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ジム・ロジャーズ「日本人の給与が上がらない真相」 日本人が海外に出稼ぎに行くほうが早い

2023年04月04日 06時59分11秒 | 経済
日本は、先進国で唯一、近年「賃金」が上がっていない国である。
世界的投資家である、ジム・ロジャーズ氏はこのことも日本において「格差」が深刻化した原因と指摘する。現在、世界的に起こっている物価上昇のなかでも、時を同じくして賃金も上昇しなければ、国民の生活は苦しくなる一方だ。こうした状況下で私たちはどのように生き抜くべきか。ロジャーズ氏がこれからの日本人のための人生戦略を自身の最新刊『捨てられる日本』より指南する。

日本人の給料はなぜ、いつまでも上がらないのか――格差を放置する政府

過去数十年にわたって賃金が上がらなかったことは、日本における貧富の差の拡大に影響を与えている。現在、世界的に物価の上昇が続いているが、海外では物価とともに賃金も上がる場合が多い。しかし、日本では物価が上がっても、賃金は上がっていない

値上げせざるをえない企業は、それを外国のせいにするだろう。食料やエネルギーは海外の価格に非常に影響されやすい。たとえばシカゴで銅の価格が上がれば、東京を含めた世界各地でも上昇する。

しかし、賃金は違う。日本はアメリカやシンガポールに比べ、移民の受け入れに対して消極的な国だ。海外の優れた人材を迎え入れるために高額な給与を支払う、という慣習もあまりないため、企業は賃金を上げなくても問題視されない。

また、日本には外資系企業で働く人や海外企業に転職する人もそれほど多くはない。国内だけで転職を完結することが一般的だ。このように人材の流動性が低く、企業側もそれを理解している。日本はこうした状況を変えていく必要がある。

賃金の上昇を促すためには、移民を増やし、貿易が活発に行われるようつとめ、日本を今よりも外へ向けて開放する必要がある。ビザ、外国人雇用、貿易制限に関するすべての法律を撤廃することだ。

このような手を打ったとしてもすぐに国民の賃金が上がるわけではないが、優秀な人材を外国から呼び込むことができれば、高齢化がもたらす打撃を緩和させることもできるし、外からもたらされるすばらしいアイデアによって「変化」が進み、イノベーションが起こりやすい土壌がつくられていくだろう。

日本企業が儲かり経済が豊かになれば、国民の生活も豊かになる。また、外国から低賃金労働者の受け入れをすれば生活コストも抑えられるだろう。たとえ給料が劇的に上がらなかったとしても、生活コストが下がれば人々は豊かに生活できる。このように、日本は「国の開放」によりあらゆるメリットを享受できるのである。

とはいえ覇権国の座にあったアメリカでさえ、過去10年の平均昇給率は2~3%で推移しているので、日本の現状はそれほど衝撃的なものではない。日本の平均賃金が韓国を下回ったという点には驚くが、これは韓国が中国と貿易を始めたことに起因しているかもしれない。

いずれにしても、これほどまでに賃金が伸び悩み円安も進むとなると、将来的には安い賃金と円安を武器に、日本人が海外へ出稼ぎに行くことも十分考えられる。

ただし、どの国に出稼ぎしてもいいということではない。慎重に検討を重ねるべきだ。たとえば、ベトナムや中国はいいと思う。また、ロシア、とくにウラジオストクは面白い場所だ。ただ、有事の際にウラジオストクの港は軍事上重要な拠点になるので、ビジネスを行ううえで危険をともなう可能性はある。

これから若い世代の日本人が国内で成功するには、ハードルがどんどん高くなるだろう。外に出ていくほうが早いかもしれない。

 

国が国民から資産を奪い、借金を返す

日本政府は、「個人が外に出ていく」方策ではなく、「外から来てもらう」方策で景気を上向かせようと、2020年の東京オリンピック・パラリンピック、2025年の大阪・関西万博、そして万博後のカジノ開発などを立て続けに計画した。

東京オリンピック・パラリンピックは、運悪く世界的なコロナ禍と重なってしまい、この国の経済に打撃を与える格好となった。しかし、それは「コロナ禍」によって有人での開催ができなくなったことに起因するものではない。

「オリンピック開催国の経済が潤う」というのはよく言われる話だが、その通りになった事例は過去に1つたりとも存在しない。

たいていの場合、このようなことをいうのは、政治家・観光業・接客業などのように、国民と観光客にお金を落としてもらいたい人たちだ。

日本は、1964年にもオリンピックの開催国(開催地は東京)になった。オリンピック開催によって、この国に高度経済成長期が到来したわけではないのだが、ちょうどこの時期、日本には高速道路が誕生し、新幹線も開通した。真新しいスタジアムも誕生し、街もきれいになった。これらの事業に携わった人々は、一定の恩恵を受けることができたし、政治家もこのようなポジティブな成果を誇らしげに口にする。

しかし1966年、日本の株式市場は大暴落し、銀行の破綻が相次いだ。「証券不況」と呼ばれる景気後退である。株価下落のあおりを受けた当時の大手証券会社、山一證券で発生した取り付け騒ぎ(預金者が金融機関・金融制度などに対して不信感を抱き、預金や掛け金を取り返すべく、金融機関の店頭へ押しかけること)は経営危機に追い打ちをかけた。

オリンピックが国の経済を活性化するというのであれば、なぜその2年後に企業の破綻が相次いだのだろうか? むしろ開催国は、オリンピック以後、景気の後退や巨額の債務問題に頭を抱えることが多いものなのだ。

そもそも、オリンピックを開催すること自体に膨大な資金がかかる。そしてオリンピックは基本的に「一度かぎり」のイベントだ。たとえば、オリンピックスタジアム建設はすばらしいビジネスだが、建設が終われば新しい案件はない。産業全体の活性化にはつながらないのだ。

ましてや今の日本は、1000兆円を超える巨額の債務を抱えている。オリンピック開催によって日本の借金はさらに膨らむことになってしまった。こうした弊害で日本経済は不利益を被っただけである。

 

日本ではなぜ、競争力あるビジネスが育たないのか

それにもかかわらず日本は、2030年に札幌でオリンピックを開催しようとしている。今この国に必要なことは、オリンピックのような一時しのぎの取り組みを推進することでも、紙幣を大量に刷って円の価値を下げることでもない。競争力のあるビジネスを育てることだ。

2025年の開催を控える大阪・関西万博も、東京オリンピックと同様に無駄遣いとバラマキに終わるだろう。万博で経済が上向いた国が存在するだろうか? 私には思い浮かばない。

かつて、1970年の大阪万博にはたくさんの人が訪れ、日本の科学技術や経済発展を世界に知らしめるうえでそれなりの役割を果たしたが、それは当時の日本に勢いがあったから可能だったことであり、万博を開いたから日本が豊かになったというわけではない。

どんな物事にも、長所と短所の両方が存在する。日本国内ではカジノ建設に反対する声も根強い。反対派の意見には、「ギャンブル依存症になる人の増加」「治安の悪化」「若い世代の健全な育成への悪影響」などがあるようだ。しかしこれらは、カジノ事業の短所にしか注目していない短絡的な発想に映る。

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