お役立ち情報ブログ

日々の生活やビジネスにおいて役に立ちそうな情報を収集、公開しています。

夏場の筋トレが「痛風」の引き金になるワケ 発症リスク高い「高尿酸血症」を放置しないで

2016年08月21日 07時50分55秒 | 健康

 暑気払いなどの外食が続くと、お腹がポッコリ出てしまうということはありがちだ。「夏太りだからやせなければ!」と思い、運動などに取り組む人はいるだろう。しかし、そこには落とし穴があった。

 30代の会社員Aさんは、以前からポッチャリしたお腹が気になっていたが、夏休みに家族や友人などとの外食が重なったこともあり、休み明けには、ズボンのウエストはきつくなっていた。ボタンを無理に締めるとベルトにお腹が乗った状態に。ショックを受けたAさんは会社帰りにジムへ直行した。

 水分補給は熱中症にならない程度にいつもより量を控えて取った。筋トレで汗を流すと、なんだか少しお腹がへこんだ気がした。「この調子なら、すぐにウエストは元にもどりそうだ」と考えながらその夜はグッスリと就寝。すると、明け方に足の激しい痛みで目が覚めた。これまで味わったことのない激痛にもがきながら、右足を見ると親指のつけ根が赤くはれ上がっている。「捻挫した覚えはないのに……」と思いつつ、とにかく痛い。家族に付き添われながら近所のクリニックを受診すると、痛風と診断された。今の時期、Aさんのようなケースは珍しいことではないそうだ。

夏場は要注意、偏った食事もリスク要因

 痛風治療の第一人者、帝京大学医学部附属新宿クリニックの藤森新院長が説明する。「痛風は、代謝によって生じる尿酸が血中濃度の上昇で飽和状態になると、結晶化して関節にたまったときに炎症を起こします。日頃から血中の尿酸濃度の高い『高尿酸血症』の人が、急にハードな運動などをすると、発汗や運動による体内の影響で、血中の尿酸濃度が急激に高まって痛風発作につながりやすいのです。汗によって体液が少なくなる夏場は、特に注意が必要と言えます」

 尿酸には、プリン体という成分がかかわっている。プリン体は、細胞の新陳代謝やエネルギー代謝などにより体内に産生され、肝臓で分解されて尿酸に変わるが、余分な尿酸は排出される仕組みがある。しかし、食品にもプリン体は含まれているため、偏った食生活などをしていると血中の尿酸値は上がりやすくなるという。特にぽっちゃり体型の人はリスクが高い。そんな人が急にハードな運動をすると、エネルギー代謝で尿酸が生じやすいことに加え、乳酸という物質が出て尿酸の排出を妨げ、尿酸の血中濃度を押し上げてしまう。

 「プリン体はビールに含まれるため、『プリン体ゼロ』といった商品もあります。しかし、そもそもプリン体はうま味成分として、レバー、シイタケ、かつお節などさまざまな食品に含まれているのです。そのため、アルコールを飲まなくても偏った食事を続けて太り気味の人は、高尿酸血症になりやすいのです。遺伝的な要素を持っていると、やせていても高尿酸血症という人はいます。そういった方が、急にハードな運動をすると痛風発作を起こしやすいのです」

 尿酸値は血液検査で簡単に調べられるものの、会社などの健診項目では、必須検査にはなっていない。つまり、健診を受けていても、自分が高尿酸血症か否かわかっていない人が多いのだ。国内の高尿酸値症の人は、約1000万人と推計され、20代~30代の若い人の間で増加傾向にある。

 「高尿酸血症と知らずにそのまま放置すると、10年後には糖尿病や高血圧症、さらには脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まります。つまり、若い頃に高尿酸血症の人は、内臓脂肪型肥満に伴うメタボリックシンドロームの予備軍であり、将来、メタボリックシンドロームにつながりやすいのです。高尿酸血症は、それを知らせるシグナルともいえるのです。ご自身が高尿酸血症とわかったならば、食生活への見直しのきっかけにしていただきたい」

お勧めは野菜、水分、そして有酸素運動

 メタボのシグナルになる高尿酸血症の予防法を、藤森院長が伝授する。

 (1)内臓脂肪をつけないように暴飲暴食は控える。

 (2)太り気味の人は、ご飯やめん類などの炭水化物を半分以下に減らして体重を落とす。間食は厳禁。

 (3)野菜をたっぷり食べるようにする。たとえば、ランチについているミニサラダの3倍の量を意識する。

 (4)夏場は、熱中症予防も兼ねてこまめに水分補給をする。1日2リットル以上が目安。

 (5)アルコールは利尿作用があるため、体内の水分を減少させやすく、尿酸値を高める作用があるので飲みすぎないようにする。

 (6)適度な運動を心掛ける。ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動がお勧め。

 (7)ハードな筋トレは、有酸素運動とは異なる筋肉を使うことで尿酸値を高めやすいので避ける。

 「太り気味の人は、食生活を見直し体重を落とすだけで高尿酸血症の改善が可能です。また、遺伝的にやせていても高尿酸血症の方は、薬によって尿酸値をコントロールすると、痛風のリスクを下げることができます」

 高尿酸血症の薬には、尿酸の排泄力を高めるタイプと、体内での生成を抑制するタイプがある。適切な薬の使用で尿酸値をコントロールできるが、やはり、乱れた食生活の改善は欠かせない。「血液検査などでご自身の状態を把握し、1日の総摂取カロリーを決めて、ご飯などの炭水化物を食べ過ぎないようにしてみてください。また、毎日ご自身で決めた時間に体重計に乗るようにしましょう。体重推移の把握も大切です。10年後のご自身の健康を考えて取り組んでいただきたい」と藤森院長。

 急場しのぎではなく、先を見据えた食生活の見直しを心掛けよう!


安達 純子
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする