都心で中堅の企画会社を経営するA社長は、「銀行員というのは本当に嫌なやつらだ」と事あるごとに公言してはばからない。リーマン・ショック後に資金繰りが危うくなり、取引のあったいくつかの銀行に、3000万円の借り入れを申し入れたことがあった。
しかしどこも応じるところはなく、やむなく優秀な社員たちを解雇して経営危機を乗り切った。数年後、苦難を乗り越えてようやく新規案件が軌道に乗り始めたころ、かつて断りを入れてきた銀行の担当者が電話をかけてきたという。
「3億借りて。使わないで利子つけて返せばいいから」
上司を連れてくるというので、しかたなくアポを受け入れると、銀縁のキザなメガネを掛け、髪をなでつけた40代後半と思われる男性行員が現れた。彼がニヤニヤしながら言うには、
「いやあAさん、最近会社の調子が非常にいいようですね。どうです、そろそろウチからもお金を借りてもらえませんか?」
銀行の仕打ちに懲りて無借金経営を続けていたA社長が断ると、行員は身を乗り出して「いいじゃないですか、少しくらい。お願いしますよ。3億でいいんです3億で。どうしてもダメなら2億でもいいですから」と言ったという。
A社長は耳を疑ったが、怒りを押し殺して「資金は足りているので」と再度断ると、行員は眉間にしわを寄せてこう凄んだという。
「要らないなら、使わなければいいじゃないですか? しばらく借りて、そのまま返してくれればいいんですよ」
もちろん、利子は支払わなければならないのだが…。結局A社長は、将来資金が必要になったときに、メガバンクの横のつながりで嫌がらせを受けることをおそれ、やむなく3億円を借り入れたという。
人気企業ランキング独占は「水面下での青田買い」のため
2014年春に卒業予定の大学生を対象とした某新聞の調査で、就職希望企業ランキングの1位から10位までを金融機関が占めたことがあった。ただし調査期間は、卒業の1年以上も前のこと。なぜそんな意味のないことをするのか。
求人広告の営業に携わった経験のあるBさんによると、この手のランキングは「一種の企業広告」であり、順位が操作されているケースも少なくないという。なぜそんなことをするのか。人材採用の支援もしていたBさんは、こう実態を打ち明ける。
「一流大学で成績優秀だったり、スポーツで好成績を上げたりした学生は、就活サイトに登録する必要なんかないですからね。有名企業から水面下で、どんどん青田買いの引き合いが来ます。そのときに『人気ランキングにも入っていない御社なんかに、なぜ行かなきゃならないのか』と言われると困る。なので、カネを出してでも順位を上げるのです」
こうしてメガバンクに入行した人は、どうなるのか。キャリコネの口コミを見ると、メガバンクにおける出世の条件は、何といっても学歴のようだ。東大、京大をはじめとする旧帝国大学卒が幹部候補の中心で、早慶など有名私大がやっと加われるというところもあった。
2ちゃんねるには、元メガバンクの行員と思われる人物がスレッドを立てて実態を明かしている。なぜメガバンクに入ったのか尋ねられて「若気の至り」と答え、辞めた理由をこう語っている。
「自営業やってる友達が、銀行に資金引き上げられて自殺した。でも銀行がやったことは当然だと思ってる自分に引いた」
取引先の専務は、なぜ灰皿を投げつけたのか
この告白に対し、別のユーザーが「メガバンクに勤めるには、タフな精神というか冷酷になれないとだめなんだね」と反応したところ、
「銀行マンは社長殺して初めて一人前。出世してる奴らは笑いながら武勇伝として、担当の社長が自殺した話を語るからな~」
と恐ろしい話を引き合いに出している。「メガバンクの行員は、いい人は生き残れない?」という問いにも、「うん。でもどんなにいい人でもだんだんクズになっていくから、心配しないで大丈夫!」と明るく答えている。
キャリコネの口コミにも、債権回収に悩む行員からの書き込みが見られる。あるメガバンクで法人営業をする30代後半の男性は、精神的にいちばん辛く非常にストレスを感じる仕事は、業績不振先からの債権回収や金利引き上げ交渉だという。
交渉の場は修羅場の連続で、「某取引先で先方の専務が激昂し、灰皿を投げつけられた時は、さすがに銀行勤めももう限界かと思いました」と明かしている。
もちろん借り手にも責任はあるが、仮に前述のA社長のような経緯で借り入れたのであれば、激昂しても当然だ。銀行は「晴れの日に傘を貸し、雨の日に傘を取り上げる」と言われるが、それでは自らの儲けと引き換えに、借り手を窮地に追い込んでいることにしかならない。
