◎癌細胞を狙い撃ちする特殊部隊を育成せよ
前回は、健康な人でも1日に約5000個の癌細胞ができているというお話をしました。その癌細胞を、毎日5000勝0敗の確率でやっつけてくれているのが、日々体内で作られる免疫細胞です。
中でも重要な免疫細胞が「Tリンパ球」になります。このTリンパ球には、癌細胞だけを狙い撃ちする「特異免疫細胞」と、風邪やインフルエンザなど様々な病原体から体を守る「非特異免疫細胞」の2種類があります。いわば癌というテロ組織専門の特殊部隊と、その他幅広い業務を受け持つ町のおまわりさんのような関係で、両者は協力しながら外敵を防ぎます。
これらの免疫細胞が、病気や癌に罹りにくい体質づくりをするうえで重要な役割を担っているのです。では、このTリンパ球を強化するにはどうすればよいのでしょうか。そもそもTリンパ球は「メラトニン」というホルモンが、胸骨の後ろ・心臓の前にある胸腺を刺激することで生成されます。つまり『メラトニン→胸腺→Tリンパ球』という生産ラインを強化することで、免疫力を高めることができるのです。
◎7時に起きて12時に寝る。この生活で免疫力を強化
強化に必要な第一歩は、メラトニンを分泌させることです。これは、体内時計によって睡眠中に脳から分泌されるので、睡眠の取り方が重要になります。ポイントは次の3点。(1) ゴールデンタイムは22~2時。この間に熟睡すること。(2) 7時までに起きる。するとメラトニンスイッチはオンされ、15~16時間後に分泌され始めます。もし朝寝坊して10時以降に起きてしまった場合には、残念ながらその夜メラトニンは分泌されません。しかし、がっかりする必要はありません。翌日から「早起き早寝」するように心がければいいのですから。(3) 真っ暗にして寝ること。テレビやパソコン、携帯電話の光(ブルーライト)など光の刺激により分泌されなくなってしまいます。いくらゴールデンタイムに寝ても脳は休めず、メラトニンは出てきません。この時間、恋人からのメールには注意が必要ですね(笑)。
睡眠時間は7時間前後がベストです。つまり、遅くとも12時には寝て、7時に起きるのが理想的なのです。
夜更かしや朝寝坊でメラトニンの分泌が不十分だと、Tリンパ球の生産ラインは極端に低下します。すると癌細胞に対する監視力が5000勝0敗でなくなる危険性がでてきます。その長年の蓄積が、やがて癌という形に姿を変えてしまうのです。
働き盛りの皆さんは、毎日7時間の睡眠を取るのは難しいかもしれません。しかし睡眠の3つのポイントを実行することで、40代でも免疫力を強化することができるのです。
齋藤真嗣・医師
さいとうまさし/1972年生まれ。ニューヨーク州医師。専門は、腫瘍内科・感染症。著書に70万部超の『体温を上げると健康になる』。毎週月~金5:55~6:00、TOKYO FM『明日に架ける橋~健康スイッチ~』に出演中。
前回は、健康な人でも1日に約5000個の癌細胞ができているというお話をしました。その癌細胞を、毎日5000勝0敗の確率でやっつけてくれているのが、日々体内で作られる免疫細胞です。
中でも重要な免疫細胞が「Tリンパ球」になります。このTリンパ球には、癌細胞だけを狙い撃ちする「特異免疫細胞」と、風邪やインフルエンザなど様々な病原体から体を守る「非特異免疫細胞」の2種類があります。いわば癌というテロ組織専門の特殊部隊と、その他幅広い業務を受け持つ町のおまわりさんのような関係で、両者は協力しながら外敵を防ぎます。
これらの免疫細胞が、病気や癌に罹りにくい体質づくりをするうえで重要な役割を担っているのです。では、このTリンパ球を強化するにはどうすればよいのでしょうか。そもそもTリンパ球は「メラトニン」というホルモンが、胸骨の後ろ・心臓の前にある胸腺を刺激することで生成されます。つまり『メラトニン→胸腺→Tリンパ球』という生産ラインを強化することで、免疫力を高めることができるのです。
◎7時に起きて12時に寝る。この生活で免疫力を強化
強化に必要な第一歩は、メラトニンを分泌させることです。これは、体内時計によって睡眠中に脳から分泌されるので、睡眠の取り方が重要になります。ポイントは次の3点。(1) ゴールデンタイムは22~2時。この間に熟睡すること。(2) 7時までに起きる。するとメラトニンスイッチはオンされ、15~16時間後に分泌され始めます。もし朝寝坊して10時以降に起きてしまった場合には、残念ながらその夜メラトニンは分泌されません。しかし、がっかりする必要はありません。翌日から「早起き早寝」するように心がければいいのですから。(3) 真っ暗にして寝ること。テレビやパソコン、携帯電話の光(ブルーライト)など光の刺激により分泌されなくなってしまいます。いくらゴールデンタイムに寝ても脳は休めず、メラトニンは出てきません。この時間、恋人からのメールには注意が必要ですね(笑)。
睡眠時間は7時間前後がベストです。つまり、遅くとも12時には寝て、7時に起きるのが理想的なのです。
夜更かしや朝寝坊でメラトニンの分泌が不十分だと、Tリンパ球の生産ラインは極端に低下します。すると癌細胞に対する監視力が5000勝0敗でなくなる危険性がでてきます。その長年の蓄積が、やがて癌という形に姿を変えてしまうのです。
働き盛りの皆さんは、毎日7時間の睡眠を取るのは難しいかもしれません。しかし睡眠の3つのポイントを実行することで、40代でも免疫力を強化することができるのです。
齋藤真嗣・医師
さいとうまさし/1972年生まれ。ニューヨーク州医師。専門は、腫瘍内科・感染症。著書に70万部超の『体温を上げると健康になる』。毎週月~金5:55~6:00、TOKYO FM『明日に架ける橋~健康スイッチ~』に出演中。