させられた役員もいた。

口癖は「数字を躍らせるな」。経営上の数字には必ず意味や背景があるから、常に敏感に反応し、必要な対応策を俊敏にとる。経営破綻前、月次実績が出るのは3カ月後だったが、稲盛氏が「翌月」を求めて実現させると、報告会の情景が変わっていった。前は数字に疎く、「八百屋も経営できない」と稲盛氏に酷評された役員たちが、機器一つひとつの値段まで調べるようになったのだ。

「そのころから、全社をあげて経費節減が始まりました。チリも積もれば山となるで、数字が毎回よくなっていく。自分たちにもできるんだ。数字を見るのが楽しくなっていきました」と前出の植木氏は振り返る。

「悩んで、悩んで、でも続けろ。必ずどこかでわかる」

やがて、フィロソフィと並んで稲盛経営学の両輪をなす「アメーバ経営」が導入される。組織を小集団に分け、それぞれが独立採算制により運営し、社員一人ひとりの当事者意識を持たせ、全員経営を実現する手段だ。これが全社あげての経費削減活動を促進し、一人ひとりの採算意識を高めていった。

筆者は空港の現場でその経費削減ぶりを取材したことがある。キャビンアテンダントは機内に持ちこむ自分たちの荷物について「1日1人500グラム減」に取り組む。整備現場では備品ごとにスーパーの店頭のように値札を張り、コスト意識を高める。ウェス(機械の清掃用布)は社内で集めた古着を使う。地上スタッフも、故障した拡声器が2台あったら、片方から部品を取り、もう一方の部品と交換して2つを1つにして使った。

アメーバ経営により、一人ひとりが自律的に判断し、行動する。フィロソフィが判断基準となり、行動規範となる。JALの復活は会社更生手続きにおける措置も寄与しているのはいうまでもない。ただ、全社員の自主的な経営削減に取り組みにより、再建2年目には計画より800億円近く経費を削減し、目標を大幅に超える営業利益を残すことができた。ついには世界のエアラインの中でもトップクラスの収益力を誇るまでにV字回復を果たすのだ。

あるグランドスタッフにJALフィロソフィの中でどの言葉が好きか聞いてみたことがある。

「『美しい心を持つ』。私はこの言葉が好きです。私たちの心がすさんでしまったら、お客様に最高のサービスが提供できなくなってしまうからです」

「美しい心」。それはまさに稲盛氏が強く求め続けたものだろう。

植木氏は一時期、「人間にとって何が正しいか」の判断で迷ったことがあり、稲盛氏に相談すると、こんな答えが返ってきたという。

「いいんだ、悩め。お前は今まで人間として何が正しいか判断したことはないだろう。それを今学んでいるんだ。悩んで、悩んで、でも続けろ。必ずどこかでわかってくる」

稲盛氏の予言「3年後の2025年に日本は“衰”のどん底」

稲盛氏は歴史を俯瞰する目も持ち、「日本は40年ごとに“盛”と“衰”を繰り返す」が持論だった。

・幕末・明治維新(1868年)=「衰」

 

・日露戦争勝利(1905)=「盛」

・太平洋戦争敗戦(1945年)=「衰」

・プラザ合意(1885年)=「盛」

――のように、「盛」の頂点と「衰」のどん底が40年ごとに到来する。

この法則にしたがえば、3年後の2025年に、日本はまた「衰」のどん底を迎えることになる。その可能性は否定できない。冒頭で紹介した本も、その危機意識から発案されたものだった。書名の『燃える闘魂』はフィロソフィにある言葉だ。

日本をいかに再生するか。稲盛氏の遺志を継いで、われわれも悩んで、悩んで、答えを探さなければならない。

---------- 勝見 明(かつみ・あきら) ジャーナリスト 1952年生まれ。東京大学教養学部教養学科中退後、フリージャーナリストとして、経済・経営分野を中心に執筆を続ける。著書に『鈴木敏文の統計心理学』『選ばれる営業、捨てられる営業』ほか多数。最新刊に『全員経営』(野中郁次郎氏との共著)。 ----------

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日本人の年間平均給与は433万円=中国ネット「そんなに少ないの?」「先進国最低レベル」

2022年06月29日 06時24分31秒 | 経済
 

投稿したのは、香港フェニックステレビの李●(リー・ミャオ、●は水が3つ)駐東京首席記者。国税庁の2020(令和2)年分の民間給与実態統計調査によるもので、433万円は約21万人民元に相当するとし、年齢階層別にみると、男性では60歳未満までは年齢が高くなるにしたがい平均給与も高くなり、女性では年齢による較差はあまり顕著ではないこと、給与階級別分布では、「300万円超400万円以下」の者が構成比17.4%で最も多く、次いで「200万円超300万円以下」の者が同15.5%で、「200万円以下」の者が約22%であることを紹介した。

この投稿について、中国のネットユーザーからは「そんなに少ないの?」「先進国最低レベル!」「なぜ日本では(男性の場合)年齢が高くなるにしたがい平均給与も高くなるの?」「年功序列制でしょ」「卒業してから5年以内の収入の平均値に関する統計はありますか?」「日本国内では(中村淳彦氏の)『東京貧困女子。彼女たちはなぜ躓いたのか』についてどう議論されていますか。読後は憂鬱な気持ちになってしまいました」「日本には1980年代のように最先端の技術の道を進んでほしい。現在のように戦争への道を再び歩むのではなく」などの感想や質問が上がった。

中国国家統計局によると、2021年の全国都市部の非民間企業・事業団体などの従業員の平均賃金は前年比9.7%増の10万6837元(約215万円)、都市部の民間企業・団体の従業員の平均賃金は同8.9%増の6万2884元(約127万円)。(翻訳・編集/柳川)

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