しかしどこも応じるところはなく、やむなく優秀な社員たちを解雇して経営危機を乗り切った。数年後、苦難を乗り越えてようやく新規案件が軌道に乗り始めたころ、かつて断りを入れてきた銀行の担当者が電話をかけてきたという。
「3億借りて。使わないで利子つけて返せばいいから」
上司を連れてくるというので、しかたなくアポを受け入れると、銀縁のキザなメガネを掛け、髪をなでつけた40代後半と思われる男性行員が現れた。彼がニヤニヤしながら言うには、
「いやあAさん、最近会社の調子が非常にいいようですね。どうです、そろそろウチからもお金を借りてもらえませんか?」
銀行の仕打ちに懲りて無借金経営を続けていたA社長が断ると、行員は身を乗り出して「いいじゃないですか、少しくらい。お願いしますよ。3億でいいんです3億で。どうしてもダメなら2億でもいいですから」と言ったという。
A社長は耳を疑ったが、怒りを押し殺して「資金は足りているので」と再度断ると、行員は眉間にしわを寄せてこう凄んだという。
「要らないなら、使わなければいいじゃないですか? しばらく借りて、そのまま返してくれればいいんですよ」
もちろん、利子は支払わなければならないのだが…。結局A社長は、将来資金が必要になったときに、メガバンクの横のつながりで嫌がらせを受けることをおそれ、やむなく3億円を借り入れたという。
人気企業ランキング独占は「水面下での青田買い」のため
2014年春に卒業予定の大学生を対象とした某新聞の調査で、就職希望企業ランキングの1位から10位までを金融機関が占めたことがあった。ただし調査期間は、卒業の1年以上も前のこと。なぜそんな意味のないことをするのか。
求人広告の営業に携わった経験のあるBさんによると、この手のランキングは「一種の企業広告」であり、順位が操作されているケースも少なくないという。なぜそんなことをするのか。人材採用の支援もしていたBさんは、こう実態を打ち明ける。
「一流大学で成績優秀だったり、スポーツで好成績を上げたりした学生は、就活サイトに登録する必要なんかないですからね。有名企業から水面下で、どんどん青田買いの引き合いが来ます。そのときに『人気ランキングにも入っていない御社なんかに、なぜ行かなきゃならないのか』と言われると困る。なので、カネを出してでも順位を上げるのです」
こうしてメガバンクに入行した人は、どうなるのか。キャリコネの口コミを見ると、メガバンクにおける出世の条件は、何といっても学歴のようだ。東大、京大をはじめとする旧帝国大学卒が幹部候補の中心で、早慶など有名私大がやっと加われるというところもあった。
2ちゃんねるには、元メガバンクの行員と思われる人物がスレッドを立てて実態を明かしている。なぜメガバンクに入ったのか尋ねられて「若気の至り」と答え、辞めた理由をこう語っている。
「自営業やってる友達が、銀行に資金引き上げられて自殺した。でも銀行がやったことは当然だと思ってる自分に引いた」
取引先の専務は、なぜ灰皿を投げつけたのか
この告白に対し、別のユーザーが「メガバンクに勤めるには、タフな精神というか冷酷になれないとだめなんだね」と反応したところ、
「銀行マンは社長殺して初めて一人前。出世してる奴らは笑いながら武勇伝として、担当の社長が自殺した話を語るからな~」
と恐ろしい話を引き合いに出している。「メガバンクの行員は、いい人は生き残れない?」という問いにも、「うん。でもどんなにいい人でもだんだんクズになっていくから、心配しないで大丈夫!」と明るく答えている。
キャリコネの口コミにも、債権回収に悩む行員からの書き込みが見られる。あるメガバンクで法人営業をする30代後半の男性は、精神的にいちばん辛く非常にストレスを感じる仕事は、業績不振先からの債権回収や金利引き上げ交渉だという。
交渉の場は修羅場の連続で、「某取引先で先方の専務が激昂し、灰皿を投げつけられた時は、さすがに銀行勤めももう限界かと思いました」と明かしている。
もちろん借り手にも責任はあるが、仮に前述のA社長のような経緯で借り入れたのであれば、激昂しても当然だ。銀行は「晴れの日に傘を貸し、雨の日に傘を取り上げる」と言われるが、それでは自らの儲けと引き換えに、借り手を窮地に追い込んでいることにしかならない。
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